胸部の不快感の原因とは?
すぐに受診をしたほうが良い症状についても解説

「なんだか最近、動悸がする」
「息苦しさを感じるのは疲れのせいかな」
胸痛や息苦しさなどの胸の不快感は、大きな病気ではないかと不安に感じ、生活に支障が出ることもあります。

胸の不快感のおもな原因は、心臓や肺などの病気や日々のストレスです。
健康な日々を送るためにも、胸の症状が現れる原因や対処法をあらかじめチェックしておきましょう。

今回の記事では、胸部の不快感の原因と対処法を解説するほか、すぐに病院を受診したほうが良いケースについてご紹介します。

1.胸部に現れる不快感の原因とは?

動悸や息苦しさのおもな原因は、ストレス性のものと病気によるものが考えられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

1-1.ストレス

ストレスは、胸の不快感を引き起こす原因の一つです。

人間がストレスを感じると動悸や息切れの症状が現れ、胸部の不快感につながります。心身にかかる外からの刺激をストレッサーと呼びますが、ストレッサーに順応するために心身に起こるいろいろな反応がストレス反応です。

ストレス反応は心理面、身体面、行動面の3種類に分かれます。このうち身体面、すなわち体に生じるおもなストレス反応は次のとおりです。

  • ・動悸・息切れといった胸の不快感がある

  • ・血圧の上昇

  • ・関節が痛む

  • ・頭痛や肩こり、腰痛が起こる

  • ・胃痛や食欲低下、便秘や下痢など消化管の調子が良くない

  • ・寝つきの悪さ、早朝に目が覚める

  • ・手や足裏に汗をかく

ストレス反応が起こると、症状を和らげるために人間の体はストレス対処(コーピング)を行ない、心身に起こるストレス反応を徐々に緩和していきます。

しかし、なかなかストレス反応が緩和されないままだと、心身症と呼ばれるストレスに関連した病気を招きかねません。

ストレスはどのような人でも感じるものですが、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

1-2.病気

胸の不快感がストレスではなく、病気によるものの場合もあります。

胸の痛みや不快感があると、心臓に問題があるのではないかと感じる方もいるでしょう。しかし、胸の不快感を引き起こす病気は数多くあり、必ずしも心臓に原因があるとは限りません。

心臓以外で胸の不快感を引き起こす病気には、次のようなものがあります。

  • ・胸膜炎

  • ・自然気胸

  • ・逆流性食道炎

  • ・肋骨の骨折

  • ・パニック障害 など

胸膜炎や自然気胸は肺に生じる病気で、胸痛や息苦しさなどの症状が現れます。

逆流性食道炎は、胃酸が逆流して食道に炎症が起こる病気です。胸やみぞおちのあたりに痛みを感じるほか、胸やけや酸っぱいものが上がってくる感覚があります。

また、気付かないうちに肋骨を骨折していたことが、胸痛の原因であったケースもあります。

その他、パニック障害の発作時にも胸苦しさや動悸を感じることがあります。

軽い症状だからといって放置していると重症になってしまうこともあるので、症状が続くようであれば一度医療機関を受診しましょう。

2.すぐに受診をしたほうが良い症状

胸の不快感のなかには、心臓の病気が原因である場合もあります。

次の症状が出ているときは、命に関わるおそれがあるため、一刻も早く救急外来を受診して処置を受けましょう。

  • ・胸や背中に突然の激痛が走る

  • ・急な息切れや呼吸困難に陥る

  • ・突然気を失ってしまう

  • ・胸の中心が圧迫されるような痛み、締めつけられるような痛みが30分以上続く

3.胸の不快感を少しでも緩和するには?

胸の不快感を和らげるためには、原因に合わせた対策を行ないましょう。

例えばストレスが原因の場合には、日頃からストレスを発散できるよう、趣味や生きがいを感じる時間を持つことが大切です。また、周りの人や専門家のサポートは、ストレスの原因解決にもつながるでしょう。

一方で、前章で紹介した病気の症状などが見られる場合は、少しでも早くかかりつけ医へ相談することをおすすめします。

胸の不快感が続くときは医師への相談など適切な対処を

胸の不快感の原因は、ストレスのほかさまざまな病気が考えられます。

ストレスによって動悸や息苦しさを感じる場合は、ストレスの原因を取り除いたり、こまめにストレスを発散したりしましょう。

ただし、病気が原因と考えられるときは、早めの医師への相談がおすすめです。とりわけ、激しい胸痛や呼吸困難がある場合はただちに救急外来を受診しましょう。

胸の不快感が続くときは、原因に合わせた適切な対策を行なってください。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。