1.中性脂肪とは?
中性脂肪は、体脂肪のほとんどを占める物質で、「トリグリセライド」または「トリグリセリド」とも呼ばれています。中性脂肪には、ブドウ糖が不足した場合のエネルギー源になるほか、脂溶性ビタミンの栄養吸収や外部からの衝撃緩和、内蔵の固定、保温などの重要な働きがあります。
しかし、中性脂肪が増えすぎると、肥満や脂質異常症などの生活習慣病の原因になりかねません。血液中の中性脂肪の値は、メタボリックシンドロームの診断基準の一つになっています。
なお、コレステロールも体内に存在する脂質ですが、中性脂肪とは別の物質です。コレステロールには、「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」があり、細胞膜やホルモンなどの材料にもなっています。
LDLコレステロールは体にコレステロールを貯める「悪玉」、HDLコレステロールは回収する「善玉」と呼ばれています。
2.中性脂肪が高くなる原因
健康な人の血液中の中性脂肪の値は、空腹時で30~149mg/dlです。中性脂肪の値が150mg/dl以上になると、中性脂肪やコレステロールの代謝に異常がある状態にある「高トリグリセライド血症」と診断されます。
中性脂肪が高くなる原因の一つは、「飽和脂肪酸」の摂りすぎです。
脂質を構成する脂肪酸には、大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを増やす作用があります。肉・牛乳・乳製品などの動物性脂肪が中心の食生活を送っている場合は、飽和脂肪酸を摂りすぎているかもしれません。
工業的に作られた「トランス脂肪酸」の摂りすぎも、中性脂肪が高くなる原因です。トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、食品中に天然に含まれている場合と、油脂を加工・精製する工程で作られる場合があります。後者の場合、例えばマーガリンやファットスプレッド、さらにそれらを使ったパンやケーキ、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれます。
3.中性脂肪が高くならないためにできること
中性脂肪を増やさないためには、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行なう習慣を身に付ける必要があります。具体的には、中程度以上の運動量で、毎日30分以上を目標に実施しましょう。
また、脂質や炭水化物が中心にならないよう、栄養バランスの良い食生活を心がけてください。栄養バランスを考える際には、文部科学省・厚生労働省・農林水産省が連携して策定した「食生活指針」を意識するとよいでしょう。
食生活指針の例は、次のとおりです。
なお、中性脂肪が少なすぎると、エネルギー不足になったり、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなったりするため、あくまで増えすぎないよう注意することが大切です。
食事と運動で健康的な中性脂肪値を目指しましょう
血液中の中性脂肪の値が150mg/dl以上の場合は、中性脂肪が増えすぎているといえます。
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂りすぎに注意しつつ、文部科学省・厚生労働省・農林水産省が連携して策定した「食生活指針」をベースにした食生活を心がけましょう。
食事の工夫だけでなく、有酸素運動を継続することも大切です。自分に合う運動を見つけ、習慣化を目標に取り組みましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医