内出血の原因は?気が付かないうちに
内出血している場合のおもな原因を解説

「気付かないうちに、腕や足などに青あざができてしまうことが多い」
「無自覚のうちに内出血が起こるのは、なにかの病気が原因なのだろうか……?」
このような不安を抱いたことはないでしょうか。

人体には血小板や血液凝固因子のように、出血時に血を止める働きが備わっています。しかし、これらの機能が正常に働かないと内出血が起こりやすくなる可能性があります。

今回は、内出血が起こりやすい人の特徴や、気付かないうちに内出血ができてしまう場合のおもな原因について解説します。

1.内出血が生じうる可能性のある人

内出血が生じやすい人として、血液が固まりにくくなる薬を飲んでいる人や、先天的・後天的な血液の病気にかかっている人などが挙げられます。薬剤や病気によって、血液中に存在する血小板や血液凝固因子が減少したり、機能しづらくなったりすることがあるのです。

また、高齢者も加齢の影響で皮下組織や血管壁などがもろくなっているため、内出血が起こりやすいといえます。

なお、内出血が生じやすくなったり、血が止まりづらくなったりする状態は出血傾向と呼ばれるものです。出血傾向の症状は青あざだけでなく、歯ぐきからの出血や、消化管出血による下血・吐血などとして現れる場合もあります。

2.気が付かないうちに内出血している場合のおもな原因

止血のときに必要となるのは、血小板と血液凝固因子、血管壁の3つの要素です。そのため、気付かないうちに内出血が起こる場合には、おもな原因として血小板、血液凝固因子、血管壁のいずれかにトラブルが生じている可能性があります。

2-1.血小板に問題がある

血管がやぶれて出血したとき、傷口をふさいで血液を固まりやすくさせるのが血小板です。そのため、血液の病気によって血小板が正常に生成されなかったり、血小板が破壊されたりすると内出血が起こりやすくなります。

先天的に血小板が正常に働かなくなる病気や血小板が破壊される病気、自己免疫が関係する病気などが存在し、血小板の数や機能に問題があると出血傾向が起こりやすくなるのです。

2-2.血液凝固因子に問題がある

血液凝固因子は血液を固まらせる働きを担う成分であり、血漿中に含まれるタンパク質です。病気によって血液凝固因子が正常に機能できなくなったり、抗凝固薬の使用によって凝固因子が働きづらくなったりすると、内出血が生じる可能性があります。

また、肝臓の病気の場合、脾腫にともなう血小板減少と凝固因子の生成不良が生じることがあります。血小板と凝固因子の両方に異常をきたすことから、内出血を起こしやすくなるので注意が必要です。

2-3.血管壁に問題がある

加齢の影響や血管壁の病気などによって血管壁がもろくなると、内出血が生じやすくなります。高齢者は軽くぶつかる程度でも内出血を起こしてしまう場合がありますが、これは加齢の影響で血管壁や皮下組織が弱くなることなどが原因として挙げられます。

高齢者で明確な原因が分からず手や腕などにあざができる場合は、「老人性紫斑(ろうじんせいしはん)」という良性のもので、特別な治療が必要ないこともあります。

また、ビタミンCが不足するとコラーゲンが合成されづらくなるため、血管壁がもろくなって出血傾向につながることが知られています。

内出血の原因を押さえて、健やかな毎日を送りましょう

内出血が起こりやすくなっているときは、血管壁や血小板、血液凝固因子などの働きなどにトラブルが起こっている可能性があります。

内出血には老人性紫斑良性で特に問題ないものもありますが、薬剤の副作用による出血傾向や、なにかしらの病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。

不安なときは、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。内出血のおもな原因を理解し、安心して毎日を送りましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医