メタボの指標の一つ「腹囲」の正しい測り方

「腹囲」は健康状態を示す重要なバロメーターであり、特定健診などの検査項目にも含まれています。

腹囲の測り方自体はそれほど難しくないため、手順や測るべき部位さえ押さえておけば、自分でメジャー(巻き尺)を使って測定することが可能です。

今回の記事では、腹囲の基礎知識を踏まえつつ、腹囲の正しい測り方とポイント、欧米と日本の測定方法の違いについて解説します。

1.腹囲=ウエストではない

腹囲は「へその高さで測る腰まわりのサイズ」のことです。別名「ウエスト周囲径」とも呼ばれていますが、いわゆるウエストライン(腰が一番くびれているところ)とは異なるため、腹囲=ウエストではない点に注意しなければなりません。

また、腹囲は内臓脂肪が蓄積しているかどうかを確かめる目安となり、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を診断する際の指標にもされています。例えば、男性は腹囲85cm以上、女性は腹囲90cm以上になると内臓脂肪の断面積100cm2以上に相当し、内臓脂肪が多すぎる状態であることがわかるのです。

腹囲が上記の基準に達し、さらに血圧・血糖・脂質の3項目のうち2つ以上が基準値から外れると、メタボリックシンドロームと診断されます。

なお、女性の腹囲の基準は男性より5cm大きく設定されていますが、女性は皮下脂肪がつきやすいためです。メタボリックシンドロームの診断に必要な項目はあくまで「内臓脂肪の蓄積」であり、皮下脂肪は診断基準に含まれていません。

2.腹囲の正しい測り方とポイント

腹囲の正しい測り方と注意すべきポイントを解説します。

2-1.正しい測り方

腹囲を測るときは、下記の手順に沿って測定しましょう。

  • 1. 立位の姿勢になる

  • 2. まっすぐ立ったまま両足をそろえて、両腕は自然に垂らす

  • 3. 軽く息を吐き出して、リラックスした状態になる

  • 4. メジャーを使って、へその高さで腰まわりを水平に測る

なお、脂肪蓄積によってへその位置が下がっている場合、肋骨下辺と上前腸骨棘の中点の高さで測るようにしましょう。

2-2.誤差を防ぐポイント

腹囲はメタボの診断に関わる指標のため、できるだけ正確に測定する必要があります。測定誤差を防ぐためのポイントをまとめたので、下記も併せてご確認ください。

  • • なるべく空腹時に測定する

  • • お腹に力を入れないようにする

  • • 普段と同じように呼吸し、息を吐き出し終わったタイミングで目盛りを読み取る

  • • メジャーを床と平行にした状態で測定する

  • • 同じ時間帯に測定する

  • • 下着は着けず、お腹の肌に直接メジャーを当てて測定する

メタボリックシンドロームの予防のためにも週に1~2回のペースで測定し、結果をノートなどに記録しておきましょう。

3.欧米と日本の測定方法の違い

腹囲の測定方法・測定部位は、欧米と日本で大きく異なっています。

日本では腹囲をへその高さで測定しますが、これはドックにもCTを用いている日本ならではの基準です。

欧米では、ウエストラインに合わせて腹囲を測定します。日本のようにCTでの内臓脂肪面積との相関で規定されていないため、腹囲の認識にも差異が生じているのです。

腹囲を正確に測るためには正しい測り方を把握しましょう

腹囲は内臓脂肪の蓄積を確かめる目安であり、血圧・血糖・脂質と併せてメタボを診断する指標となっています。そのため、正しい測り方で精度を高めることが大切です。

腹囲とウエストの違いはもちろん、測り方の手順や測るべき部位、測定誤差を防ぐためのポイントなどを押さえておけば、自分でも腹囲を正確に測ることができます。

定期的に腹囲を測って、メタボリックシンドロームの予防・改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医