ヒートショックの予防法とは?
ヒートショックのメカニズムについても解説

肌寒い季節に注意したいのが、ヒートショックです。年齢に関係なく起こりますが、特に高齢者に多く見られます。

ヒートショックは気温の変化によって心臓や血管に負担がかかるため、とにかく予防が大切です。

今回はヒートショックの予防法、ヒートショックが起きるメカニズムなどを解説します。

1.ヒートショックとは?

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変化し、心臓や血管に負担がかかることです。例えば浴室から脱衣所に移動したり、湯船に長く浸かったりすることで起こります。トイレで体を露出する際に、引き起こす方もいます。ヒートショックになると、倒れるだけでなく、湯船で溺れてしまうこともあるため、気を付けなければなりません。

また、急激な温度変化のある11月から2月頃の寒い時期に起こりやすいのも、ヒートショックの特徴です。10度以上の温度差がある場所を行き来すると、リスクが高まるといわれています。

ヒートショックを含む入浴中の事故は年々増加しており、2014年の事故件数は2004年に比べて約7割も増加していました。入浴中の事故の9割は65歳以上の高齢者で起こっていますが、乳幼児を含めて全年齢で起こりうるため、注意が必要です。

ヒートショックを起こしやすい方の特徴は、以下のものが挙げられます。

  • ・65歳以上である

  • ・高血圧や糖尿病などの疾患がある

  • ・肥満気味である

  • ・浴室に暖房器具がない

  • ・熱いお風呂に入ることが多い

  • ・30分以上入浴することが多い

これらに該当する方は、特に注意して入浴するようにしましょう。

2.ヒートショックのメカニズム

ヒートショックが起こるのは、気温の変化による急激な血圧の変化が原因です。例えば、暖房が効いた部屋から気温の低い脱衣所へ行くと、寒さによって血管が収縮することで血圧が上昇します。その後、湯船に浸かると血管が拡張するため、今度はゆっくりと血圧が低下し、お風呂から上がって脱衣所に行くと再び血管が収縮します。

このように温度の変化によって血圧が上がったり下がったりを繰り返すと、ヒートショックの原因になるため、温度差がある場所ならお風呂以外で起こる可能性もあります。

3.ヒートショックを予防する方法

ヒートショックが原因で亡くなる方は、年間1万人以上もいるといわれています。寒い時期はヒートショックが好発しやすいため、特にリスクが高い方は以下の対策を日頃から行ないましょう。

  • ・脱衣所や浴室に暖房器具を設置する

  • ・シャワーを使ってお湯を張る

  • ・日が明るいうちに入浴を済ませる

  • ・飲酒後や食事した直後の入浴は避ける

  • ・お湯の温度を41度以下のぬるめに設定する

  • ・湯船に浸かる前にシャワーで体を温める

  • ・浴槽から出るときはゆっくりと立ち上がる

脱衣所や浴室専用の暖房器具を設置することで、急激な温度変化を最小限に抑えられます。今日からでもすぐにできる対策方法としては、シャワーでお湯を張る方法があります。高い位置からシャワーでお湯をはると蒸気が広がり、浴室全体を温めることが可能です。

日が明るいうちはまだ冷え込みがそこまで強くないため、早めに入浴を済ませるとよいでしょう。飲酒や食事の直後は血圧が普段より下がりやすいため、入浴は控えるようにします。

その他、1人での入浴を避けるのも効果的です。あえて公衆浴場で入浴をしたり、家族に今から入浴することを伝えておいたりすることで、万が一の際も素早い処置をしてもらえます。

日頃からヒートショックの予防を心がけよう

ヒートショックは温度変化によって血圧が変動することが原因で起こります。

11月から2月頃の寒い時期に起こりやすく、若者よりも高齢者でよく見られます。ヒートショックになると転倒したり湯船で溺れたりするおそれがあるため、十分に気を付けましょう。

ヒートショックは、脱衣所や浴室に暖房器具を設置したり、お湯の温度をぬるめにしたりすることで予防できます。寒い時期は、できるだけ温度変化が少ない環境で生活するよう、心がけることが大切です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医