痛風(通風)とは?食事のポイント・生活の注意点について

痛風は、かつては宴会や接待での贅沢な飲食が多い中高年男性に多くみられましたが、最近では20~30代男性でもめずらしくないという風潮になっています。この世代は、生活習慣が乱れがちです。痛風になると、なんの前触れもなく足の親指に激痛が走り、しばらく歩けなくなる方もいます。

痛風を予防・改善するためには、生活習慣を見直すことが重要です。

今回は、痛風の症状がある場合の食事のポイントや生活するうえでの注意点を紹介します。ぜひ、今後の生活に活かして健康的な毎日を送りましょう。

1.痛風(通風)とは?

痛風とは、“風が吹いただけでも痛い”といわれるほど、激しい痛みのある病気です。その痛みには、足や指などの関節に赤い腫れをともないます。これは体内に過剰な尿酸が溜まり、結晶化することで強い関節炎を起こしているのです。

強い痛みは、発作的に起こり2~3日程度続きます。痛みは徐々に弱くなり、完全に痛みがなくなるのはだいたい7~10日です。しかし、適切な治療を受けずに放置していると同じ症状を繰り返します。この痛風発作を繰り返すたびに病態は悪くなるため、早めの受診が大切です。

前述したとおり、痛風の原因は血液中の「尿酸値」が高いことにあります。健康診断などの血液検査の結果が「7.0㎎/dl」以上の場合を「高尿酸血症」といい、注意が必要な状態です。この期間が長いほど、痛風を発症する危険性が高くなります。

2.痛風(通風)の症状がある場合の食事のポイント

痛風の症状を改善する第1歩として、日常の食事を見直すことが重要です。以下で食事の際に注意すべきポイントを紹介しますので、症状が出ている方は参考にしてみてください。

2-1.摂取カロリーの制限

痛風の症状がある場合、まずは摂取カロリーを抑えましょう。食べ過ぎは、痛風を引き起こすリスクを高めます。

また、肥満はインスリンというホルモンを増加させ、腎臓での尿酸の排泄を妨げるため、尿酸値を上げてしまうのです。

適切な摂取カロリーは、性別・年齢・体重・日々の生活スタイルによって異なるため、かかりつけ医に確認してみましょう。

2-2.栄養バランスのとれた食生活

炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランス良く摂りましょう。

尿酸値が高い場合、尿をアルカリ性にすると、尿路結石ができるリスクを下げます。野菜や海藻、乳製品は尿をアルカリ性にする働きがあるため、積極的に食べましょう。

  • ・主食:毎食きちんと食べます。食べ過ぎず少な過ぎず、適量を食べましょう。

  • ・主菜:肉や魚などのタンパク質食品を毎食1品食べます。肉よりも魚を多くしましょう。

  • ・副菜:野菜・海藻・イモを使って毎食2品用意します。

  • ・汁物:塩分を控えるため、一日1杯までにしましょう。

  • ・油:揚げ物など油を使う料理はカロリーが高くなるため、一日2品までにします。

  • ・間食:毎日、果物1個と牛乳コップ1杯(200ml)を摂って、ビタミンとミネラルを補給しましょう。

2-3.プリン体の多い食品を控える

プリン体は体のなかで「尿酸」に変化するため、尿酸値を上げる要因になります。プリン体が特に多い次のような食品は控えたほうがよいでしょう。

【プリン体の多い食品】

食品100gあたりのプリン体含有量
非常に多い(300㎎以上) 多い(200~300㎎)
・あんこう 肝(酒蒸し)
・いさき白子
・まいわしの干物
・干しシイタケ
・煮干し
・かつお節
・かつお
・まいわし
・大正エビ
・さんまの干物
・まあじの干物

参照:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中プリン体含量(mg/100g)

プリン体の摂取量に注意が必要な方は、一日に400mg以内に収めるよう推奨されています。

また、プリン体を多く含む食品には「細胞の数が多い」という特徴があります。プリン体は細胞の核のなかにあるため、細胞数が多い食品ほどプリン体が多いのです。

例えば、鶏卵1個に含まれるプリン体量がほぼゼロに対し、タラコなどの魚卵や白子などの内臓は小さな細胞が詰まっているため、プリン体量が多い特徴があります。

しかし、プリン体は水に溶ける性質があるため、「ゆでる」「煮る」といった調理法で減らすことが可能です。ただし、ゆで汁や煮汁にはプリン体が溶け込んでいます。汁は残すようにしましょう。

3.痛風(通風)の症状がある場合の生活の注意点

痛風の症状がある場合は、尿酸値を6.0㎎/dl以下に下げるよう努めましょう。普段の生活では、以下2点に注意が必要です。

3-1.水分を十分に摂取する

一日に1.5~2リットルの水分を摂りましょう。水をたくさん飲むことで、体内にある尿酸を尿で排出するのを促します。

また、糖分の多いジュースやカロリーが高い牛乳・お酒は、水分の代わりにはなりません。カロリーゼロの水やお茶を飲みましょう。

3-2.アルコールは節度ある量に留める

アルコールは、尿酸値を上げる作用があります。プリン体の多いビールだけでなく、プリン体が少ないワインや日本酒、プリン体をほとんど含まないウイスキーや焼酎といったお酒も節度ある適切な量を守って楽しみましょう。

【お酒の一日の目安量】

  • ・ビール 500ml

  • ・日本酒 1合(180ml)

  • ・焼酎 0.5合(90ml)

  • ・ワイン 2杯(240ml)

  • ・ウイスキー ダブル1杯(60ml)

痛風の予防・改善には日々の食事を見直しましょう

痛風は、食べ過ぎなどが原因で尿酸が体内に溜まり、それが結晶化することで強烈な関節炎を引き起こす病気ですが、適切な治療を受ければ健康的な生活が送れます。

痛風を予防・改善するためには、食習慣を見直すことが大切です。食べ過ぎを避け、節度ある適切な量の飲酒を守り、十分な水分補給を心がけましょう。

また、プリン体の多い食品については控えめにする、煮汁は飲まないなど工夫が必要です。

イキイキとした毎日を過ごすためにも、体に優しい食習慣を心がけていきましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。