息切れの症状・原因とは?
予防法やセルフケアについても紹介

「平地を小走りするだけで、息切れする」「同世代の人に比べて歩くのが遅い」「服を着たり脱いだりするだけでハァハァする」など、自分の体力に不安を感じることはありませんか?

これらの症状がある場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。

今回は、息切れの原因や考えられる病気、予防方法について紹介します。

1.息切れのおもな症状について

息切れとは、「呼吸が苦しい」と感じる状態です。体内で酸素が正常に運搬できないときに息切れの症状が現れます。例えば、「走ったあとに息が荒くなる感覚」は息切れの一つです。「呼吸困難」や「息苦しさ」も、息切れと同じ意味の言葉として使われています。

息切れのおもな症状は、以下のとおりです。

  • ・呼吸の回数が増える

  • ・深呼吸しないと辛い

  • ・寝ている間に苦しくなる

2.息切れの原因とは?

息切れを起こす原因として、「呼吸がうまくできていない」「肺は正常に機能しているが、体に酸素が届けられない」といったことが挙げられます。また、「体に酸素は行き届いているが、酸素が足りないと勘違いしている」という場合でも、息切れは起こります。

肺は、空気の酸素を取り入れて不要になった二酸化炭素を体外に排出し、肺で取り込まれた酸素は血液を介して全身に供給されます。このように酸素の供給がうまくいかないと、息切れを感じるのです。

息切れの原因となるおもな病気は、次のようなものが考えられます。

2-1.貧血

貧血は、酸素を供給する働きを持つ赤血球や、その中に含まれるヘモグロビンが減少する病気です。体が酸素不足になるため、息切れを招きます。

2-2.更年期障害

更年期障害は、男女ともに40歳を過ぎた頃に性ホルモンの分泌が減少するために起こります。血圧や脈拍などをコントロールしている自律神経の働きが衰えることで、息切れを招きます。

2-3.その他の病気のサインの可能性もある

以下の病気は、息切れの症状が現れる病気です。

  • ・気管支炎

  • ・胸水貯留 など

息切れの症状がある場合は、受診をして原因を明らかにすることが大切です。

3.息切れの予防法・セルフケアについて

ここでは、日頃の生活でできる息切れの予防・セルフケア方法を紹介します。

3-1.感染症予防をする(手洗い・うがい・マスクの着用・予防接種)

気管支や肺の病気はインフルエンザなどにかかったときに、重症化するリスクが高くなります。手洗いやうがい、マスクの着用、予防接種を受けるなど、感染症予防をすることが大切です。

3-2.下肢を鍛える運動を継続する(ウォーキング、スクワットなど)

呼吸機能に障害が出ると、もとの状態に回復することは困難です。そのため、今の状態よりも悪化させないことが大切です。

息切れがしやすくなると運動が億劫になるため、ますます体力は低下し、息切れがどんどん悪化してしまいます。そうならないためにも、ウォーキングやスクワットなど軽い運動を行なう習慣を持ちましょう。

3-3.一日3食食べて、鉄分をしっかりと摂取する

貧血のなかで最も多い「鉄欠乏性貧血」は、鉄分不足によって発症します。日本人の食生活は、鉄分が不足しがちです。食事量を減らすと、さらに鉄分不足を招きやすくなるため、一日3食しっかりと食べることが大切です。鉄分の吸収にはタンパク質が必要ですが、鉄の吸収をサポートするビタミンCもしっかり補給しましょう。

3-4.タバコを吸わない

喫煙は喫煙年数が長くなればなるほど、息が切れやすくなります。早くに禁煙することで大きな予防効果が期待できますが、高齢になってからの禁煙でも決して遅くありません。

禁煙は、喫煙者本人だけでなく、受動喫煙による周囲の人の健康被害を防ぐことにもつながります。

ただし、息切れの原因となる肺や心臓に疾患がある場合はセルフケアのみで症状が改善しないこともあります。そのようなケースや、平地を小走りで移動したり、なだらかな坂を登ったりするだけで息切れを感じたりするなど症状が強い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

3-5.スケジュールに余裕を持つ

精神的に不安を抱えている方の場合、心身のストレスを軽くすることが大切です。心の余裕を持つために、スケジュールにも余裕を持たせましょう。

息切れがひどい場合は健康を守るために早めの対策を

息切れを予防・改善するには、普段からバランスの良い食生活や禁煙、適度な運動習慣などを行うのが大切です。しかし、息切れは単なる体力不足だけでなく、さまざまな病気で起こる症状の可能性があります。

息切れがセルフケアでも改善できないときは早めに受診をし、適切な診断・治療を受けましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。