ブドウ糖不足が引き起こすおもな症状とは
過剰摂取による影響についても解説

ブドウ糖は、ヒトや動物が生きていくうえで必要となる、重要なエネルギー源です。ブドウ糖がなければ、私たちの脳はしっかり働くことができません。

しかし、摂りすぎも肥満や生活習慣病の原因となるため、摂取量には気を付ける必要があります。

今回は、ブドウ糖が不足したときや過剰になったときに、それぞれどのような影響があるのか見ていきましょう。

1.ブドウ糖とは?

ブドウ糖は単糖類という、それ以上は分解できない糖の一種のことで、グルコースとも呼ばれています。食物に含まれる炭水化物が体内の消化酵素によって分解されて生成されます。単糖類には、このほかに果糖やガラクトースなどもあります。

1-1.ブドウ糖(グルコース)について

ブドウ糖は、脳が利用できる唯一のエネルギー源として知られています。体のエネルギー源には脂質もありますが、ブドウ糖のほうが早く吸収されるためエネルギー補給としては脂質よりブドウ糖のほうが優秀です。

激しい運動を行なったりして血糖値が急激に下がったりしたときは、ブドウ糖を摂取することで血糖値を上げることができます。

通常、血糖値を測るときに見ているのは、血液中にあるブドウ糖の濃度です。健康な方でも血糖値は変動しますが、高くなりすぎたり低くなりすぎたりしないように体内で調節されています。

1-2.糖質の一日の摂取基準量

糖質は、炭水化物の一種です。糖質と食物繊維を合わせて、炭水化物と呼んでいます。食物繊維から得るエネルギー量はごくわずかなため、糖質と食物繊維を分けずに、炭水化物として食事摂取基準を設けられることが一般的です。糖質が体内の消化酵素で分解されることでブドウ糖が生成されます。

日本人の食事摂取基準(2020 年版)では、一日に摂取するエネルギー量のうち次の割合を目標に炭水化物を摂取するよう定められています。

  • 男性(1歳以上):50~65%

  • 女性(1歳以上、妊婦・授乳婦も含む):50~65%

2.ブドウ糖不足が引き起こすおもな症状

ブドウ糖が不足すると、次のような症状が起こる可能性があります。

  • ・疲れやすくなる

  • ・集中力が低下する

  • ・判断力が鈍くなる

  • ・注意力が散漫になる

  • ・意識障害が起こる

ブドウ糖はヒトのエネルギー源として働くため、不足するとエネルギー不足により、疲れやすさや集中力の低下などが見られやすくなるのです。ブドウ糖不足が深刻になると、意識障害を起こすこともあります。

ブドウ糖は、脳だけでなく神経組織や赤血球などでも必要になるため、少なくとも一日に100gは摂取するとよいでしょう。

3.ブドウ糖を過剰摂取した場合の影響

ブドウ糖を過剰摂取すると、次のような状態になる可能性があります。

  • ・肥満になる

  • ・生活習慣病になる(糖尿病、高血圧など)

  • ・中性脂肪が増える

血液中にブドウ糖が増えると、インスリンの作用によって中性脂肪に変換されます。この中性脂肪は脂肪組織に蓄えられるため、あまりにも量が多いと肥満や、糖尿病などの生活習慣病になりかねません。

ブドウ糖不足にならないように適度な摂取を意識しましょう

ブドウ糖は、脳のエネルギー源として働く大切な栄養素です。少なくとも一日100g程度はブドウ糖を摂るようにし、食事から摂るエネルギー全体の50~65%を占めるように意識して炭水化物を摂取しましょう。

ブドウ糖が不足すると、疲れやすくなったり集中力が低下したりします。逆に摂りすぎると、肥満や生活習慣病の原因となるため、適度な摂取を心がけることが大切です。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。