目次
1.血液検査とは?
血液検査とは、採血をして血液中の血球成分を測定する検査のことです。その結果により、体の状態を把握し、病気の早期発見・早期治療に役立ちます。
血液検査には指標として基準値が設定されています。しかし、それらの基準値は健常者の測定値の平均値を取ったもので、絶対的なものではありません。約5%の人は、基準値から外れることもあります。
血液は、体全体の健康状態を反映しています。そのため、血液検査を行なえば、全身の健康状態を把握でき、病気の予防や病気の早期発見・早期治療につなげることが可能です。
採血で自分の血が大量に採られていると思うとクラクラしてしまう人もいますが、血液検査で採る血液量は大さじ1杯ほどです。
今回は、たった大さじ1杯ほどの血液から自分の健康情報を読み取れる「血液検査」の種類や、検査でわかる病気を解説します。
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血液検査とは、採血をして血液中の血球成分を測定する検査のことです。その結果により、体の状態を把握し、病気の早期発見・早期治療に役立ちます。
血液検査には指標として基準値が設定されています。しかし、それらの基準値は健常者の測定値の平均値を取ったもので、絶対的なものではありません。約5%の人は、基準値から外れることもあります。
体重の約8%を占めている血液は、私たちが生きていくために重要な働きを持つ成分がたくさん含まれています。
健康な状態であれば、血液の成分や細胞数はほぼ一定を保っています。しかし、ケガや病気など体に不調があるときには、血液成分や細胞数が増減するのです。そのため、血液の状態を調べることで、体の状態をチェックできます。
血液検査によってわかるおもな病気は、次のとおりです。
・貧血
・肝臓の異常
・腎臓の異常
・脂質異常症
・糖尿病
血液検査の方法や基準値は医療施設によって異なるため、検査に関する詳しい説明は、かかりつけの病院の医師の診察を受けて確認しましょう。ここでは、一般的な検査方法を紹介します。
一般的な血液検査では、白血球・赤血球・血小板の数や、赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度などを調べます。また、顕微鏡を使って血球成分を観察し、血球形成の異常や、白血球の構成比率をチェックすることで、出血傾向・貧血・感染症の有無などがわかります。
おもな検査項目は以下のとおりです。
白血球は外敵から体を守る働きがあり、白血球が多い場合は、体内に炎症が起きていることを示しています。
赤血球は酸素と二酸化炭素を全身に運ぶ働きを持ち、赤血球が減っている場合は貧血の可能性が、赤血球が多い場合は多血症の可能性があります。
ヘモグロビンとも呼ばれる血色素は、赤血球のなかに存在し、酸素を全身に運ぶ働きがあります。検査値のなかで、酸素運搬機能を最も反映している数値です。赤血球数が基準値内であっても、血色素量が不足している場合は貧血の可能性があります。
ヘマトクリット値は、血液中に占める赤血球の割合です。低値では貧血、高値では多血症や水分不足など血液がドロドロしている可能性があります。
MCV・MCH・MCHCは、血液中のヘモグロビン濃度や赤血球の大きさを示しています。貧血の種類を分類するために役立つ値です。
血小板は出血を止める働きがあり、低値では出血しやすい状態を、高値では鉄欠乏性貧血の可能性を示しています。
生化学的検査は、血液中に含まれるタンパク質や代謝物・酵素を検査します。これにより、腎機能・肝機能・脂質の状態がわかるのです。検査項目は、以下のようなものがあります。
GOTとGPTは、どちらも体内でタンパク質(アミノ酸)が作られるときに必要な酵素です。GOTは筋肉・肝臓・心臓などの障害、GPTはおもに肝臓の障害があるときに増加します。
中性脂肪は生命維持に必要なエネルギー源としての役割があり、中性脂肪が高値の場合は、肥満など生活習慣病のリスクがある状態を示しています。
血糖は、血液中に含まれるブドウ糖を示し、生命維持に必要なエネルギー源としての役割を果たしています。血糖が高値な場合、糖尿病や代謝異常・膵臓疾患などリスクを持っていることを示しているのです。
血清学的検査とは、体内に入った病原体(抗原)や、病原体を撃退するために体内でできたタンパク質(抗体)を検出する検査です。
感染初期に検査をすると、病原体や抗体が検出できない場合があります。感染初期は病原菌(抗原)が血液のなかに微量しか含まれておらず、それを攻撃するための抗体もまだ作られていません。そのため、検査値は絶対的なものではないので注意しましょう。
血清学的検査で調べることができるおもな項目は以下のとおりです。
・B型肝炎ウイルス(HBV)
・C型肝炎ウイルス(HCV)
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
・ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)
・梅毒 など
血液検査は、たった大さじ1杯ほどの血液から体の健康状態を調べることができます。
検査結果によって自分の健康課題を見つけ、貧血・肝臓の異常・腎臓の異常・脂質異常症・糖尿病といった病気の予防や、早期発見・早期治療につなげることができます。
自分では気付けない病気や忍び寄る病気を見逃さないためにも、定期的な検査を受けて、健康の維持に努めましょう。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
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