1.サルコペニア予防が期待できる栄養素
まずは、サルコペニア予防のために摂ると良い栄養素と、食事について紹介します。
1-1.タンパク質(アミノ酸)
サルコペニア対策には、タンパク質の摂取が大切です。タンパク質は筋肉を作るために必要不可欠な栄養素であり、サルコペニアによる筋肉の減少を防ぐために十分な量を摂取する必要があります。
サルコペニア診療ガイドラインでもタンパク質を摂取することが、サルコペニアの予防や治療に有効であるとされています。
具体的に必要なタンパク質摂取量は体重1kgあたり1.2~1.5gが目安です。例えば、体重が50kgの方であれば、60~75gが一日の摂取目安量となります。
摂取する際は、できるだけ朝・昼・夜の3食でタンパク質の摂取量が均一になるように意識しましょう。傾向としては、朝や昼に摂取量が少なくなりやすいため、意識してメニューに取り入れてください。
1-2.食事はバランスが大切
ここまでタンパク質の摂取について説明しましたが、食事はバランスが取れていることも重要です。
バランスの良い食事とは、炭水化物などのエネルギーのもととなるもの、タンパク質や脂質など体をつくるもの、ビタミンやミネラルといった調子を整えるもの、これら3つを必要な分だけ摂取できる食事のことです。
そのためタンパク質だけでなく、緑黄色野菜・芋類・海藻類・果物類などからも多様な栄養素を摂取しましょう。これらは、タンパク質を豊富に含む食品ではありませんが、筋肉量や機能を維持するための栄養素を含んでいます。
2.タンパク質が豊富な食べ物
タンパク質は、おもに肉類・魚類・卵・乳製品・大豆に含まれています。それぞれ具体的に、どのぐらいの量が含まれているのかを見ていきましょう。
2-1.肉類(可食部100g当たり)
肉類では、おもに次の食品に含まれています。
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・鶏のささみ(焼き:31.7g)
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・鶏むね肉(焼き:38.8g)
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・豚ひれ肉(焼き:39.3g)
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・豚もも肉(焼き:30.2g)
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・牛もも肉(茹で:30.0g)
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・ビーフジャーキー(54.8g)
2-2.魚類(可食部100g当たり)
魚類では、おもに次の食品に含まれています。
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・春獲りかつお(生:25.8g)
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・きはだまぐろ(生:24.3g)
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・ぶり(生:21.4g)
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・さけ(焼き:29.1g)
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・あじ(焼き:28.7g)
2-3.その他(可食部100g当たり)
卵・乳製品・豆類ではおもに次の食品に含まれています。
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・鶏卵(ゆで:12.5g)
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・プロセスチーズ(22.7g)
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・豆腐(木綿:7.0g、絹ごし:5.3g)
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・納豆(ひきわり:16.6g)
3.サルコペニア予防におすすめの食事
サルコペニア予防のメニューとして、タンパク質を含む食品が摂取できるレシピを紹介します。
3-1.水菜とささみの梅肉サラダ
【材料】2人分
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・水菜 1束
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・鶏ささみ 2本
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・酒 大さじ2
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・しめじ 1房
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・梅干し 1個
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・砂糖 小さじ1/2
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・サラダ油 小さじ1
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・白ごま 適量
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・かつお節 2g
【作り方】
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1.水菜は根を落として5cmの長さに切って水に浸けたら、ザルにあげておきます。しめじは石づきを落として、ほぐして茹でます。
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2.鶏ささみは筋があれば取ってから鍋に入れ、かぶるぐらいの水と酒を入れたら、フタをして火にかけます。沸騰したら火を止めて蒸し煮にし、冷めたらバットに移して手で裂きます。
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3.梅干しは種を取り除いて細かく包丁で叩き、砂糖・サラダ油・白ごま・かつお節とともにボウルに入れて合わせておきます。
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4.1と2を合わせ、3を絡めたら皿に盛りつけて完成です。
2の鶏ささみは、フタをしたまま余熱で中まで火を通すとパサパサになりません。3で梅肉と合わせるサラダ油は最後に入れ、混ぜながらゆっくりと合わせるのがポイントです。
3-2.かつおのユッケ風
【材料】2人分
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・かつおのタタキ 140g
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・きゅうり 1/2本
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・卵黄 1個
(A)
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・コチュジャン 小さじ2
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・砂糖 小さじ2.5
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・しょうゆ 小さじ1/2
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・ごま油 小さじ1
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・白ごま 適量
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・にんにく(すりおろし) 適量
【作り方】
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1.かつおのタタキは1cm角に切り、きゅうりはかつおよりも小さく賽の目に切ります。
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2.(A)をよく混ぜ合わせたら、1のかつおときゅうりをあえます。
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3.皿に2を盛り付け、中央に卵黄を載せたら完成です。
食事からもサルコペニア対策をしましょう
サルコペニアの対策ができる栄養素や食品、レシピについて紹介しました。
サルコペニア対策・筋力維持のためには、肉類や魚類、乳製品、卵、大豆などタンパク質の摂取が効果的です。
ただし、タンパク質以外にも炭水化物や脂質など、その他の栄養素もバランス良く摂ることが大切です。
今回ご紹介したレシピを参考に、食事でのサルコペニア対策も意識していきましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。