冬も水分不足は注意すべき?脱水症状のサインと予防方法について

夏場などの暑い時期は、熱中症予防のために意識して水分補給を行なっている方が多いのではないでしょうか。しかし、水分補給が大切なのは夏だけではありません。熱中症の危険性が低い冬場でも、こまめに水分を摂ることが大切です。

今回は、なぜ冬でも水分補給が大切なのか、水分が不足するとどのような症状が出るのかなどを解説します。

1.冬の水分不足について

意外かもしれませんが、冬も水分不足に注意しなければならない季節です。汗をかく機会が少なくなり、のどの渇きを感じにくくなるため、水分の摂取量が減ってしまうことが関係しています。

冬は空気が乾燥しているため、知らず知らずのうちに肌表面や呼気から、体の水分が失われていることが少なくありません。

また、風邪を引いているときは、発熱や下痢によって水分が奪われやすい状態になっています。冬は湿度の低下によりウイルスが活動的になるため、風邪にも注意しなければなりません。

のどの渇きを感じにくいこと、空気が乾燥していること、風邪を引きやすいことが原因で冬でも水分不足になることがあります。

2.冬の水分不足・脱水症状のサイン

次のような症状があったら、体が水分不足になっている証拠です。

  • • のどが渇く

  • • 口内がネバネバする

  • • 指先の皮膚が乾燥している

  • • 手足が冷える

  • • 倦怠感がある

  • • ふらつきがある

  • • 尿の色がいつもより濃い

体の約60%は水分でできていて、そのうち約5%を失うと脱水症状が現れ、20%を失うと命に関わります。それほど水分は、体にとって大切なものなのです。

冬になると肌が乾燥しやすいのは、湿度の低下によって水分が奪われやすいことが関係しています。乾燥を放っておくと、肌のバリア機能が低下してかゆみが生じる原因にもなるため、指先の乾燥には注意しましょう。

指先の乾燥以外にも手足の冷えや倦怠感がある場合は、症状がこれ以上ひどくならないように気を付けてください。さらに症状が進行すると、頭痛や吐き気などへとつながることになりかねません。

ヒトが一日に必要な水分量は2.5Lといわれ、そのうち1.0Lは食事から、1.2Lは飲み物から摂り、残りの0.3Lは体内でつくり出しています。つまり、こまめな水分補給はもちろん、食事を通して水分を摂取することも大事ということです。

3.冬の水分不足・脱水症状の予防方法

冬の水分不足を予防するためにも、日頃から次のことを意識して過ごすようにしましょう。

  • • 加湿器などで湿度を50~60%に保つ

  • • こまめに水分補給をする

  • • 保湿クリームで肌を保湿する

  • • 肌の露出が少ない衣服を着る

  • • 起床時、入浴後、就寝前に水分を摂る

加湿器が自宅にない方は、濡れタオルを室内に干すだけでも湿度を上げられるので試してみてください。水分補給は、のどの渇きを感じる前にこまめに行ないましょう。肌を保湿したり、空気に触れる面積を狭くしたりして水分の蒸発を防ぐのも効果的です。

寝ているときも水分が多く蒸発するため、朝起きたらまず水分補給を行ないましょう。入浴後は汗によって水分を失いやすいので、必ず水分補給をしてください。睡眠中の脱水を予防するために、寝る前にも水分を摂りましょう。

水分補給をするうえで大切なのが、水分を一度にたくさん摂らずにこまめに摂ることです。コップ1杯程度の水分を、一日6~8回に分けて摂取するのが望ましいとされています。

冬でも水分不足になるので水分をこまめに摂ることを意識しよう

冬でも、のどが渇きにくくなり空気が乾燥することから、水分不足になるおそれがあります。指先が乾燥していたり倦怠感があったりする場合は、水分が足りていないかもしれません。

水分不足が進行すると頭痛や吐き気が起こることもあるため、冬でも水分補給を意識して行なうことが大切です。

加湿器を使ったり、起床時・入浴後などの水分補給を行なったりしながら、水分不足を予防していきましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医