サルコペニアとは?予防のために意識すべき生活習慣について紹介

年齢を重ねて、以前よりも歩くことや立ち上がるといった日常の動作がしにくくなったと感じる場面はないでしょうか。

これは、サルコペニアと呼ばれる加齢による筋肉量の低下が原因かもしれません。

今回は、サルコペニアがどういったものなのかを紹介しつつ、その原因と予防のためにできることを解説していきます。

1.サルコペニアとは?

サルコペニアとは、加齢にともない筋肉量が減少し、筋力が低下する老化現象のことです。

筋肉の減少は25~30歳頃から始まり、70歳を超えた頃からは自覚症状が出ることが多いとされています。

サルコペニアは、歩行や起立などの日常生活動作に影響し、徐々に日常動作が億劫(おっくう)になりやすく、悪化すると歩行が困難になる可能性もあります。

特につまずくことが多くなっても、本人や周りが注意力の低下が原因と思いこみ、筋力の低下が原因であることに気付かないケースもあるため、注意してください。

2.サルコペニアの原因

サルコペニアは、加齢にともなうさまざまな要因によって起こります。
おもな原因は以下のとおりです。

  • ・神経系の問題

  • ・運動量の減少

  • ・慢性的な炎症が続いている

  • ・成長ホルモンや性ホルモンの減少

  • ・栄養バランスの乱れ

  • ・酸化ストレス

これらの要因のなかには、防ぎようのないものもありますが、日々の習慣において改善ができるのは食事と運動といえるでしょう。

3.サルコペニアを予防するためにできること

ここからは、サルコペニアを早いうちから予防するために何ができるのかを解説していきます。

3-1.筋肉量が減る要因を知る

まずは、年齢とともに筋肉量が減少する原因を知っておきましょう。

筋肉(筋タンパク)は、合成と分解を繰り返しています。若年層においては、筋肉が合成される量と分解される量がほぼ一定にコントロールされているため、通常の生活において大きく増減することはありません。

しかし、年齢を重ねると作られる筋肉の合成量が減少する一方で、分解される量は増えるため、通常の生活を送っているだけでは筋肉量は減少しやすくなります。

3-2.筋肉量を増やすための運動と食事

若いうちは特に運動をせず、食事を意識しなくとも、筋肉量が急激に減るようなことはあまりありません。しかし、高齢になっても同じような生活を続けていれば、筋肉は減少しやすくなってしまいます。

そのため、筋肉量をなるべく減らさないよう適度な運動を日常生活に取り入れることが大事です。

具体的には、筋力と筋肉量を向上するための運動をするとよいでしょう。特に、腕立て伏せ・スクワット・ダンベル体操など、筋肉に繰り返し負荷をかけるレジスタンス運動が推奨されています。

また、食事においては、筋肉の構成成分であるタンパク質を積極的に摂ることが重要です。タンパク質は肉・魚・卵・大豆製品などに多く含まれているため、これらを意識して摂ってみてください。

サルコペニアの原因を知って早めの予防を心がけましょう

サルコペニアとは、年齢とともに筋肉量が減り、筋力が低下する老化現象のことです。

サルコペニアになるとさまざまな日常生活の動作に影響し、悪化すると転倒しやすくなったり、介護が必要になったりします。そのため、サルコペニアは早めに予防しておくことが大切です。

サルコペニア予防のためには、筋肉の材料になるタンパク質を意識して摂り、日頃から運動することを心がけるとよいでしょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。