玉ねぎがコレステロールを下げる?
玉ねぎに含まれる注目の成分を紹介

近年は健康への関心が高まっており、食生活にも意識を向ける方が増えています。そんななか、コレステロールを下げる作用があるとして注目を浴びているのが玉ねぎです。

今回の記事では、玉ねぎに含まれるおもな栄養成分やコレステロールを下げる2つの成分、効率良く栄養を摂取するための調理法を紹介します。

1.玉ねぎに含まれるおもな栄養成分

玉ねぎは、ユリ科ネギ属に分類される葉茎菜類です。食卓にのぼる機会も多く、家庭の常備野菜としても身近な食材です。日本の北から南まで広い範囲で生産され、気温と日照時間の関係で春から秋にかけて収穫されます。収穫や出荷の時期がずれていることから、一年を通しておいしい玉ねぎを食べることができます。

玉ねぎのおもな成分は炭水化物で、カリウムも豊富です。カリウムは、体内の塩分を外に排出する作用をサポートします。その他、健康に役立つと注目されているのが、辛み成分の硫化アリルとポリフェノールの一種ケルセチンです。

この2つの成分以外にも、玉ねぎにはビタミンB6やビタミンC、葉酸、パントテン酸も含まれており、健康のためにもぜひ毎日の食事に取り入れたい食品です。

2.玉ねぎに含まれるコレステロール低下に役立つ注目の栄養成分

玉ねぎに含まれる成分でコレステロールを下げると話題になっているのが、硫化アリルとケルセチンです。それぞれの特徴と、体内での作用について見てみましょう。

2-1.硫化アリル

硫化アリルは、玉ねぎの独特のにおいの主成分です。玉ねぎを切ったときに、目がしみて痛むことがありますが、その原因物質も硫化アリルです。

玉ねぎには、硫化アリルの一種のプロピルメチルジスルフィドが含まれています。プロピルメチルジスルフィドは、コレステロールの代謝や血液サラサラをサポートする働きがあります。また、エネルギー産生に関わるビタミンB1の吸収を助けるほか、抗菌効果や抗酸化作用もあります。

2-2.ケルセチン

ケルセチンはポリフェノールのうちフラボノイド色素の一つです。なお、ポリフェノールは、植物に含まれる色素成分や苦味・渋味成分です。その数は何千種類におよび、さまざまな生物の攻撃や紫外線による活性酸素から植物自身の身を守っています。

また、ケルセチンはブロッコリーやレタスにも含まれていますが、玉ねぎでは、100g中に28~50mgほどと特に多く含まれています。

日本人女性を対象に行なわれた調査では、ケルセチンの摂取量が増えるほど血中総コレステロールとLDLコレステロールが低くなると報告されています。

その他、抗酸化作用や抗炎症作用、血圧低下作用、抗肥満作用も期待されています。

3.玉ねぎから硫化アリル・ケルセチンを上手に摂取する方法

コレステロールを下げるのに役立つ硫化アリルとケルセチンですが、それぞれ違う性質を持つため、ポイントを押さえて調理することで効率良く摂取できます。ここでは、それぞれ成分の吸収量を増やす料理のコツを紹介します。

3-1.硫化アリル

硫化アリルは、水溶性で熱に弱い性質を持ちます。そのため、硫化アリルを効率良く摂るには、切った玉ねぎを30分ほど空気にさらして生で食べるのがおすすめです。30分ほど置くと、玉ねぎ内の酵素が十分に働き硫化アリルを効率よく摂取することができます。

水にさらすとせっかくの硫化アリルが溶け出してしまうため、水にはさらさないようにしましょう。

3-2.ケルセチン

ケルセチンは脂溶性が高く、水に溶けにくい性質を持ちます。ケルセチンを効率良く摂るには、油を使った炒め物などがおすすめです。

また、ケルセチンは玉ねぎの皮に多く存在し、玉ねぎの中心部に近づくほど含有量が低下します。ケルセチンの含有量を増やすためには、皮をむいた玉ねぎを1週間くらい太陽光にあててから調理するのがおすすめです。

コレステロール対策のため玉ねぎを食生活に取り入れましょう

玉ねぎは古くから世界中で親しまれてきた野菜ですが、近年はコレステロール低下をサポートする効果があるとして注目を集めています。

硫化アリルとケルセチンは性質が異なるため、どちらの成分を中心に摂取したいかを考えて調理法を選ぶとよいでしょう。

玉ねぎの魅力は、栄養価はもちろん、そのおいしさと手軽さです。カットして冷凍した玉ねぎを煮込み料理に入れると、甘みをアップさせることができます。

玉ねぎを食生活に取り入れて、おいしくコレステロール対策を始めてみませんか。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。