褥瘡(床ずれ)とは?原因や症状の出やすい部位について解説

褥瘡(じょくそう)という言葉をご存知でしょうか。一般的には「床ずれ」と呼ばれています。

褥瘡とは、同じ姿勢で寝たきりの状態が続くなど、皮膚が床に接して圧迫されることで皮膚に障害を起こしてしまう状態をいいます。

通常、同じ姿勢で寝ていて圧迫されて痛みが生じうると、体の位置を自然と動かしていますが、体を自由に動かせない人や痛みを感じにくい人は、褥瘡ができやすいのです。

今回は、褥瘡の原因や、発生しやすい部位などを解説します。

1.褥瘡(床ずれ)とは

褥瘡とは、長時間同じ部位が圧迫されることによって、皮膚や皮下組織、筋肉への血流が滞り、皮膚に赤みが生じたり傷ができたりする症状です。一般的には「床ずれ」と呼ばれます。

健康な人であれば、眠っている間にも寝返りを打ち、椅子に長い時間座っているときにも体を動かし、長時間同じ部位が圧迫しないようにしています。

しかし、自分で体を動かせない人などの場合は、長時間圧迫された皮膚に酸素や栄養が行き届かないことから、褥瘡ができやすくなるのです。

皮膚だけにとどまらず、皮膚の下にある脂肪や筋肉、骨の近くまで傷が広がっていることもあります。

2.褥瘡(床ずれ)の原因

褥瘡は、長時間同じ部分が圧迫されたときに皮膚および皮下組織に酸素や栄養が届きにくくなっておこる症状です。しかし、それらの条件だけでは、褥瘡は発生しません。ほとんどの場合、以下のような原因が重なることで発生すると考えられています。

  • ・麻痺やしびれなどで感覚が鈍っている

  • ・麻痺や手足の動きに障害があり、自力で体を動かしにくい

  • ・体形がやせ型で、骨の出っ張りがある

  • ・皮膚の弾力が衰え、しわやたるみがある

  • ・尿失禁や便失禁がある

  • ・おむつを使っている

  • ・汗をかきやすく、つねに皮膚が湿っている

  • ・低栄養状態が長く続いている

特に高齢者は皮膚の弾力性が低下しやすく、ずれや圧迫などに弱くなるため、注意しましょう。

また、栄養状態の悪化が続くと、血行不良をまねき、褥瘡を発症するリスクが高まるだけでなく、すでにできている褥瘡も治りづらくなります。

3.褥瘡(床ずれ)のおもな症状と現れやすい部位

ここでは、褥瘡(床ずれ)の症状や現れやすい部位を解説します。

3-1.おもな症状

初期の症状としては、皮膚が赤くなります。

次第に水ぶくれや皮膚のただれが起きて、悪化するとただれた部分からうみが出て潰瘍になります。

さらに悪化した場合は、傷口が深くなって広がり、骨が見えてくるおそれもあるのです。

このような状態になると、医療的処置が必要となります。

3-2.症状が現れやすい部位

褥瘡が現れやすいのは、骨が突出している部分です。

以下、体位別に褥瘡が出やすい部位を解説します。

  • 仰向けで寝ている場合

    かかと、仙骨、肘、肩甲骨、後頭部

  • 横向きで寝ている場合

    くるぶし、膝、大転子部、腸骨、肩、耳介部

  • 座っている場合(車いす)

    肩甲骨、坐骨、尾骨

褥瘡は、その状態やできた時期によっても治療法が異なります。また、放っておくと悪化して医療機関で治療する必要があるため、褥瘡ができた場合は、早めに医師や看護師に相談してください。

褥瘡(床ずれ)の原因を理解し予防するようにしましょう

褥瘡は、寝ていたり座ったりした状態で、同じ部分に圧力が長い時間加わることで、皮膚に障害を起こしてしまう状態のことをいいます。

ただし、長時間の圧迫だけで必ず褥瘡になるわけではありません。

痛みを感じにくくなっている、自力で体を動かせない、加齢のため皮膚の弾力性が低下している、栄養の偏りがあるなど、さまざまな要因が考えられます。

悪化してしまうと、医療的処置が必要になることもあります。

そのため、身近に褥瘡になりやすい条件が当てはまっている人がいたら、専門家へ相談して予防しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。