1.カリウムの一日の摂取量目安
カリウムは、どのくらい摂取するのが適量なのでしょうか。
一日あたりの目安量と目標量を以下に示します。
目安量(mg/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
0~5(月) |
400 |
400 |
6~11(月) |
700 |
700 |
1~2(歳) |
900 |
900 |
3~5(歳) |
1000 |
1000 |
6~7(歳) |
1300 |
1200 |
8~9(歳) |
1500 |
1500 |
10~11(歳) |
1800 |
1800 |
12~14(歳) |
2300 |
1900 |
15~17(歳) |
2700 |
2000 |
18~29(歳) |
2500 |
2000 |
30~49(歳) |
2500 |
2000 |
50~64(歳) |
2500 |
2000 |
65~74(歳) |
2500 |
2000 |
75以上(歳) |
2500 |
2000 |
妊婦 |
- |
2000 |
授乳婦 |
- |
2200 |
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
目安量とは、ある性・年齢階級に属している人たちが、良好な栄養状態を保つために十分な量のことを指します。
目標量(mg/日)
年齢 |
男性 |
女性 |
0~5(月) |
- |
- |
6~11(月) |
- |
- |
1~2(歳) |
- |
- |
3~5(歳) |
1400以上 |
1400以上 |
6~7(歳) |
1800以上 |
1800以上 |
8~9(歳) |
2000以上 |
2000以上 |
10~11(歳) |
2200以上 |
2000以上 |
12~14(歳) |
2400以上 |
2400以上 |
15~17(歳) |
3000以上 |
2600以上 |
18~29(歳) |
3000以上 |
2600以上 |
30~49(歳) |
3000以上 |
2600以上 |
50~64(歳) |
3000以上 |
2600以上 |
65~74(歳) |
3000以上 |
2600以上 |
75以上(歳) |
3000以上 |
2600以上 |
妊婦 |
- |
2600以上 |
授乳婦 |
- |
2600以上 |
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
目標量は、生活習慣病の予防のため、日本人が目標とするべき摂取量のことです。
2.カリウムを摂りすぎた場合のおもな症状
カリウムの働きとして、細胞内液の浸透圧をコントロールし、一定に保つ役割があります。
カリウムは多く摂取したとしても、腎臓の機能が正常であり、極端に摂りすぎなければ体内の調節機構の働きによって調整されるため、過剰摂取になることはあまりないとされています。
しかし、腎機能の低下がある場合には注意が必要です。
摂取したカリウムの多くは尿中に排出されますが、腎機能が低下しているとうまく排出されなくなり、血液中にカリウムが多くなります。その結果、高カリウム血症の要因となるのです。
では、高カリウム血症になると、どのような症状が起こるのでしょうか。
症状としては、「筋肉の収縮調整がうまくできなくなる」「心電図の異常」「四肢のしびれ」などが現れます。
その他の症状としては、口のこわばり、吐き気やだるさ、唇や手足のしびれ、胸の苦しさ、意識の消失などです。症状がないうちに高カリウム血症になることもあるため、注意が必要でしょう。
3.カリウムを摂りすぎないようにする工夫
ここでは、カリウムを摂りすぎないための方法について解説します。
3-1.カリウムが多い食品を減らす
まずは、そもそもカリウムを多く含んでいる食品の摂取量を減らすことです。
カリウム量に注意が必要な食品を以下に挙げます。
-
野菜
野菜にはカリウムが多く、なかでもいも類やかぼちゃに多く含まれています。たくさん食べてしまいがちなフライドポテトなどは、食べ過ぎに注意しましょう。
-
果物
果物全般にはカリウムが多く含まれます。特に注意したいのはアボカドやバナナなどです。また、ドライフルーツにも多く含まれています。
果物の量は、一日にみかんなら1個、りんごなら1/2個くらいが理想的です。
なお、缶詰の果物の場合、シロップの中にもカリウムが溶けているので飲むのは控えたほうがよいでしょう。
-
ジュース類
果物や野菜を使ったジュースにはカリウムが多く含まれています。カリウムを制限するように指示されている方は特に注意しましょう。
-
干物類
丸干し、煮干し、かつお節などはカリウムが多いため、食べ過ぎないようにしましょう。
-
コーヒーや抹茶
インスタントコーヒーは薄めにすることでカリウムの量が減らせます。
また、抹茶や玉露にはカリウムが多く含まれているため、控えめにしましょう。
3-2.カリウムの摂取量を減らす
食品中のカリウムを減らす方法もあります。
カリウムは水溶性のため、茹でたあとに茹で汁を捨てたり、野菜などを切ったあとに水にさらして水を切ったりすることで、カリウム量を減らせます。
医師の指示でカリウムを制限されている方は、今回ご紹介したカリウムの減らし方を参考にしてみてください。
カリウムの摂りすぎには注意しましょう
カリウムはさまざまな食品に含まれています。
しかし、健康な人で腎臓の働きが正常であり、極端にカリウムを摂りすぎなければ、過剰になることはまれであるといわれています。
ただし腎臓の機能が低下している人は、血中にカリウムが多くなりやすいため注意が必要です。
日々の食事からカリウムを摂りすぎないように、なるべくバランスの良い食事を意識しましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医