ストレスと胃痛の関係とは?
ストレスで胃痛が生じる理由と対処法を解説

「ストレスが溜まると胃が痛くなる」と感じたことはありませんか?ストレスと胃痛には、密接な関係があります。ストレスによって胃痛だけでなく、不快感や吐き気、胸やけなどが出る方もいるでしょう。

なぜ、ストレスが胃の不調をきたす原因となるのでしょうか。

今回は、ストレスと胃痛の関係、胃痛が出たときの対処法について解説します。

1.ストレスで胃痛が生じる理由

ストレスで胃痛が生じてしまうのは、おもに以下のようなことが影響していると考えられています。

  • ・胃酸の分泌量が増える

  • ・胃粘膜の血流量が低下する

胃では、食べ物を溶かして消化するために、胃酸やペプシンという消化酵素が分泌されています。これらは食べ物だけではなく、胃の壁まで溶かすほどの強いパワーを持っていますが、通常は胃粘液やプロスタグランジンという物質で守られているため、胃の壁が溶かされることはありません。

しかし、ストレスによって自律神経の働きが乱れると、胃酸の分泌量が増えたり胃粘膜の血流量が低下したりして、胃の分泌物のバランスが崩れてしまいます。その結果、胃粘膜の保護力が下がると、胃酸などの刺激によって胃が荒れてしまい胃痛が生じるのです。

2.ストレスで胃痛が生じたときの対処法

ストレスが原因と思われる胃痛の症状が出たときは、食事や日常生活に気を遣うことで対処できます。

2-1.食事について

胃痛があるときは、次のような食事を心がけることで胃の負担を減らせるでしょう。

  • ・胃酸の分泌量を増やす飲食物は控える

  • ・塩分過多にならないようにする

  • ・ゆっくり噛んで食べる

  • ・冷たい飲み物を一度に多く飲まないようにする

  • ・消化の良いものを食べる

  • ・食べすぎに気を付ける

香辛料が多いものや酸味・甘みが強いものは、胃酸の分泌量を増やす働きがあります。コーヒーや紅茶、炭酸飲料なども胃酸を増やすため、胃痛があるときはあまりおすすめできません。

塩分は、過剰摂取すると胃粘液を減少させるため、あまり摂りすぎないように注意することが大切です。

食べ物をあまり噛まずに飲み込んだり、冷たい飲み物を一度に多く飲んだりすることも、胃に負担をかけやすくなります。

また、脂肪分や食物繊維を豊富に含むものは、消化に悪い食品です。脂身の多い肉やきのこ、海藻などは控え、消化しやすい白身魚やじゃがいも、ニンジン、りんごなど消化の良い食べ物を摂るようにしましょう。

2-2.生活習慣について

食事以外に、次のポイントに気を付けることも胃痛の対処に効果的です。

  • ・寝る前は食事を控える

  • ・喫煙を控える

  • ・疲労を溜めないように心身をしっかりと休める

寝る前に食事をすると、食べ物の消化・吸収を行なう胃や腸に負担がかかってしまいます。そのため、遅くとも寝る3時間前までには食事を済ませましょう。

タバコに含まれているニコチンには、胃酸の分泌量を増やしたり胃粘膜の血流を滞らせたりする働きがあります。また、喫煙によって、胃潰瘍のおもな原因となるピロリ菌に感染しやすくなるとされています。より胃痛を引き起こすことになりかねないため、喫煙は控えましょう。

そして、ストレスを溜めこまないよう、日頃からしっかりと睡眠をとって心身を休めることも大切です。

2-3.病気の可能性もあるため病院へ行く

胃や腸の状態には、生活習慣が大きく影響するとされているため、胃の不調を感じた場合は先ほど紹介したポイントを意識してください。

しかし、食事や日常生活の見直しを行なっても胃の状態が改善されないようなら、何らかの病気があるかもしれないので、医療機関を受診するようにしましょう。

ストレスが原因の胃痛は早めに病院を受診しましょう

ストレスが原因の胃痛は、ストレスで自律神経が乱れ、胃の分泌液のバランスが崩れることによりおもに引き起こされるものです。

胃に不調を感じた場合は、胃を刺激しやすい食品を避けたり消化しやすいものを食べたりすることで、症状を和らげられるでしょう。食べすぎに気を付け、喫煙を控えることも大切です。

医療機関を受診すると、症状に応じて胃酸を抑える薬や胃を保護する薬などを処方してもらえます。症状が続くときは、早めに診察を受けると安心です。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。