亜鉛不足が引き起こすおもな症状
亜鉛不足解消が期待できる食品も紹介

人体のさまざまな臓器に分布している亜鉛は、細胞や神経などの働きに重要な必須ミネラルです。そのため、亜鉛が不足するとさまざまな健康上の問題が発生します。

しかし、亜鉛の働きやどう摂取すればよいのか、わからない方もいるでしょう。

今回は、亜鉛の詳しい働きや不足が引き起こすおもな症状、亜鉛を摂取できる食品を紹介します。

1.亜鉛とは?

亜鉛は、健康と栄養維持にために重要な必須ミネラルの一つです。人体の細胞代謝に深く関係しており、さまざまな酵素を構成しています。

成人であれば、2gほどの亜鉛が体内に存在しており、そのほとんどが骨や筋肉に分布されているのが特徴です。骨や筋肉以外にも、眼球・膵臓・肝臓などの臓器にも含まれています。

亜鉛の重要な役割は、次のとおりです。

  • ・DNAの合成

  • ・免疫機能

  • ・傷の治癒

  • ・細胞の分裂

  • ・タンパク質の合成

  • ・正常な味覚の維持

ただし、人体には亜鉛を蓄えるための機能がないため、毎日補給する必要があります。

2.亜鉛が不足しているとどのような症状が起こる?

亜鉛には、健康的な体を支えるためのさまざまな役割があります。ここでは亜鉛が不足するとどのような症状が現れるのか、詳しく解説します。

2-1.そもそも亜鉛が不足する理由は?

亜鉛が不足するおもな原因は、次のとおりです。

  • ・食事による亜鉛の摂取量が少ないため

  • ・消化器疾患により吸収量が低下するため

  • ・食品添加物の影響により亜鉛の吸収が阻害されるため

消化器の手術や潰瘍性大腸炎などの疾患は、亜鉛の吸収を低下させます。特に慢性的な下痢は、亜鉛を体外に排出するため、亜鉛が不足しやすくなるでしょう。そのため、消化器に関連する病気を患っている方は、注意が必要です。

胎児や赤ちゃんは、亜鉛を多く必要とするため、妊娠中の方や授乳の方は亜鉛が不足しやすくなります。

2-2.亜鉛不足で起こるおもな症状

亜鉛が不足すると次のような症状が現れやすくなります。

  • ・貧血

  • ・脱毛

  • ・食欲不振や慢性的な下痢

  • ・生殖機能の低下(インポテンス)

  • ・免疫力の低下

3.亜鉛不足の解消が期待できる食品

亜鉛不足を解消するためにおすすめの食べ物を紹介します。

肉・魚介類

  • ・牛肩肉

  • ・鶏もも肉

  • ・牡蠣

  • ・うなぎ

  • ・かに

大豆・豆類

  • ・きな粉

  • ・納豆

  • ・枝豆

亜鉛を多く含む食べ物は、肉類や魚介類などです。

特に、牡蠣は100gに対して14.5mg、うなぎのかば焼きは1串100gあたり2.7㎎と、亜鉛が多く含まれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一日あたりの亜鉛の摂取推奨量は、18~74歳の男性で11㎎、75歳以上の男性で10㎎です。また、18歳以上の女性では8㎎になります。

食品だけでなく、錠剤・カプセル・トローチなどのサプリメントでも亜鉛を摂取できます。

ただし、亜鉛不足を摂り過ぎる状態が続くと、吐き気・腹部の痙攣・めまい・頭痛など、健康へ悪い影響が出ます。免疫障害などを起こす可能性もあるため、摂取量には注意しましょう。

バランス良い食事で亜鉛不足を解消しよう

亜鉛は、体の細胞や味覚の維持などのために重要な必須ミネラルの一つです。通常の食生活からでは十分摂れないため、積極的に摂取しましょう。

逆に亜鉛を過剰に摂取すると健康への悪影響もあるため、摂取量には注意が必要です。普段からバランスの良い食事と適切な量の亜鉛を摂取し、健康を維持していきましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医