胸痛の原因とは?
痛みがあるのに異常がない「胸痛症候群」について

胸の痛みがたしかにあるのに、検査をすると異常は見つからない……。もしかすると、その症状は「胸痛症候群」かもしれません。

胸痛症候群はチクチク・ピリピリといった痛みのほかに、胸が締め付けられるような感覚がある方もいるなど、症状はさまざまです。

今回の記事では、胸痛の原因、胸痛症候群の特徴、胸痛で病院を受診する際のポイントを解説します。

1.胸痛にはさまざまな原因がある

胸の痛みを感じる原因は、おもに以下のようなものが挙げられます。

  • ・胸の皮膚が傷付いている

  • ・肋骨、胸の筋肉などに原因がある

  • ・消化器に負担がかかっている

  • ・ストレス

  • ・心臓や肺の病気など

皮膚や肋骨、胸の筋肉といった「胸の表面の痛み」は、針で刺されたようなチクチクとした痛みが特徴です。一時的なものであることもありますが、なかなか痛みが治まらない場合や異常を感じたときは早めに病院を受診しましょう。

胃や食道といった消化器への負担やストレスも、胸の痛みとして現れることがあります。このような場合は、消化の良いものを食べて消化器を休めるほか、適度な休息やストレス発散などで心身をリラックスさせるのも有効です。

「胸の奥の痛み」の場合は、心臓や血管に何らかの異常が生じているケースが考えられます。胸痛のほか、激しい胸の圧迫感があるときは、早急に処置が必要です。

胸痛にはさまざまな原因が考えられるため、胸部に長く続く痛みや激しい痛みがある場合は医療機関を受診しましょう。

2.痛みの原因が見つからない「胸痛症候群」とは

「胸が急に痛む」という症状があるにも関わらず、医師の診断では異常が見つからないときには「胸痛症候群」と診断されることがあります。

胸痛症候群は、若い女性の発症が多く報告されている病気です。チクチク・ピリピリといった刺すような痛みのほか、人によっては胸が締め付けられる感覚もあります。ピンポイントで痛みが生じ、体を伸ばしたり、体勢を変えたりしたときに痛みが消失したり、反対に現れたりする傾向があります。成長期や思春期によく見られる病気で、おもに筋肉や骨格の成長に関連し、日が経つにつれて自然に良くなるといわれています。

若い人に起こる胸痛は、命の危険があるものは多くありません。検査で異常が見当たらなければ、このような「胸の表面の痛み」が多いと考えられます。胸痛はあるにも関わらず異常が見つからない場合は、整形外科や心療内科など専門医の診察を受けてみるとよいでしょう。

3.胸痛で医療機関を受診する際のポイント

胸の痛みを感じて病院を受診する場合は、以下のような情報を事前にまとめておくと、原因の特定に役立ちます。

  • ・いつから症状が見られるのか

  • ・どのような痛みがあるのか

  • ・痛みの強さはどのくらいか

  • ・痛みが続く時間はどのくらいか

  • ・特に痛みを感じる姿勢があるか

  • ・呼吸によって痛みは変化するか

  • ・痛み以外にも症状があるのか

早く正確に診断できれば、より適切な治療を受けることが可能です。診察室でスムーズに受け答えができるよう、あらかじめメモにまとめておきましょう。

胸痛が続く場合は医師に相談しよう

胸痛の原因はさまざまであり、心臓や肺、消化器の病気、皮膚の傷やストレスなどによって起こる可能性があります。

若い女性に多い胸痛の一つである「胸痛症候群」は、筋肉・骨の成長やストレスが原因とされています。検査で異常はなくとも胸痛が続く場合は、整形外科や心療内科などにかかるとよいでしょう。

いずれの場合も、胸の痛みが長く続くときは医師への相談がおすすめです。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。