1.LDL(悪玉)コレステロールとは?
LDLコレステロールの概要と基準値を解説します。
1-1.LDL(悪玉)コレステロールについて
LDLコレステロールとは体内に存在する脂質の一種で、「悪玉コレステロール」とも呼ばれるものです。人体に欠かせない脂質成分であるコレステロールには「LDLコレステロール」「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」などの種類があり、LDLコレステロールには肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を持っています。
LDLコレステロールは基準値内であれば健康上の問題はありませんが、増えすぎるとさまざまなリスクにつながるため、注意しなければなりません。
1-2.LDL(悪玉)コレステロールの基準値
血液検査でのLDLコレステロールの正常範囲は140mg/dL未満、140mg/dL以上は高LDLコレステロール血症となります。
2.LDL(悪玉)コレステロールが増えすぎるとどうなる?
血液中に存在するLDLコレステロールが過剰になると、余ったLDLコレステロールは血管の内壁にくっついて蓄積していきます。沈着したLDLは血管内でドロドロの粥状(じゅくじょう)物質を形成し、血管を狭くして血流を悪くしたり、血管のしなやかさを損なったりと、さまざまなリスクをもたらします。
3.LDL(悪玉)コレステロールの増えすぎを予防・改善する食事
LDLコレステロールが気になる方におすすめしたい栄養素や食品を解説します。
3-1.コレステロールを抑える食品を積極的に摂る
青魚や食物繊維の豊富な食品を積極的に摂ると、コレステロールを抑えることにつながります。
青魚に豊富な不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペントエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、サラサラ成分としても知られる栄養素です。EPAやDHAは必須脂肪酸の一種で、人体では合成できないため、食品から摂取しなければなりません。
また、食物繊維は血液中のコレステロール濃度を下げるはたらきを持つことが明らかにされています。食物繊維は野菜や果実、豆、海藻、きのこなどに多く含まれています。
3-2.抗酸化作用の強い栄養素を含む食品を積極的に摂る
抗酸化作用のある栄養素を摂取するのも、コレステロール対策として効果的です。血管壁に付着したLDLコレステロールが活性酸素の影響で酸化すると“ドロドロ血管”のもとになります。しかし、抗酸化物質を摂取すると、活性酸素の発生を抑えたり、取り除いたりする作用があり、LDLコレステロールの酸化を防いでくれます。
おもな抗酸化物質はビタミンCやビタミンE、β-カロテン、ポリフェノールです。ビタミンCは野菜や果物、ビタミンEは野菜やナッツ類、β-カロテンは緑黄色野菜、ポリフェノールは大豆やごま、緑茶、紅茶などに多く含まれています。
3-3.摂りすぎに注意する食品
コレステロールを多く含む食品や、動物性脂肪分の多い食品は、LDLコレステロールの増加につながりやすいため、摂りすぎに注意しましょう。
卵黄やしらす干し、生クリーム、バターなどはコレステロールの多い食品です。肉類はタンパク質の補給としても重要ですが、脂身を避けて脂肪の少ない部分を食べ、魚や大豆の摂取回数を増やすとコレステロールの摂りすぎを予防できます。
LDLコレステロールの増加を防いで健康的な食生活を
LDLコレステロールには、肝臓で産生されたコレステロールを全身に運ぶはたらきがあり、140mg/dL未満が正常値とされています。
コレステロールの増加を防ぐはたらきのある食物繊維や、青魚などに含まれるサラサラ成分のEPAやDHAなどを積極的に摂取すると、健康的な体づくりに役立ちます。また、LDLコレステロールの酸化を防ぐビタミンCなど、抗酸化作用を持つ栄養素を摂り入れるのも効果的です。
LDLコレステロール値を適正に保ち、健やかな毎日を送りましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医