目次
1.ビタミンCとは
ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必要な水溶性ビタミンです。コラーゲンは、皮膚を支えるタンパク質であり、血管を維持するためにも必要な成分です。また、抗酸化作用があり、消化管での鉄分の吸収を助ける役割があるため、貧血を予防する作用が注目されています。
ほとんどの動物は、ビタミンCを体内でブドウ糖をもとに合成できますが、ヒトには合成する能力がないため、食べ物からの摂取が必要です。
コラーゲンの合成に必要な成分として注目されているビタミンCですが、健康を維持するうえでも重要な役割をはたしています。ビタミンCが不足すると体に問題が生じることがあるので注意が必要です。
今回は、ビタミンCの働きや含まれている食べ物、一日の適正な摂取量について解説します。
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ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必要な水溶性ビタミンです。コラーゲンは、皮膚を支えるタンパク質であり、血管を維持するためにも必要な成分です。また、抗酸化作用があり、消化管での鉄分の吸収を助ける役割があるため、貧血を予防する作用が注目されています。
ほとんどの動物は、ビタミンCを体内でブドウ糖をもとに合成できますが、ヒトには合成する能力がないため、食べ物からの摂取が必要です。
ビタミンCは健康維持にも重要な働きをしているので、不足しないようにしたい栄養素です。ここでは、ビタミンCの働きを紹介します。
コラーゲンは、皮膚や軟骨、腱などを構成する主要なタンパク質です。また、人間の体を構成するタンパク質の約30%をコラーゲンが占めているので、ビタミンCが不足するとコラーゲンの生成ができず倦怠感、貧血などを起こすことがあります。
ビタミンCには、抗酸化作用があることでも知られています。体内の活性酸素は微量なら細胞伝達物質や免疫機能として働きますが、過剰に存在すると細胞を傷つけることがあります。慢性的に活性酸素が過剰な状態が続くと、生活習慣病などの原因になることがあるので対処が必要です。
ビタミンCは、鉄分の吸収を高める作用があり、貧血予防にも重要な働きをしています。貧血の予防には鉄分の摂取が重要ですが、ビタミンCやビタミンB12、葉酸などが不足しても貧血を起こすことがあるので、鉄分とビタミン類を同時に摂取するようにしましょう。
コラーゲンの生成によって、皮膚の構成をサポートする作用も期待できます。タバコや放射線、紫外線などは、活性酸素の生成が促進され、老化の原因になることがあります。そのため、肌の老化が気になる方はビタミンCを摂取するとよいでしょう。
ビタミンCが不足すると倦怠感や疲労感、気力低下などの症状があらわれることがあります。ここでは、ビタミンCの欠乏症とビタミンCが不足しやすい人の例などを紹介します。
貧血は、血液中の赤血球が不足したり、十分に酸素を運ぶ機能をはたしていなかったりする状態です。赤血球は、鉄分を材料とするため、鉄の摂取が重要です。ビタミンCは、鉄分の吸収率を向上させる作用があるため、不足すると貧血の原因になることがあります。
貧血によって、赤血球が不足すると十分な量の酸素を体内で供給できなくなるので、疲労感や頭痛、息切れなどの症状があらわれます。
野菜の摂取不足の方や高齢者の方は、ビタミンC欠乏症になりやすい傾向があります。喫煙者や受動喫煙者についても、非喫煙者に比べるとビタミンCの必要量が多くなるとされているので注意が必要です。ただし、ビタミンCを一日あたり10mg程度摂取すれば欠乏症を発症しないとされているため、通常の生活習慣を送っている方は、欠乏症の心配は必要ありません。
通常の食生活では、ビタミンCの過剰摂取はないとされています。ビタミンCを過剰に摂取しても、消化管での吸収率や体内での再利用によって吸収されすぎることなく、体外へ排泄されます。
しかし、サプリメントや医薬品などでは過剰摂取が起きる可能性があるので適切な分量を摂取する必要があります。ビタミンCを過剰摂取すると、吐き気や下痢、腹痛などの消化器症状があらわれることがあります。
ビタミンCの食事からの摂取推奨量は以下のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢 | 推奨量(mg/日) | 推奨量(mg/日) |
0~5(月)※ | 40 | 40 |
6~11(月)※ | 40 | 40 |
1~2(歳) | 40 | 40 |
3~5(歳) | 50 | 50 |
6~7(歳) | 60 | 60 |
8~9(歳) | 70 | 70 |
10~11(歳) | 85 | 85 |
12~14(歳) | 100 | 100 |
15~17(歳) | 100 | 100 |
18~29(歳) | 100 | 100 |
30~49(歳) | 100 | 100 |
50~64(歳) | 100 | 100 |
65~74(歳) | 100 | 100 |
75以上(歳) | 100 | 100 |
妊婦(付加量) | ─ | +10 |
授乳婦(付加量) | ─ | +45 |
※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2019年の国民健康・栄養調査では、男性では平均91mg/日、女性では平均96mg/日であるため、推奨量より不足している年齢層もあります。
ビタミンCは、加熱や洗浄などで効力が失われやすいビタミンのため、調理法に注意が必要です。
ビタミンCは、加熱や洗浄などで効力が失われやすいビタミンのため、調理法に注意が必要です。
食品名 | 1食あたりの重量(g) | 1食あたりのビタミンC(mg) |
---|---|---|
青ピーマン(油炒め) | 60 | 47 |
キウイフルーツ | 100 | 71 |
ブロッコリー(電子レンジ) | 50 | 70 |
イチゴ | 80 | 50 |
さつまいも(蒸し) | 100 | 29 |
みかん | 100 | 33 |
レモン | 10 | 10 |
(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに作成)
ビタミンCは、コラーゲンの生成や鉄分の吸収率向上作用、抗酸化作用を持っています。ビタミンCが不足するとコラーゲンが作られなくなったり、鉄分が十分に吸収できなくなったりするので、注意が必要です。
ビタミンCは、野菜や果物の摂取が不足しやすい一人暮らしの人や高齢者などで不足しやすいです。
ビタミンCは野菜や果物に豊富に含まれているので、不足しないように取り入れてバランスの良い食生活へと改善してみてください。
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
成分
「牛乳は太る」と思って、あまり飲まないようにしている人もいるのではないでしょうか。
成分
マグネシウムは、健康を維持するために必要なミネラルの一種です。
成分
アクが少なく離乳食にも活用される小松菜。
成分
健康のためには魚が良い、DHAという成分が良い、と聞くことがあるかと思いますが、具体的にどのように体に良いのかまで把握されている方は意外と少ないかもしれません。
成分
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