1.帯状疱疹について
帯状疱疹は、多くの人が子ども時代にかかりやすい、ある病気と大きな関係があります。帯状疱疹を発症する原因について見ていきましょう。
1-1.帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、子どもの頃にかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスによって再び発症する病気です。水ぼうそうは、多くの人が子どもの頃にかかるウイルス性の病気です。
しかし、水ぼうそうが治ってもウイルスは完全に体から消えることはなく、神経節に潜んでいます。何らかの原因で体の抵抗力が下がると、潜んでいたウイルスが再び活性化して帯状疱疹を発症します。ただし、幼少期に水ぼうそうになった人が、すべて帯状疱疹となるわけではありません。実際には、10~20%ほどといわれています。
帯状疱疹の治療に時間がかかると、帯状疱疹後神経痛に進行しやすくなります。早期に治療することで症状の悪化を防止できるため、症状に気付いたらできるだけ早く医療機関を受診しましょう。
1-2.帯状疱疹の原因
帯状疱疹は免疫力が低下すると発症します。次のような場合に免疫力が下がりやすくなるため、注意しましょう。
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・体がひどく疲れているとき
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・加齢による免疫力低下
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・大きなストレスを感じているとき
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・放射線や紫外線にさらされたとき
このようなきっかけで免疫力が下がると、潜んでいたウイルスが再び活動を開始します。帯状疱疹の予防には、免疫力を保つことが重要です。
2.帯状疱疹のおもな症状と症状がみられる部位
免疫力が下がると、水痘ウイルスが再活性化して体にさまざまな症状が現れます。ここでは、帯状疱疹でみられるおもな症状と部位を解説します。
2-1.帯状疱疹のおもな症状
帯状疱疹で現れるおもな症状は、刺すような痛み、赤い発疹(皮疹)、水ぶくれの3つです。特に、神経の走行に沿って体の左右のどちらかに帯状の発疹ができるのが帯状疱疹の大きな特徴です。
最初、体の左右のどちらかにチクチク、ピリピリとした痛みが現れ、やがて赤くなり、水ぶくれができます。2~3週間でかさぶたができて、その後かさぶたが取れます。
多くの場合、痛みは皮膚症状が治ると同時に消えていきます。ところが、なかには強い痛みが長期間続くこともあり、このような症状を「帯状疱疹後神経痛」と呼びます。帯状疱疹が治っても痛みが残る場合は、早めに専門医に相談しましょう。
2-2.帯状疱疹の症状がみられる部位
帯状疱疹は神経の走行に沿って起こり、体中のさまざまな場所にできることがあります。例えば、次のような場所で症状がみられます。
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・胸から背中にかけて
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・足
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・腕
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・顔面
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・下腹部
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・おしりの下 など
このような場所に、ピリピリ・チクチクという痛みを感じたら帯状疱疹かもしれないため、早めに病院を受診しましょう。
3.帯状疱疹の予防方法・ケアのポイント
帯状疱疹を予防するためには体の抵抗力を下げないことが重要です。抵抗力を保つためには、普段から栄養バランスが整った食事や、十分な睡眠を意識しましょう。
過度な労働を行なったときはしっかり睡眠を取り、体をメンテナンスすることが大切です。ストレスが溜まる前にこまめに解消し、適度な運動で体力を保ちましょう。
帯状疱疹にかかるときは、体が弱っているときです。症状が現れたらしっかりと休養してください。無理をすると症状が悪化して、入院や帯状疱疹後神経痛になる可能性があります。良くなってきたからといって元の生活にすぐに戻すのではなく、しばらくのんびり過ごすよう心がけましょう。
帯状疱疹が足や体に現れたときは早めに対応を心がけましょう
子どものときに水ぼうそうにかかったことがある人は、免疫力低下をきっかけに帯状疱疹を発症する可能性があります。
帯状疱疹は体の左右のどちらかに症状が現れますが、胴だけでなく足や腕、顔などに生じることもあります。帯状疱疹を予防するためには、食生活や生活習慣を整えて免疫力が下がらないように心がけましょう。
また、治療が長引いたり悪化したりすると、帯状疱疹後神経痛に移行しやすくなるため、症状に気付いたら早めに医師に相談してください。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。