目次
1.血圧低下(低血圧)の基準とは?
血圧は、収縮期血圧(最大値)120~129mmHgまたは拡張期血圧(最小値)80~84mmHgが正常とされ、成人の場合は収縮期血圧が100mmHg未満で低血圧だとされています。
低血圧には、大きく分けて起立性低血圧、急性低血圧、慢性低血圧の3種類があり、急性低血圧と慢性低血圧はさらにいくつかの種類に分けられます。このうち、高齢者で多く見られるのは、急性低血圧の一種であり、食後に血圧が低くなる食後低血圧です。
みなさんは、高齢者に起こる血圧低下について知っていますか?
血圧のトラブルと聞くと高血圧症を思い浮かべることが多く、低血圧症の具体的な症状はイメージできない方もいるのではないでしょうか。
低血圧症は日常で支障をきたす症状が多いものの、高血圧症と比べて心臓に関する病気などの発症率が低いことから、深刻な病気とみなされないことがあります。「実は病気による低血圧だった」ということもあるため、低血圧の症状を放置しないように注意しましょう。
今回は、血圧低下の原因と症状、血圧低下の対策方法について解説していきます。
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血圧は、収縮期血圧(最大値)120~129mmHgまたは拡張期血圧(最小値)80~84mmHgが正常とされ、成人の場合は収縮期血圧が100mmHg未満で低血圧だとされています。
低血圧には、大きく分けて起立性低血圧、急性低血圧、慢性低血圧の3種類があり、急性低血圧と慢性低血圧はさらにいくつかの種類に分けられます。このうち、高齢者で多く見られるのは、急性低血圧の一種であり、食後に血圧が低くなる食後低血圧です。
低血圧にはさまざまな症状がみられますが、日常生活に支障をきたすものもあるため注意が必要です。
また、他の病気が原因で起こることもあるため、低血圧症を見逃してしまうことのないように確認していきましょう。
低血圧は体にさまざまな影響を与えます。
低血圧になると、立ちくらみやめまい、起立時や入浴時の気持ち悪さ、動悸・息切れ、倦怠感・疲労感、頭痛、腹痛、食欲不振などが生じます。
上記のような症状がみられた場合は低血圧症の可能性があるため、早めに医師に相談するようにしましょう。
まず低血圧症の原因として考えられるのは、血液や体液の喪失です。胃潰瘍などの出血性疾患や脱水症、甲状腺機能低下症、副腎不全など内分泌ホルモンの分泌異常で体液バランスが崩れて発症することがあります。上記の症状が急速に出てきたときは注意が必要です。
また、薬剤性の低血圧症もみられます。普段の血圧は正常であっても、診察室で測ると血圧が高く記録されることがありますが(白衣高血圧)、安易に降圧剤を処方されると血圧が下がり過ぎて低血圧症になることがあるのです。
さらに、神経疾患や重度の糖尿病も原因の一つに挙げられるでしょう。これらの病気によって自律神経に障害が起き、低血圧症を起こすこともあります。
前述したように、高齢者に多くみられるのが食後低血圧です。食後低血圧は、食後に内臓の血管が広がって多量の血液が流れ込み、脳に流れる血液が減ることで現れます。
その他にも、明確な原因はみられないものの低血圧状態が続く場合もあります。
低血圧は、日々の生活習慣を見直すことで対策できるとされています。
適度な運動は血行の促進につながるため大切です。ウォーキングなどで下半身を鍛えれば、さらなる効果が見込めるでしょう。ただし、急に止まったり立ち上がったりすると起立性低血圧になるおそれがあるため、ゆっくりと動作するようにしてください。
食事では、食べすぎたり、水分や塩分を摂り過ぎたりしないように注意しましょう。また、栄養バランスが偏らないように意識しつつ、野菜やタンパク質、豆類などを積極的に食べるようにしてください。
また、入浴時に熱めのお湯に浸かったり、起床時にシャワーを浴びたりすると血行アップにつながるため、低血圧対策になるでしょう。
今回は、高齢者の血圧低下の原因や症状、血圧低下の対策方法について紹介しました。
血圧が低下する原因には、病気や薬、食事などが関係しています。低血圧症は、血圧が低くなることにより転倒の危険性があり、頭をぶつけて大事に至るおそれもあるため、徴候に気を付けるようにしてください。
正常な血圧を保つためには生活習慣の見直しが大切です。症状がある状態だと、思うようにいかず不安になることもあるかもしれませんが、ゆっくりと改善していきましょう。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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