目次
1.嚥下食とは?
嚥下食とは、飲み込みや咀嚼などの嚥下機能が低下した方向けに、嚥下機能のレベルに合わせて、形態やとろみ、食塊のまとまりやすさなどを調整した食事のことです。
ゼリー状やピューレ状など、嚥下機能のレベルに応じて調理されますが、市販品のゼリーやプリン、絹ごし豆腐、高齢者向けのやわらかい食品などを活用することもできます。
食事中にうまく飲み込むことができなかったり、むせたりする状態を嚥下障害といいます。嚥下障害になると次第に食べる量が減り、体力の低下や窒息、肺炎につながる危険性があるため、嚥下障害の方のために嚥下食が使われるようになりました。
今回は、嚥下食の分類や、嚥下食を自宅で作る際のポイント・注意点などを紹介します。
食べ物を飲み込みにくいと感じている方がご家族にいる場合は、ぜひ参考にしてみてください。
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嚥下食とは、飲み込みや咀嚼などの嚥下機能が低下した方向けに、嚥下機能のレベルに合わせて、形態やとろみ、食塊のまとまりやすさなどを調整した食事のことです。
ゼリー状やピューレ状など、嚥下機能のレベルに応じて調理されますが、市販品のゼリーやプリン、絹ごし豆腐、高齢者向けのやわらかい食品などを活用することもできます。
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会では、嚥下のレベルによって、以下のように嚥下食を5段階に分類しています。
スライス状にすくうことが可能で、均質で付着性・凝集性・硬さに配慮したゼリーです。離水が少なく、タンパク質含有量が少ないという特徴があります。
中間から濃いとろみがあり、均質で付着性・凝集性・硬さに配慮したとろみ水です。タンパク質含有量が少ないという特徴があります。
ゼリー・プリン・ムース状のもので、均質・付着性・凝集性・硬さ・離水に配慮したものです。表面にざらつきがあります。
ミキサー・ピューレ・ペースト食などで、スプーンですくって食べられるものです。粒がないものから、粒はあるがやわらかく離水もないものがあります。
形はあるが、押しつぶすことが容易なものを指します。咽頭でばらけず、嚥下しやすいように配慮されたものです。
硬さ・ばらけやすさ・貼りつきやすさなどがなく、箸やスプーンで切れるほどやわらかいものです。歯がなくても食べられますが、上下の歯ぐきで押しつぶしたりすりつぶしたりすることが必要で、舌と口蓋間で押しつぶすことは困難なものを指します。
嚥下食にはさまざまな形状のものがありますが、自宅にあるものでも簡単に嚥下食を作ることができます。
食材の硬さなどの特徴ごとに、嚥下食を作る際のポイントや食べ方を確認していきましょう。
嚥下食を作る際は、歯茎で噛めるやわらかさにして、水分にとろみをつけることがポイントです。
硬いものは煮る・蒸す・つぶす・する、サラサラした液体にはとろみ剤を使用してとろみをつける、バラバラなものはマヨネーズ・ドレッシング・卵・小麦粉などでまとめるように調理しましょう。
また、パサパサするものには適度に水分を含ませたり、ツルンとさせるためにとろみ剤を使用したりするのも方法の一つです。
嚥下に問題がある場合は、食べ方にもポイントがあります。
急がずにゆっくり、少量ずつ口に入れることを意識して、よく噛んで食べるようにしましょう。
また、口のなかのものをしっかり飲み込んでから次のものを入れるようにし、テレビを観ながらなどの「ながら食べ」は避けるようにしてください。
それでは、嚥下障害がある方が飲み込みにくい食材にはどのようなものがあるのか、確認しましょう。
・液体のようなサラサラしたもの(みそ汁・お茶・ジュースなど)
・弾力のあるもの(こんにゃく・かまぼこ・たこなど)
・口のなかでバラバラになるもの(おから・ひき肉など)
・水分が少ないもの(ゆで卵・ほぐした魚・いも類・パン・クッキーなど)
・薄くて口内に付着しやすいもの(のり・わかめ・青菜類・ウエハースなど)
・粘りが強いもの(もち・だんごなど)
・酸味や辛みが強いもの(酢の物・柑橘類・唐辛子など)
・口内に残りやすいもの(ごま・ピーナツ・大豆など)
・繊維質のもの(生野菜・ごぼうなど)
今回は、嚥下食の分類や、嚥下食を作る際のポイントと注意点を解説しました。
嚥下食の介助をする際は、ベッドの場合は背の角度を食べやすいように調整し、枕などで頭を支え、やや前屈みになるようにします。椅子に座る場合は背を90度にし、テーブルの高さは腕を乗せて、肘が90度に曲がる程度に調節するようにしましょう。
5段階ある嚥下のレベルに合わせて、適切な嚥下食を選択することが大事です。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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