咳嗽(がいそう)とは?咳嗽の種類と特徴、原因を解説

咳嗽(がいそう)という言葉を聞き慣れていない方もいるでしょう。

咳嗽とは、咳のことです。気道に炎症が起きていたり、痰を吐き出そうとしたりするときに咳嗽が出やすくなります。

咳嗽は風邪だけではなく、インフルエンザや気管支炎、肺炎などさまざまな疾患で起こります。ただの咳だと思っていると、実は大きな疾患が隠れていることもあるものです。

今回は、咳嗽の種類や特徴、咳嗽が出る原因などを解説します。

1.咳嗽(がいそう)とは?

咳嗽とは、簡単にいうと咳のことです。気道に炎症が起きていたり、痰を吐き出そうとしたりするときに咳嗽が出やすくなります。

気道は、ウイルスや細菌に感染するのを防ぐために、分泌物によってうるおった状態になっていることが特徴です。ウイルスや細菌が気道内に入った場合、痰がこれらをくるんで外へと排出してくれます。そのため、風邪をひくと咳嗽が起こりやすくなるのです。

また、ウイルスや細菌に関係なく、乾燥した空気や冷たい空気を吸い込むと、咳嗽が出ることもあります。このように咳嗽は、必ずしも何か問題があるときのみに出るわけではありません。

咳止めを使用してもなかなか治まらない場合は、感染症以外の可能性も考えられます。専門の治療が必要となる場合もあるため、長引く咳が気になる方は医療機関を受診して原因を明らかにすることが大切です。

ただし、感染症の場合でも十分に体を休められなかったり栄養が不十分だったりすると長引くことがあります。

2.咳嗽の種類と特徴

咳嗽は、症状が出ている期間や痰の有無などによりいくつかの種類に分けられます。

2-1.痰の有無で分ける場合

咳嗽は、大きく湿性咳嗽(しっせいがいそう)と乾性咳嗽(かんせいがいそう)の2種類に分けることが可能です。湿性咳嗽とは、痰が絡むものでゴホゴホという咳が出ます。乾性咳嗽は、痰が絡まずコンコンという咳が出るものです。

2-2.咳嗽が続いている期間で分ける場合

咳嗽が続く期間によって、次のように分類することも可能です。

  • ・急性咳嗽:3週間未満で治まるもの

  • ・遷延性咳嗽:3~8週間で治まるもの

  • ・慢性咳嗽:8週間以上続くもの

急性咳嗽は3週間未満で治まるもの、遷延性(せんえんせい)の咳嗽は3~8週間で治まるもの、慢性咳嗽は8週間以上続くものを指します。急性の咳嗽の多くは、ウイルスや細菌などの感染が原因です。

3.咳嗽の原因として考えられるもの

続いて、咳嗽の原因を紹介します。咳嗽の原因は大きく分けて「湿性咳嗽」と「乾性咳嗽」の2つに分かれます。(あくまで目安であり、疾患によっては両方のタイプもありえます)

〈湿性咳嗽〉

  • ・風邪

  • ・インフルエンザ

  • ・細菌性肺炎

  • ・副鼻腔炎(蓄膿症)

  • ・気管支炎

  • ・肺水腫

〈乾性咳嗽〉

  • ・気管支喘息

  • ・肺結核

  • ・気胸

  • ・間質性肺炎

  • ・喫煙

  • ・心理的な要因

3~8週間続くものを遷延性咳嗽といいますが、風邪の症状がそのまま残ってしまったものが多いため、過度な心配は必要ありません。

ただし、時間の経過とともに症状がどんどん悪化したり、いつもの咳と何か違うなと感じたりした場合は受診が必要です。

慢性咳嗽は、胃食道逆流症やアトピー咳嗽、咳喘息、副鼻腔気管支症候群など、ほかの疾患が原因となっていることがあるため、注意しましょう。

咳嗽が続く場合は早めに医療機関を受診しよう

咳嗽が長引くと、体力が消耗されて疲労が溜まり、仕事や学校生活に影響が出たりすることもあるでしょう。

風邪にかかり鼻水や熱の症状が治まったあとも、咳嗽だけ1~2週間残っている場合は、念のため検査を受けると安心です。

検査によってほかの原因が見つかることがあります。長引く咳嗽が気になる場合は、早めに呼吸器科や内科を受診するようにしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。