「セレン」の働きとは?
役割や含まれる食べ物、1日の摂取量について解説

身体に必要なミネラルとして知られているセレン。たんぱく質の一部や酵素を構成し、抗酸化作用がある成分ですが、一方でよく知らない、あまり聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、セレンの働きや摂取する方法について解説していきます。併せて、1日の摂取量や注意点なども紹介します。セレンについて興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

1.セレンとは

ミネラルのなかでも、セレンは必須ミネラルの一つと呼ばれます。

必須ミネラルとは、ヒトの体内にあるミネラルのなかで、栄養素として不可欠であることが判明しているものです。セレンのほか、必須ミネラルはナトリウムやマグネシウム、カルシウムなど、全部で16種類あります。

また、セレンは「セレノシステイン残基」という構造をもつたんぱく質の形で身体にさまざまな働きをもたらすものです。このたんぱく質のことをセレノプロテインといい、抗酸化作用を発揮したり甲状腺ホルモンの代謝に関わったりしています。

セレノプロテインには25もの種類があることがゲノム解析により解明されました。

2.セレンのおもな働き

セレンには抗酸化作用があるといわれています。強い酸化作用をもつ活性酸素は、細胞を傷つけて老化させるといわれている物質です。セレンはこの活性酸素の働きを弱める効果があるため、老化を防ぐといわれています。

3.セレンを摂取する方法

セレンは、食品から摂取することが可能です。どの食品に多く含まれているのか、一例を見ていきましょう。

3-1.セレンが含まれる食品


・マカロニ、スパゲッティ
・まつたけ、マッシュルーム
・そば
・フランスパン、食パン
・オートミール
・納豆
・さんま、かつお、くろまぐろ、まあじ
・たらこ
・豚ヒレ

このうち、100gあたりのセレンの含有量がもっとも多いのはたらこです。たらこには100gあたり130μgのセレンが含まれています。

3-2.1日あたりの摂取目安量

摂取目安量は男女で異なります。

〈摂取目安量〉

性別 目安量
男性 30μg
女性 25μg

うなぎやまいわしは1食あたり34μgのセレンが含まれているため、摂取目安量を摂るのにちょうどよいでしょう。

日本人はセレンの平均摂取量が一日あたり約100μgと推定され、日常生活でセレンが不足することは基本的にありません。

4.セレンを過剰摂取する際の注意点

セレンが不足することはあまりありませんが、必要量と中毒量の差が非常に小さいことから、過剰摂取には注意が必要です。呼気からニンニク臭がしたり、口のなかが金属のような味がしたりする場合は、過剰摂取の可能性があります。

慢性的にセレンを過剰摂取していると見られる、代表的な症状は次のとおりです。

・脱毛
・筋肉の痙攣
・下痢
・関節痛

セレン以外のものが原因でもこれらの症状が現われることがありますが、セレンを積極的に摂取しているときにこれらの症状が出た場合は、過剰摂取の可能性も考えられるでしょう。

そのほか、過度の出血をきたす可能性もあります。手術を控えている方は、大量出血を防ぐためにも、セレンを飲んでいる旨を担当医に伝えておきましょう。

日常生活でセレンが不足することはまずありませんので、かえって、サプリメントや健康食品を過剰に摂取しないよう注意する必要があります。

日常生活でセレンの摂取目安量を下回ることはあまりない

セレンは必須ミネラルの一つです。抗酸化作用などもあることから、私たちの身体に良い働きをしてくれるものだといえるでしょう。

日本人はセレンを一日に平均で100μg摂っているため、摂取目安量を下回ることはあまりないと考えられます。しかし、過剰摂取でトラブルを引きおこす可能性もあるため、摂取量には注意しましょう。

監修者情報

氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。