眠いのは貧血のせい?貧血で現れやすい症状と対策方法を解説

しっかり寝ているのに、眠気や疲れが取れない経験はありませんか。実は、眠気や疲れなどは、貧血で現れるおもな症状です。

しかし、貧血にならないようにどのような対策があるのか、わからない方も多いでしょう。

この記事では、貧血で現れやすい症状や対策方法を解説します。

1.貧血で現れやすい症状

貧血とは、赤血球を構成しているヘモグロビンの血中濃度が低くなっている状態を指します。

貧血はさまざまな原因で起こりますが、そのほとんどが鉄不足による貧血です。赤血球に含まれるヘモグロビンは、タンパク質と鉄をおもに含むヘムによって作られており、体中に酸素を運ぶ役割があります。そのため、鉄分が足りなくなるとヘモグロビンも減少し、ヘモグロビンの血中濃度が下がって貧血を招きます。

特に若年から中年までの女性に多く、月経のある成人女性の約25%が貧血になっているとの報告もあります。女性は、月経や妊娠・授乳時により多くの鉄が必要となるため、鉄不足になりやすいでしょう。

貧血では、おもに次のような症状が現れます。

  • ・自覚症状:倦怠感・めまい・耳鳴り・動悸・息切れなど

  • ・他覚症状:まぶたの裏側の眼瞼結膜や顔面の蒼白

  • ・その他の症状:爪が薄く平たくなるさじ状爪・舌の炎症・口角の炎症・嚥下障害・氷を異常に食べたくなるなど

  • ・足がむずむずし下肢の身の置き所のない不快感がある

特に下肢の身の置き所のない不快感がある病気は、不眠や日中の眠気を引き起こす原因となります。

2.眠気と関係する貧血の症状

貧血には全身のだるさや息切れなどさまざまな症状がありますが、鉄不足の貧血で起こることが多い、足がむずむずし下肢の身の置き所のない不快感がある病気は眠気と深く関係していす。

この病気は、鉄不足による貧血になっている中年以降の女性に多くみられる病気の一つです。

足がむずむずし下肢の身の置き所のない不快感がある病気になると、おもに夕方から深夜の夜間にかけて足を中心にかゆみやむずむずした不快な感覚が現れます。足を動かすことで不快な感覚はなくなるものの、動きを止めると再発するのが特徴です。

このような不快な感覚以外にも、足がピクピクと勝手に動き続ける周期性四肢運動障害も併発するケースが多く、睡眠不足に陥りやすくなります。そのため、しっかり眠ることができず、不眠になったり日中の眠気につながったりします。

適切な検査と治療が必要な病気であるため、症状がある方は医療機関を受診しましょう。

また、生理時に眠気が現れる人は、女性ホルモンが影響している可能性があります。生理前の2週間は基礎体温が高くなり、一日を通して体温がほとんど変わりません。そのため、夜間に眠れなかったり、日中眠気を感じたりします。生理前の眠気を防ぐには、日光をしっかり浴びて規則正しい生活を心がけ、リフレッシュすることが大切です。

3.貧血を対策する方法

貧血のおもな原因は、血を作るために必要とされるタンパク質・鉄・B6・B12・葉酸の不足や鉄の吸収を支えるビタミンCなどの栄養不足です。貧血を予防するためには、毎日の食事から鉄分を過不足なく摂取することが重要です。

次に紹介するポイントをチェックして、日々の食事を改善しましょう。

  • ・一日3回、主食・主菜・副菜のある食事をする

  • ・鉄を補給する

  • ・タンパク質を摂る

  • ・鉄の吸収を促進する食品を摂る

  • ・鉄の吸収を阻害する食品は避ける

毎日3食食べるだけではなく、主食・主菜・副菜が整った栄養バランスの良い食事が大切です。食事を抜いたり偏ったものばかり食べたりすると、鉄分やその他の栄養が不足します。

鉄は、代謝によって毎日失われるため、しっかり補給することが大切です。特に女性は、月経時にはさらに鉄が不足しがちなため、通常時よりも多くの鉄を必要とします。ヘモグロビンを作るためのタンパク質も積極的に摂取しましょう。タンパク質は、魚・肉・卵・大豆製品、乳製品などに多く含まれています。

鉄の摂取だけではなく、鉄の吸収や利用を促す食品も忘れずに食べることが大切です。梅干し・みかん・酢など酸味がある食材や香辛料は、胃液の分泌を促すため、鉄の吸収を助けます。

ビタミンCは、鉄の吸収促進に効果的です。特に、造血に深く関連している以下の栄養素を十分に摂取しましょう。

  • ・ビタミンB12:魚介類やチーズ、納豆など

  • ・葉酸:ほうれん草やブロッコリーなど

  • ・ビタミンB6:いわしや卵黄など

  • ・銅:貝やごまなど

また、緑茶・コーヒー・紅茶などは鉄の吸収を妨げるタンニンを含んでいるため、食事をする際は控えましょう。

貧血対策で日中の眠気を改善しましょう

鉄不足が原因の貧血では、夜間に足元へ不快な感覚を引き起こす病気になることがあります。

この病気になると、つねに動かしていないと足がむずむずするため、不眠になりやすく、夜眠れないことから日中の眠気を引き起こすのです。

貧血を予防するために、造血作用のあるタンパク質・鉄・B6・B12・葉酸、鉄の吸収を促進するビタミンCなどをしっかり摂りましょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医