1.カリウムはどのような食べ物に含まれるのか?
カリウムは藻類や果実、野菜、いも、豆、肉類、魚介類など、さまざまな食材に豊富に含まれています。具体的には、ひじきや乾燥わかめ、切り干し大根、納豆、バナナなどが、カリウム豊富な食材として挙げられます。
一般的にカリウムは生鮮食品のなかに多く含有され、食材の加工工程で含量が減少していくといわれています。カリウムは水溶性であり、食材を煮たり茹でたりすると水のなかに溶け出す性質があります。
調理工程でのカリウムの消失を抑えて効率的に摂取したい場合は、大根おろしやサラダのような生野菜や、果物、納豆などを選ぶのがおすすめです。
2.大根に含まれるカリウム量
大根の部位や調理法ごとの、カリウムの含有量は以下のとおりです。
食品名 |
100gあたりのカリウム量(mg) |
葉(生) |
340 |
葉(ゆで) |
180 |
根(皮付き・生) |
230 |
根(皮なし・生) |
230 |
根(皮付き・ゆで) |
210 |
根(皮なし・ゆで) |
210 |
切り干し大根(乾) |
3,500 |
ぬかみそ漬け |
480 |
たくあん漬け(干し大根漬け) |
500 |
大根おろし |
190 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
上記の表を見ると、大根の葉も根も、ゆでたあとより生のほうがカリウムの量が多いことは明らかです。
また、切り干し大根の100gあたりのカリウム含有量は、他の部位・調理法と比べて圧倒的に多いことがわかります。切り干し大根にはカリウム以外にも、意識的に摂り入れたい栄養素が凝縮されています。各栄養素の詳細は、次の項目で紹介します。
3.大根に含まれるカリウム以外の栄養素
大根に含まれるカリウム以外の栄養素を、おもな部位・調理法ごとにまとめました。
大根に含まれる栄養素 |
100gあたりの含有量 |
葉(ゆで) |
根(皮なし・ゆで) |
切り干し大根(乾) |
大根おろし |
タンパク質 |
2.2g、 |
0.5g |
9.7g |
0.6g |
脂質 |
0.1g |
0.1g |
0.8g |
0.2g |
炭水化物 |
5.4g |
4.0g |
69.7g |
8.0g |
食物繊維 |
3.6g |
1.7g |
21.3g |
5.1g |
ナトリウム |
28mg |
12mg |
210mg |
30mg |
カルシウム |
220mg |
25mg |
500mg |
63mg |
マグネシウム |
22mg |
10mg |
160mg |
23mg |
鉄 |
2.2mg |
0.2mg |
3.1mg |
0.3mg |
β-カロテン |
4400μg |
0μg |
2μg |
0μg |
ビタミンK |
340μg |
0μg |
Tr(微量) |
0μg |
ビタミンC |
21mg |
9mg |
28mg |
7mg |
ビタミンB2 |
0.06mg |
0.01mg |
0.20mg |
0.01mg |
エネルギー |
24kcal |
15kcal |
280kcal |
25kcal |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
切り干し大根には多くの栄養素が凝縮されており、カルシウムや食物繊維などをたっぷりと摂ることができます。また、大根の葉はカルシウム、β-カロテン、ビタミンK、ビタミンC、食物繊維など、さまざまな栄養素が豊富です。
その他にも、大根には辛み成分の「イソチオシアネート」や消化酵素「アミラーゼ」などが含まれています。イソチオシアネートには抗酸化活性作用や抗炎症作用などが期待されており、慢性疾患を予防したい方にも注目の成分といわれています。
酵素は食べ物の消化を助けてくれるため、酵素が含まれる大根はダイエットをしている方や風邪を予防したい方におすすめの食材といえるでしょう。
大根を食べてカリウム、食物繊維などをたっぷり摂取しよう
大根は古くから健康食材として知られる野菜です。大根に含まれるカリウムは、煮たり茹でたりすると水に溶け出して減少してしまいます。加熱調理をする際は注意しましょう。
大根はβ-カロテンやビタミンKなども含まれています。特に切り干し大根はカリウムが豊富に含まれているので、カリウムを摂りたい場合に適した料理です。
大根をおいしく食べて、健康的な毎日を送りましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。