1.糖質の働き
糖質には、どのような働きがあり、糖質制限食とは何をするのでしょうか。ここでは、糖質の働きと糖質制限食について見ていきましょう。
1-1.糖質の働きについて
糖質とは、体内に吸収されてエネルギーを生産する栄養素であり、炭水化物に含まれています。
脳は、ブドウ糖からしかエネルギーが補給できません。脳は昼夜を問わず一定の速度でブドウ糖を消費しており、一日に消費するブドウ糖の量は約120gです。糖質が不足すると、疲労感や集中力の低下、筋肉量の減少などを起こします。
糖質は肝臓や筋肉に少量のグリコーゲンとして貯蓄されていますが、大半は脂肪として体に蓄えられるのが特徴です。そのため、糖質を摂りすぎると中性脂肪が増大し、肥満を引き起こすリスクを高めます。
1-2.糖質制限食とは?
糖質制限食とは、炭水化物制限食とも呼ばれ、糖質(炭水化物)を制限することで、体重減少や血糖値の低下を狙う食事方法です。肥満の改善などに効果があります。
食事を制限する方法には、カロリー制限も知られていますが、カロリー制限では、摂取するエネルギーを制限します。カロリーは、エネルギーを数値で表した単位のことです。
食事で摂取したエネルギーは、身体活動のために消費されますが、消費しきれなかったエネルギーは、脂肪として体に蓄積されます。
そこで体重を減らすために、摂取エネルギーが消費エネルギーよりも下回るよう食事で調整するのがカロリー制限です。
しかし、カロリー制限は満腹感を得にくいため、より満腹感が得られる糖質制限の方がダイエット法として人気があるようです。
ただ、ダイエットのために糖質のみを制限する場合、栄養バランスが偏ってしまうリスクがあります。そのため、糖質や脂質を制限する場合は、医師や栄養士から指導を受けて実施することをおすすめします。
内臓脂肪を減らすための糖質制限は、一定の期間だけであれば効果的です。しかし、継続して糖質を制限することには、さまざまな健康リスクがあります。
2.糖質制限中に注意すべき食べ物
ここでは、糖質制限中に注意したい食べ物について解説します。例えば、次のような食品は、血糖を上げやすいため注意が必要です。
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・米類
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・パン類
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・麺類
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・芋類(じゃがいも、さといも、さつまいもなど)
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・かぼちゃ
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・とうもろこし
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・栗
特に甘い食べ物は、血糖値を急に上昇させるため、注意しましょう。
3.糖質制限中の食事のポイント
糖質制限中は、普段とは違う点で食事に注意しなくてはなりません。また、食べ方にも工夫が必要です。そこでここでは、糖質制限中の食事のポイントについて解説します。
3-1.食べ物・飲み物について
糖質制限中は、以下の食品や飲料の摂取を控えることが大切です。
また、芋類・かぼちゃ・とうもろこしなど、でんぷん質の多い食品の摂りすぎにも注意しましょう。
3-2.食べ方について
食べ方を変えるだけでも、血糖値は上がりにくくなります。例えば、次のような食べ方を意識してみてください。
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・主食・主菜・副菜をそろえたメニュ―にする
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・しっかり噛んで食べる
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・食物繊維を含む食品から食べる
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・食後には体を動かす
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・糖の消化吸収を緩やかにする食品も一緒に摂る
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・消化吸収の速度が遅い糖質を食べる
食事する際は、単品よりも主食・主菜・副菜をそろえることが大切です。さらに、早食いよりもしっかり噛んで食べることも意識しましょう。
また、糖質を多く含む食品を食べる前に、食物繊維が豊富に含まれている食品を食べることで、糖質の消化や吸収を穏やかにできます。
その他にも乳製品やお酢など、糖の消化吸収を穏やかにする食品も先に食べるとよいでしょう。
糖質制限は栄養バランスの乱れに注意しましょう
糖質(炭水化物)を制限する糖質制限は、体重減少や血糖値の低下に効果的です。他の食事制限よりも適度な満腹感も得られることもあり、ダイエット法としても注目されています。
しかし、ダイエットのために糖質を制限した食事をする場合、栄養バランスが崩れて健康を損なうリスクがあるため注意が必要です。
そこで糖質制限を実施するときには、医師や栄養士から指導を受けることをおすすめします。糖質制限は、栄養のバランスを意識しながら慎重に行ないましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。