1.中性脂肪(TG・トリグリセリド)とは?
中性脂肪の摂りすぎは肥満や生活習慣病を招きますが、実は私たちの体にとっては大切な存在です。
1-1.中性脂肪(TG・トリグリセリド)について
中性脂肪とは、トリグリセリドや脂肪とも呼ばれる脂質の一つです。肉や魚、料理で使う油などさまざまな食品に含まれています。
栄養成分表示を見て「脂質」と書かれているものは、ほとんどがこの中性脂肪です。また、体脂肪も多くは中性脂肪が占めています。
1-2.中性脂肪(TG・トリグリセリド)のはたらき
中性脂肪は、私たちの体を動かすための重要なエネルギー源です。また、脂溶性ビタミンや、必須脂肪酸の摂取の際にも大きく関わっています。
しかし、中性脂肪を摂り過ぎると内臓脂肪として蓄えられるため、摂取量には気をつけなければなりません。
また、中性脂肪は善玉であるHDLコレステロール値を下げ、LDLが小型化することによって、血管のしなやかさが失われる原因としても知られています。
2.中性脂肪(TG・トリグリセリド)の数値が高い場合のリスク
では、中性脂肪が高い状態を保っていると体にどのような影響が出るのでしょうか。
2-1.数値について
中性脂肪は多すぎても少なくてもよくありません。
異常 |
29㎎/dL以下 |
基準範囲 |
30~149㎎/dL |
要注意 |
150~499㎎/dL |
異常 |
500㎎/dL以上 |
このように、29㎎/dLを下回った場合と、500㎎/dLを上回った場合は異常となります。低すぎる場合は、低βリポタンパク血症や低栄養などの可能性があるでしょう。高すぎると血管のしなやかさが失われるため、早めの対処が必要です。
2-2.数値が高い場合のリスク
中性脂肪の値が高い場合、次のリスクが上がることがわかっています。
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・高トリグリセライド血症
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・糖尿病
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・血管の弾力性の低下
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・甲状腺機能低下症
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・膵炎
中性脂肪の値が150mg/dl以上になると高トリグリセライド血症となり、メタボリックシンドロームの診断基準の一つを満たすことにもなるので注意しましょう。
3.中性脂肪(TG・トリグリセリド)が高い場合の改善方法
中性脂肪が高い場合は、まず以下のように食生活の見直しを始めましょう。
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・甘い物を摂りすぎない
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・お酒は節度ある適度な量にする
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・脂っこい食事や糖質の摂りすぎを避ける
肉や魚、食用油やバターなどにも多く含まれているため、これらの食品を摂りすぎないことも大切です。ただし、青魚に含まれているn-3系(ω-3系)多価不飽和脂肪酸は中性脂肪を下げる働きがあるので、魚を食べる場合は青魚を選ぶようにするとよいでしょう。
食生活を見直して中性脂肪を下げよう
中性脂肪は私たちの体を動かすエネルギー源として重要ですが、摂りすぎは糖尿病や肥満などの原因となります。
甘い物を好んだりお酒をよく飲んだりする方は、中性脂肪の値が高い可能性があるため、まずは食生活の見直しを行なってみましょう。
一般に魚には中性脂肪が多く含まれますが、青魚は逆に中性脂肪を下げる働きをサポートしてくれます。一日に1切れ程度を目安に食べるのがおすすめです。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医