1.肩や首が痛くなるおもな原因
肩や首が痛むときは、痛みを感じる部分に何らかの原因があることがほとんどです。例えば、打撲や悪い姿勢でのデスクワークなどです。このような痛みは、安静にしていると数日で症状がやわらぎ、10日前後で治まることが多い傾向にあります。
また、痛みの原因が肩や首にない場合に考えられるのは、精神疾患やストレス、胆石発作、緊張性頭痛などが原因のものです。
なかには、痛みが長引いたり、激しい痛みで眠れなくなったりする人もいます。いずれの場合も、痛みを引き起こしている病気を発見し、適切に治療することが必要です。
2.左肩が痛いときに考えられる原因
左肩に痛みを感じるときには、次のような病気が考えられます。自分の症状と照らし合わせて参考にしてください。
ただし、ここで紹介したのはあくまでも一例のため、症状が続く場合は早めに医師に相談しましょう。
2-1.五十肩(肩関節周囲炎)
肩を動かした際に痛みを感じ、服を着替えるなどの日常の動きに支障が出るときは五十肩の可能性があります。五十肩は名前のとおり、50代を中心に現れる症状です。四十肩とも呼ばれています。
関節の構成組織(骨、軟骨、靭帯など)が加齢にともなって老化し、肩関節の周りに炎症が生じることが原因です。五十肩では、関節をスムーズに動かせなくなる、肩の関節が痛むといった症状が見られます。
また、肩を動かすときだけでなく、夜中に痛みで眠れなくなるケースもあります。自然に良くなることもありますが、そのままにしておくと関節が癒着することになりかねません。痛みが続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
2-2.肩腱板断裂
夜中の眠れないほどの強い痛みや筋力の低下は、肩腱板断裂のおそれがあります。肩腱板断裂とは、肩甲骨から上腕筋にかけての腱が切れてしまった状態です。腱にある細い血管が喫煙や病気によってダメージを受けたり、腱が加齢によって衰えたりすることが影響しているとされています。
肩腱板断裂のリスクは60歳頃から少しずつ増加しますが、肩や腕を転倒などの際に強打したりひねったりすると、年齢に関係なく発症することがあるため注意が必要です。症状は五十肩と同様に、肩を動かしづらい・動かしたときに痛むといったものが見られます。
上記のとおり、症状は五十肩と似ていますが、異なる部分もあります。五十肩は症状が進むと関節が癒着することがありますが、肩腱板断裂は関節が硬くなりません。1カ月以上経過しても症状が続く場合は、病院を受診しましょう。
2-3.心臓の血流不足
心臓に栄養を運ぶ血管の血流が不足すると、胸痛を感じることが多くありますが、なかには歯や顎、左肩、左腕などに痛みを感じる人もいます。
血流不足には一過性のものと持続性のものがあり、一過性の場合は、しばらく体を休めると数十秒から数分ほどで治まるのが一般的です。
一方で、持続性の場合は、安静にしていても痛みが20分以上続く傾向にあります。命に関わる危険性が高いため、胸や左肩などに激しい痛みを持続的に感じる場合は、速やかに救急車を呼び病院で適切な処置を受けましょう。
左肩の痛みが続くときは早めの受診が大切
左肩の痛みにはさまざまな原因があり、肩の関節や腱板の問題のほか、心臓の血流不足のケースもあります。
自然に落ち着くものもありますが、症状によっては命に関わる状態になっているおそれがあるため自己判断は危険です。速やかに適切な処置を受けることで、回復につながるでしょう。
左肩の痛みが急に現れたり、持続したりする場合は早めに病院を受診しましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医