目次
1.脱水症状とは?
脱水症状とは、「体内の水分が不足している状態」を指します。おもな症状は、以下のとおりです。
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・ 口の渇き
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・ 体のだるさ
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・ 立ちくらみ
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・ 唇や舌・皮膚の乾燥
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・ 皮膚の弾力低下
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・ 微熱
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・ 食欲低下
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・ 脱力
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・ 意識障害
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・ 血圧低下
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・ 頻脈
また、私たちの体をつくるうえで、水分はとても重要な役割を持っています。人間は、補給した量とほぼ同量の水分を排泄することで、普段から体内のバランスを維持しているのです。
体重のほんの1%ほどの水分が失われただけでのどの渇きを感じ、4~5%の水分を失うと頭痛や吐き気が現れるといわれています。
2.脱水の原因
脱水の原因には「水分摂取量の減少」と「水分喪失量の増加」があり、これらが組み合わさることもあります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
2-1.水分摂取量の減少
高齢者や乳幼児が特に気を付けるべきなのは、水分摂取量の減少です。
特に高齢者は、加齢によってのどの渇きに鈍感になり、水分補給を忘れやすくなります。そのうえ、「夜間にトイレに行きたくない」という思いから水分を摂らずに我慢し、意欲の低下から水分摂取が思うようにできなくなり、脱水傾向になる人もいるのです。
乳幼児も自分から進んで水分補給をしようとしないため、脱水症状になっていないか周囲が注意してあげましょう。
また、すっかり定着したマスク生活によっても、脱水が起こりやすいとされています。マスク内の湿度が高いことで、のどの渇きを感じにくいのです。さらに、体内に熱がこもり体温が上昇しやすい状態になっていることや、毎回マスクを外して飲まなければならない煩わしさから、水分摂取の機会が減りやすいと考えられます。
2-2.水分喪失量の増加
水分喪失量の増加につながるものとしては、以下が挙げられます。
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・暑い日の発汗
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・運動・入浴による大量の発汗
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・嘔吐
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・下痢
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・熱傷
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・糖尿病性ケトアシドーシスなどの病気
また、高齢者は加齢により基礎代謝量が低下するため、代謝によってつくられる水分量も少なくなります。そのため、皮下組織や筋肉の水分量が減少しており、環境の変化などで容易に脱水状態になってしまう点に注意が必要です。
3.脱水を防ぐ方法
脱水を未然に防ぐために、以下のポイントに気を付けて水分補給の習慣をつくりましょう。
3-1.「のどの渇きを感じる前に」・「こまめに」水分補給を
のどの渇きを感じたときには、すでに脱水が起こっています。さらに脱水が進むと吐き気や頭痛をともなう場合があるため、のどの渇きを感じる前に意識的に水分補給することが大切です。
例えば、コップ1~2杯の水分を、「起床後」「入浴後」など一日のなかで時間を設定して摂るとよいでしょう。また、睡眠中や入浴中も脱水になりやすいので、「就寝前」「入浴前」の水分補給も大切です。
水分補給のルーティンをつくれば、無理なく一日に1L以上の水分補給ができます。一日の水分摂取量の目安は1.5Lほどなので、ゆっくり少量(150~200ml)を7~8回に分けてこまめに飲むように意識してみてください。
3-2.「水」・「麦茶」・「黒豆茶」で水分補給がおすすめ
毎日の水分補給に飲むものとしては、ノンシュガー・ノンカフェインである「水」「麦茶」「黒豆茶」などをおすすめします。
ジュースなどの糖分が入った飲料水は、体内への水分の吸収率を低下させます。また、カフェインが含まれているコーヒーや緑茶・紅茶などには利尿効果があり、水分の吸収を阻害してしまうのです。
ジュースやコーヒーなどは、楽しみの一つとしてとらえましょう。
3-3.冷たすぎない飲み物で水分補給を
暑い時期には冷たい飲み物が欲しくなりますが、冷たい飲料は内臓を冷やし、胃腸の働きを低下させます。また、血流を悪くするなどの悪影響をおよぼす可能性もあるのです。
水分補給をする際は、常温に近い水分を摂るのが最適でしょう。冷たいものを飲みたいときでも、5~15度程度の冷たすぎないものがおすすめです。
脱水症状にならないようこまめな水分補給を心がけましょう
脱水症状は、水分補給が足りないときや、汗などで体内の水分が大量に失われたときに現れます。
のどの渇きを感じたときにはすでに体は脱水状態にあり、さらに進行すると頭痛や吐き気を引き起こしてしまうかもしれません。そのため、のどの渇きを感じる前のこまめな水分補給が重要です。
乳幼児や高齢者はもちろん、その他の世代の人も、マスク生活によって脱水になりやすいといえます。
脱水を未然に防ぐには、決まった時間にコップ1杯程度の水分補給をするなど、習慣づけることが大切です。こまめな水分補給で夏をイキイキと過ごしましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医
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