1.リンパ液とリンパ節について
人体の60~70%は水分でできています。このうち、細胞の外にある水分(細胞外液)は血液、組織液、そしてリンパ液です。リンパ液は、血管から染み出したタンパク質や老廃物などから作られます。リンパ液にはタンパク質のほか、水分・細胞・異物(壊れた細胞、細菌・ウイルス、塵埃)・脂肪などが含まれています。
体中に張りめぐらされたリンパ管はリンパ液の通り道であり、リンパ管の途中にあるリンパ節は体の免疫に関係する器官です。
おもなリンパ節には、首にある頸部(けいぶ)リンパ節、脇の下にある腋窩(えきか)リンパ節、太ももの内側にある鼠けい(そけい)リンパ節などがあります。リンパ節の大きさは、通常は直径1cm以下です。1cm以上になっているときは「リンパ節が腫れている」と診断されます。
2.リンパ節が腫れるおもな原因
リンパ節が腫れるおもな原因には、感染症や病気が挙げられます。
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・風邪
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・中耳炎
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・虫歯
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・手足のけが
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・その他の病気 など
例えば、風邪をひいたときに耳の後ろのリンパ節が腫れることがあります。また、手足にけがをすると、脇の下や太もものつけ根のリンパ節が炎症を起こすケースもあります。これは体内に入った菌やウイルスを排除するために、リンパ節の働きが活性化されているからです。
このような感染によるリンパ節の腫れは、免疫力を上げることで予防できます。普段から、栄養バランスの良い食事や適度な運動、そしてしっかりと睡眠を取りましょう。
ウイルスや菌に感染していないのに、リンパ節が腫れることもあります。この場合は、別の病気が関わっている可能性があるため、早めに病院で検査を受けましょう。
3.リンパ節の腫れが続く場合は病気のサインの可能性も?
リンパ節が腫れたときは、自分自身でしこりを自覚する方が多く、リンパ節の腫れをぐりぐりしている、ころっとしていると感じる場合もあります。感染症でリンパ節が腫れたときは、痛みをともなうことが一般的です。
また、菌の種類によってはリンパの腫れとともに膿が出ることもあります。このような場合には、感染症の治療を行ないましょう。
一方で、感染症以外の何らかの病気によってリンパ節が腫れている場合は、痛みを感じないことが少なくありません。このような場合は検査を受けて、それぞれの病気に合わせた治療が必要です。
リンパ節の腫れが続くときには、病気が潜んでいる可能性があります。痛みの有無に関わらず、目安として6週間以上症状が続いている場合は医師に相談し、適切な治療を受けましょう。その他、しこりが急に大きくなったり、数が増えたりしたときも、早めの受診をおすすめします。
リンパ節の腫れが続くときは医師に相談しましょう
風邪やけが、虫歯などによって体内に菌やウイルスが侵入すると、リンパ節が腫れることがあります。この場合は、腫れの原因となっている感染症を治療しなければなりません。それぞれの症状に合わせた専門科の先生に相談し、適切な治療を受けましょう。
また、原因がわからなかったり、腫れが大きく、多くなったりするときは何らかの病気が隠れているケースもあります。
いずれにしても、リンパの腫れがなかなか治まらないときは、早めに病院で検査を受けましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医