「しわ」ができるおもな原因とは?
しわの種類、予防法・対処法について解説

加齢とともに増える肌トラブルで、しわが気になる方も多いでしょう。しわには浅いものから深いものまであり、さまざまな要因が複合的に作用して発生することがほとんどです。今回は、しわができるおもな原因や、しわの予防法、対処法などを解説します。

1. しわはなぜできるのか

皮膚は表面に近いほうから、表皮・真皮・皮下組織の3層構造で、表皮の最も外側が角層です。角層は、水分の蒸発や細菌・ウイルスなどの侵入を防ぐ、肌のバリア機能としての働きを持っています。

また、真皮にはヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンなどがあり、肌の水分保持やハリの維持に重要な層です。真皮の下にある皮下組織はおもに脂肪細胞で、人によって厚みは大きくかわります。

しわは、おもに真皮の構造の変化によるものです。赤外線、紫外線などのダメージによりコラーゲンが傷付けられると、肌の弾力が低下し、しわが形成されます。

しわは「老化のサイン」と考える方も多いでしょう。老化には、加齢による老化と光老化(紫外線によるもの)の2種類があります。特に光老化は、真皮の構造変化によるしわの大きな要因です。

地表に届く紫外線にはUVAとUVBの2種類があり、光老化にはUVBの影響が強いとされています。ただし、UVAは真皮にまで到達して、肌にダメージを与えるので注意が必要です。

また、表皮にできるしわもあります。これは表皮が乾燥して一時的にできるしわで、目尻や目の下に現れることが多いでしょう。表皮にできるしわは比較的浅く、細かいのが特徴です。

2. しわができるおもな原因5選

しわができる原因は1つではなく、さまざまな要因が複合的に関与しています。予防をするうえでも、原因を把握しておくことが大切です。ここでは、しわができるおもな原因を5つ説明します。

2-1.乾燥

加齢による水分量や皮脂量の低下、気温の変化などで肌が乾燥すると、バリア機能が低下して外界からの刺激を受けやすくなるため、しわの発生につながるでしょう。また、乾燥によって表皮に細かい乾燥じわができる可能性もあります。

2-2.紫外線

真皮の構造変化による発生するしわの大きな原因と考えられているのが、紫外線です。波長が長いUVAは真皮にまで到達し、肌のハリを保つために必要な弾性線維を傷付けます。その結果、肌の弾力が低下して、しわができることがあるでしょう。また、UVBも光老化に大きな影響をおよぼすとされています。

2-3.女性ホルモンの減少

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、コラーゲンやエラスチンの生成に関わっています。更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少すると、肌のハリが低下し、しわができやすくなります。

2-4.表情の癖

笑ったときに目尻にしわができたり、怒ったときに眉間にしわが寄ったりするのは、表情の癖です。表情の変化により表情筋が収縮し、目尻や額、口元などにしわができるのは年齢に関係なく見られるでしょう。

これは表情じわと呼ばれ、本来は筋肉が弛緩すればもとに戻ります。しかし、表情の癖で同じ筋肉を繰り返し使い続け、さらに肌が老化すると、表情じわの近くに小じわが発生するようになります。

3.日常生活で気を付けたいしわ予防法・対処法

しわ予防のためには、日常生活でしっかり対策をすることが重要です。ここでは、毎日の生活で押さえておきたいポイントを解説します。

3-1.紫外線対策

真皮の構造変化によるしわの原因となる紫外線は、体に浴びる量を抑えることが肝心です。日焼け止め、日傘、サングラスなどで紫外線対策を行ないましょう。また、紫外線が強い時間帯の外出を避けるのも効果的です。

日焼け止めを選ぶ際は、日焼け止めの効果を表す「SPF」と「PA」を確認しましょう。SPFは肌に炎症や色素沈着を起こすUVBを防ぐ指標で、2~50+まで表示があり、数値が高いほどUVBを防ぐ効果が高くなります。

一方、PAは真皮に到達するUVAを防ぐ指標で、+~++++の4段階表記です。+の表記が多いほど、UVAを防ぐ効果が高くなります。

屋外のレジャーやスポーツでは、SPFとPAが高い日焼け止めを使ったほうが良いですが、日常生活ではSPF5、PA+程度が目安です。肌質やシーンに合わせて、自分に合った日焼け止めを選びましょう。

また、毎日日焼け止めを使っていても、使う量が少なければ十分な効果を発揮できません。日焼け止めを顔に使う場合は、クリームタイプならパール1粒分、液状タイプなら1円玉大を手にとって顔全体にまんべんなく塗り、さらに同じ量をもう1回重ね付けします。日焼け止めは衣服のこすれや汗などで落ちてしまうため、2~3時間おきに塗り直しましょう。

3-2.スキンケア

毎日の洗浄、保湿といったスキンケアは、皮膚のバリア機能を維持し、しわを防ぐための重要なポイントがあります。

洗浄は力を入れてゴシゴシこすらず、しっかりと洗顔料や石けんを泡立てて優しく洗ってください。洗顔料や石けんが肌に残らないよう、たっぷりの水、またはお湯で洗い流すことも大切です。お湯を使う場合は、温度が高いとかゆみが出る可能性があるため、ぬるめ(38度ほど)にしましょう。

また、洗浄・入浴後は肌に水分が残っているので、その状態で保湿用のローションやクリームを塗ると効果的です。保湿の成分には、肌の表面を覆って水分の蒸発を抑えるワセリン、角質に水分を留めるグリセリン、バリア機能をサポートするセラミドなどがあります。

紫外線対策やスキンケアでしわ対策を

しわは紫外線、加齢などの影響で、肌の弾力が低下すると生じやすくなります。また、乾燥による小じわや、表情筋の収縮による表情じわの影響で小じわができるケースもあるでしょう。

しわは紫外線対策やスキンケアで予防できるため、しわに悩んでいる方は毎日の習慣として取り入れてみることをおすすめします。

監修者情報

氏名:豊田早苗(とよだ・さなえ)
とよだクリニック院長。鳥取大学医学部卒。精神科・心療内科・内科・神経内科(認知症、物忘れ)の診療を担当している。総合診療医学会、認知症予防学会、精神医学会などに所属。現在は医師業務の傍ら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。