1.ビオチンとは?
まずはビオチンの概要、一日に必要な目安量を解説します。
1-1.ビオチンについて
ビオチンは、ビタミンB群の一つである水溶性の栄養素です。以前はビタミンHと呼ばれていました。
ビオチンは哺乳類の体内では合成できない成分ですが、さまざまな食品に含まれているため、通常の食生活を送っている方が不足することはほぼありません。
ビオチンは体内でエネルギーを作り出すために働いており、糖や脂肪酸、アミノ酸などさまざまな代謝に関与しています。
1-2.ビオチンの一日の摂取量(18~69歳)
ビオチンの一日あたりの摂取量は、18~69歳の男女の場合は50μgが目安とされています。
性別によって摂取量の差はなく、妊婦の方や授乳中の方も同様に50μgが目安です。
水溶性ビタミンであるビオチンは尿により体外に出やすいため、上限量は設定されておらず、基本的に過剰摂取の心配はないと考えられています。
2.ビオチンは髪や爪の健康をサポートするビタミン
次はビオチンの働きや、不足した際に現れる症状を説明します。
2-1.ビオチンの働き
ビオチンは糖・アミノ酸・脂肪酸の代謝に関与しているだけでなく、髪・爪・皮膚・粘膜の健康にも大切な役割を担っている栄養素です。
食品などから吸収されたビオチンが細胞内に運ばれると、脂肪酸合成や糖新生、エネルギー代謝、アミノ酸代謝、ロイシン分解など、エネルギーを作り出すサポートをしています。
2-2.ビオチンが不足した場合の症状
ビオチンが不足すると、アトピー性皮膚炎・脱毛・食欲の低下などの症状を引き起こす可能性があります。
基本的には不足することがないと考えられているビオチンですが、生卵を大量に摂取するとビオチン欠乏症になるおそれがあるため、注意が必要です。
卵白に含まれるアビジン(糖たんぱく)はビオチンと結合すると、ビオチンが体内で吸収されにくくなることがわかっています。
ただし、加熱された卵白の場合はアビジンが変性し、ビオチンとの結合体ができにくくなります。そのため、生卵を大量に摂取しない限り、特にビオチンの欠乏を心配する必要はないでしょう。
3.髪の健康をサポートするビオチンを豊富に含む食品とレシピ
Tビオチンを含む食品と、おすすめのレシピを紹介します。
3-1.ビオチンを含む食品
ビオチンは、ナッツ類では落花生・アーモンド、野菜ではブロッコリー・カリフラワー・そらまめ、きのこ類ではきくらげ・しいたけ・ぶなしめじ・まいたけなどに含まれています。
動物由来の食品では鶏卵・豚ひれ肉などに含まれており、さんま・あさり・うなぎ・たらこ・さけ・はまち・ししゃも・いわしなどの魚介類にも含まれています。
3-2.おすすめレシピ
ビオチンを豊富に含んでいるおすすめレシピとして、「さんま缶の柳川風」を紹介します。
【材料】2人分
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・さんま缶(蒲焼味) 1缶
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・ごぼう 1/2本
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・水 70ml
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・しょうゆ 小さじ1~
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・卵 1個
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・刻みねぎ 適量
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・七味唐辛子 適量
【作り方】
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1. ごぼうをささがきにします。
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2. 食べやすい大きさにほぐしたさんま缶を汁ごとフライパンに載せ、1でささがきにしたごぼう、水、しょうゆを加えて中火にかけます。
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3. 煮立ったら弱火にし、ごぼうが柔らかくなるまで火を通します。
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4. 卵を溶きほぐして3に回し入れて、半熟になったら火を止めます。
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5. 4を器に盛り付け、刻みねぎと七味唐辛子を散らして完成です。
さんま缶は商品によって塩分の量が異なるため、しょうゆの量を調節してください。
髪や爪、健康維持のためにビオチンを摂取しよう
ビオチンは体内のさまざまな代謝に関与しており、髪や爪の健康をサポートしています。
ビオチンが欠乏すると、皮膚炎や脱毛、免疫不全、食欲低下の症状が現れます。
しかし、一般的な食生活をしていれば、特にビオチン不足を心配する必要はありません。
普段からバランスの良い食事をとって、ビオチンが不足しないようにしておきましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。