1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まる病気のことです。英語では「Sleep Apnea Syndrome」と表すことから、省略して「SAS」と呼ばれることもあります。
診断基準は、「睡眠中の呼吸が10秒以上止まっている状態が1時間以内に5回以上」または「7時間以内に30回以上」ある場合とされています。
睡眠時無呼吸症候群は閉塞型と中枢型の2つに分かれ、多くの場合は閉塞型です。
2.睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こす原因
睡眠時無呼吸症候群の患者の多くは、気道が塞がることで無呼吸になっています。気道が塞がってしまう原因として考えられるのは、おもに以下のようなものです。
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・肥満
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・首やあご周りに脂肪がついている
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・首が短くて太い
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・あごが小さい
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・舌が大きい
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・舌が気道に落ち込みやすい
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・扁桃腺が大きい
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・鼻が曲がっている
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・睡眠薬を飲んでいる
あごが小さいことが原因だと、痩せている人でも睡眠時無呼吸症候群を発症しますが、そのほかはおもに肥満が原因です。そのため、適正体重を維持することが大切です。
3.睡眠時無呼吸症候群(SAS)による合併症や眠気に注意
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を下げて体の不調をまねきます。また、睡眠時無呼吸症候群の患者は他の病気を併せ持っている場合が多いため、注意が必要です。
3-1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併症
睡眠時無呼吸症候群のおもな合併症は、以下のとおりです。
睡眠時無呼吸症候群によって呼吸が止まると血液内の酸素が不足し、これらの生活習慣病の悪化につながります。また、無呼吸の状態から無理に呼吸すると、体内のさまざまな臓器に負担をかけてしまうため注意が必要です。
そのまま治療せずにいると大事に至ることもあるため、早めの治療が大切です。
3-2.睡眠時無呼吸症候群(SAS)による眠気
睡眠時無呼吸症候群だと夜に熟睡できないため、昼間に強い眠気や疲労を感じます。なかには、急に意識を失うように居眠りしてしまう場合もあるのです。
そうなると、パソコン作業中や人との会話中、試験中など大事な場面でも関係なく居眠りしてしまい、生活に支障が出てしまいます。
また、睡眠時無呼吸症候群患者は健常者と比べて交通事故を起こす危険性が高く、およそ2.4倍といわれています。さらに、重度の人では短期間に何度も事故を引き起こすこともあるというデータもあるのです。
このように、睡眠時無呼吸症候群は自分だけでなく、周囲の命も奪いかねないということを覚えておきましょう。
症状に心当たりのある方は早めに受診し、適切な検査と治療を受けて事故を未然に防ぎましょう。
睡眠時無呼吸症候群の原因を理解し異変があれば早めに受診しましょう
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、命に関わる重大な病気です。睡眠時に度々呼吸が停止することで睡眠が妨げられるだけでなく、あらゆる生活習慣病を進行させ寿命を縮めてしまいます。
また、日中の強い睡魔によって日常生活に支障をきたすことで、トラブルや事故の原因にもなりかねません。最悪の場合、事故により他人の命すら奪う危険性もあります。
そのような事態にならないためにも、「日中の眠気がつらい」と感じた場合は、早期に医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。