頻尿は自律神経の乱れが原因?予防方法についても解説

「最近トイレに行く回数が増えた」「夜になると尿意が何度もくる」といったお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。もし心当たりがあるなら、「頻尿」が考えられます。

頻尿の症状によっては、日常生活での行動が制限されたり、医療機関での治療が必要になったりするなど、大きな問題に発展するかもしれません。

今回の記事では、頻尿の概要やおもな症状、自律神経の乱れをはじめとする原因、予防方法について解説します。

1.頻尿について

頻尿を予防するためにも、まずは基礎知識とおもな症状を押さえておきましょう。

1-1.頻尿とは?

頻尿とは、普段より排尿回数が多くなっている状態のことです。

頻尿の目安となる一日あたりの排尿回数は、起きて活動しているときに8回以上、就寝中に2回以上とされています。通常は起きているときに5回程度、就寝中に0~1回程度のため、一日の排尿回数をそれぞれ合計して考えると、2倍近く増えていることになります。

ただし、排尿回数には個人差があるため、仮に起きて活動しているときに8回以上排尿していても、頻尿であるとは限りません。また、その日の天候や水分の摂取量によっても排尿回数は変わってくるので、自分が排尿状況をどう感じているかも重要になります。

1-2.頻尿のおもな症状

頻尿のおもな症状としては、下記の3つが挙げられます。

  • ・残尿感(排尿したあとも尿が残っているように感じる)

  • ・尿意切迫感(急に我慢できなくなるほどの尿意を感じる)

  • ・切迫性尿失禁(トイレに行こうとしても間に合わず尿が漏れる)

その他、夜になると何度も尿意を感じてトイレに行く「夜間頻尿」といった症状もあります。

2.頻尿は自律神経の乱れが原因?

頻尿が起こる原因はさまざまですが、おもな原因としては下記が挙げられます。

  • ・自律神経の乱れ

  • ・水分の摂りすぎ

  • ・膀胱炎、前立腺炎などの細菌感染

  • ・前立腺肥大症、膀胱結石などの病気

  • ・過活動膀胱(十分な量の尿が膀胱に溜まっていなくても、トイレに行きたくなる)

  • ・加齢による膀胱機能の低下

  • ・薬の影響によるもの

  • ・心因性(起床時にトイレが気になって、何度もトイレに行ってしまう)

特に注意すべき原因は、糖尿病の合併症などによって起こる「自律神経の乱れ」です。自律神経は心身の機能を調整してくれる神経ですが、これが乱れると頻尿をはじめとする排尿異常のほか、下痢・便秘・消化不良・インポテンスといった症状が発生することがあります。

3.頻尿の予防方法について

頻尿の予防方法は原因によって変わるため、まずは自分の排尿回数や排尿量、尿意を感じやすい時間帯などをチェックすることが大切です。自分の排尿パターンを把握できたら、下記のような対処法を実施しましょう。

  • ・根本原因となっている病気(感染症・前立腺肥大症など)を治療する

  • ・ストレスを緩和する

  • ・日頃から水分を多く摂っている場合は調節して適量にする

  • ・カフェインを多く含む食品・飲料を控える

  • ・夜に深く眠れるように環境を整える(日中の運動量を増やすなど)

また、排尿回数を減らすためには、尿意を少し我慢して膀胱に尿を溜めるトレーニング「膀胱訓練」も有効です。尿意を5~10分ほど我慢することから始めて、徐々にその時間を伸ばしていきましょう。

ただし、前立腺肥大症などによって排尿異常がある、膀胱炎になったことがあるといった方では、膀胱訓練でそれらの症状が悪化することも考えられます。その場合には自己判断で行なわず、必ずかかりつけ医の指示を仰ぎましょう。

頻尿の原因を押さえて対処法を考えましょう

頻尿は、普段より排尿回数が多くなっている状態のことです。頻尿が起こると、トイレへの不安から外出しにくくなったり、尿意のせいで夜も良く眠れなくなったりするなど、生活の質にも悪影響を与えかねません。

頻尿を予防するためには、病気や水分の摂りすぎといった原因を押さえること、自分の排尿パターンを把握することが大切です。

これらを明確にしたうえで、自分に合った対処法を考えてみましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医