椎間板ヘルニアとは?
おもな症状や原因をチェック

腰が痛くて思うように動けない、足がしびれて歩きにくいという場合、疑われる病気として「椎間板ヘルニア」があります。

椎間板ヘルニアはテレビ・雑誌などのメディアで取り上げられることがありますが、症状や発症原因など、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、椎間板ヘルニアの概要を踏まえつつ、発症部位別におもな症状と原因、予防方法をわかりやすく解説します。

1.椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアとは、背骨にある軟骨(椎間板)が運動の衝撃や老化などによって、本来あるべき位置からずれてしまい、神経を圧迫する状態のことです。

ヒトの背骨は24個の骨から構成され、椎間板はその骨と骨を結び付けるようにして存在しています。背骨の負担を和らげるクッションの役割を持ち、中心には「髄核」というゼリー状の組織があります。この髄核が椎間板から飛び出して、神経にダメージを与えると、激しい痛みやしびれといった症状を引き起こしてしまうのです。

背骨は上部から頸椎・胸椎・腰椎という3つのカテゴリに分かれ、椎間板はこれらの骨と骨の間に存在します。つまり、椎間板ヘルニアは頸部から腰部まで、いずれの部位にも生じる可能性があるということです。特に腰部で発症するケースが多く、椎間板ヘルニアの多くを占めています。

2.椎間板ヘルニアのおもな症状と原因

椎間板ヘルニアを予防するためには、症状と原因を知っておくとよいでしょう。

2-1.おもな症状

椎間板ヘルニアのおもな症状を発症部位別にまとめたので、下記の表をご覧ください。

病名 症状例
腰椎椎間板ヘルニア 腰を曲げにくい、腰・背中のこり、下肢の痛みやしびれ、歩行困難、排尿・排便がしにくい、足に力が入りにくい、背骨が横に曲がる(疼痛性側弯)
頸椎椎間板ヘルニア 首・肩・腕の痛みやしびれ、ものを持ちにくい、手指を動かしにくい、足のもつれ、歩行困難
胸椎椎間板ヘルニア 下肢のしびれ、下肢感覚の低下、筋力低下、足のもつれ、排尿がしにくい、残尿感

2-2.おもな原因

おもな原因とされるものは、以下のとおりです。

病名 原因例
腰椎椎間板ヘルニア 椎間板の老化、重いものを持つ動作、ものを引っ張る動作、体をひねる動作、長時間のデスクワーク、崩れた姿勢での作業、運動の衝撃、喫煙
頸椎椎間板ヘルニア 椎間板の老化、崩れた姿勢での作業・運動
胸椎椎間板ヘルニア 椎間板の変性(外傷などの誘因が見られない場合が多い)

3.椎間板ヘルニアの予防方法について

椎間板ヘルニアを予防するには、普段から背骨に負担がかからないようにすることが大切です。

特におすすめの予防方法は、背骨を支えている腹筋・背筋の筋力トレーニングです。腹筋・背筋を鍛えると、背骨にかかる負担を軽減でき、結果的に椎間板ヘルニアの予防につながります。

また、オーバーウエイト(太りすぎ)も背骨の負担が増大する原因のため、体重管理が欠かせません。カロリー過多にならないよう、バランスのとれた食生活を送るのが重要です。

椎間板ヘルニアは発症部位を問わず、医療機関での治療が必要なケースもあります。痛みやしびれといった症状が出てきたら、早期に医師へ相談しましょう。

椎間板ヘルニアの症状に対する正しい知識を身につけましょう

椎間板ヘルニアは背骨の頸部から腰部にかけて起こりますが、特に腰部での発症例が多く見受けられます。激しい痛みやしびれだけではなく、歩行困難や排尿・排便障害といった症状が出ることもあるため、注意しなければなりません。

椎間板ヘルニアを予防するためには、筋力トレーニングや体重管理などで背骨に負担をかけないようにすることが大切です。

筋力トレーニングといっても、普段から適度に運動をするだけでも十分なので、ぜひ習慣化してください。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医