サルコペニアの予防に効果的な運動方法とは?
運動時の注意点についても解説

年齢を重ねると、立ったり座ったりなどの動きを億劫に感じる方も多いでしょう。このように、加齢によって筋肉の量が減り衰えていく老化現象をサルコペニアと呼びます。

サルコペニアの原因は、おもに運動量の低下と考えられています。背中から膝にかけての筋肉などが衰え、歩いたり立ち上がったりする動きが難しくなります。

そこで今回は、サルコペニア予防に効果的な運動方法、運動時の注意点について解説します。

1.サルコペニア予防には運動が重要

サルコペニアを予防するためには、適度に運動をして筋力や筋肉量を向上させることが効果的です。

体幹や脚の筋肉は、重力に負けないように体を真っすぐ保つ役割があります。しかし、体幹や脚の筋肉は老化によって小さくなりやすい部分です。体を支える部分の筋肉が衰えると、日常生活に支障が起きるだけでなく、正常に歩くことができなくなることもあります。

例えば、つまずくことが増えたり、スムーズに立ち上がれなかったりする場合は、筋肉の衰えが進行しているかもしれません。つまずくのは単なる不注意と思われがちですが、サルコペニアが進んでいる可能性もあります。

筋肉の衰えが原因の場合は、筋力や筋肉量を増やすための運動を意識的に行なうことが重です。

2.サルコペニアを予防するための運動

筋肉量が減少するサルコペニアは、トレーニングで筋力や筋肉量を増やすことで進行を抑えらます。ここでは、サルコペニアを予防するためのおすすめの運動を紹介します。

2-1.レジスタンス運動

レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗をかける動作を繰り返す運動方法です。ダンベルやマシンなど器具を利用する方法と、スクワットや腕立て伏せなど自分の体重を利用する方法があります。

手軽に行ないたい方は、特別なマシンのいらないスクワットや腕立て伏せが適しています。

しかし、体にかかる負荷を調整しにくい欠点もあるため、工夫が必要です。例えば、スクワットなら、机などに手をついて行なったり、しゃがむ深さを調整したりするなど、体に合わせてやり方を変えてみることをおすすめします。

太ももやお尻の筋肉を鍛えるなら、椅子に腰かけた状態で足を交互にゆっくりと持ち上げる運動が効果的です。
具体的なやり方としては、片脚を3秒上げて3秒かけて下ろす動きを片脚ずつ10回してみましょう。
そうすることで、太ももの前の部分の筋肉(大腿四頭筋)を効果的に鍛えられます。座ったままできるため、外出が難しい人にもおすすめの運動です。

2-2.軽い運動からスタートする方法もある

スクワットやダンベルなど、負荷の重いレジスタンス運動が難しい方もいるでしょう。
その場合は、ウォーキングやラジオ体操など、できる範囲の運動から始めることをおすすめします。

運動を習慣化させることから始め、体を動かすことに慣れたら負荷の重い運動にも挑戦してみてください。

運動習慣を身に付けるのが難しい場合は、その日行なった運動を記録に残しておくことをおすすめします。その日を振り返ることで、習慣化しやすくなるでしょう。

3.運動時の注意点

筋肉は、運動すると疲労が溜まるため、毎日トレーニングしないように注意しましょう。
レジスタンス運動で、負荷をかけたら筋肉を十分に休めることが大切です。

目安は、2~3日に1回、1週間に2~3回程度の頻度で運動することをおすすめします。
1回だけ頑張るのではなく、無理なく継続的に行なうことが大切です。

しかし、腰痛や関節痛などの症状がある場合は、運動することで悪化する可能性もあります。痛みを感じたら、自己判断せず早めに医師に相談しましょう。

運動習慣を身に付けてサルコペニアを予防しよう

加齢によって筋肉量が減少するために起こりうるサルコペニア。加齢とともに体が衰える老化現象は、誰でも起こるものですが、筋肉や筋力の低下は放置すると、日常の動作に影響が出る可能性もあります。

そのため、少しでも健康的な毎日を送るためには、運動習慣を身に付けることが大切です。

体に負荷をかけるレジスタンス運動や気軽にできるウォーキングなど、自分にあった運動を行ないましょう。毎日動くよりも、筋肉が回復する時間をしっかり確保することが大切です。また、腰痛や関節痛など痛みがある場合は、体の様子を見ながら無理なく運動しましょう。

運動習慣を身に付けて、いつまでもスムーズに動ける体を目指しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。