栄養バランスの良い食事レシピを主食、主菜、副菜にわけて紹介

健康のためには、栄養バランスの整った食生活が大切です。しかし、忙しさから簡単に食べられる食品ばかり食べていたり、過剰なダイエットをしたりと、現代は食生活が乱れやすい傾向にあります。

栄養の不足や偏りは、体の不調や病気を招きかねません。健やかな体づくりのためにも、食事と栄養の基本を押さえてバランスの良い食生活を目指しましょう。

今回の記事では、栄養バランスの良い献立のポイントと、主食・主菜・副菜別のおすすめレシピを紹介します。

1.栄養素の分類と食事で考えるべき栄養バランス

バランスの良い食事にするには、栄養について知ることが大切です。ここでは、栄養の働きから見る3つの分類法と、栄養バランスが良い食事・悪い食事のポイントをお伝えします。

1-1.栄養素の分類と働き

バランスの良い食生活をサポートするため、厚生労働省は栄養素を五大栄養素、三色食品群、6つの基礎食品群などで分類してきました。

五大栄養素とは、健康な体づくりに重要な役割を果たす5つの栄養素を指し、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・無機質が挙げられます。一方で、三色食品群と6つの基礎食品群とは、それぞれに含まれる栄養素の働きをもとに食品を分けたものです。

三色食品群では栄養素の働きから、体をつくるもの(赤)、体の調子を整えるもの(緑)、エネルギーのもとになるもの(黄)の3つに分けられています。そして、6つの基礎食品群では、栄養の特徴をもとに食品を1~6群に分類しています。

体を作るもとになる(赤) 1群 肉・魚・大豆・大豆製品・卵
2群 牛乳・乳製品・小魚・海藻
体の調子を整えるもの(緑) 3群 緑黄色野菜
4群 淡色野菜・果物
エネルギーのもとになるもの(黄) 5群 穀類・いも類・砂糖類
6群 脂肪の多い食品・油脂

健康な食生活を目指すには、五大栄養素・三食食品群・6つの基礎食品群の分類を参考に、さまざまな食材をまんべんなく摂ることが大切です。

1-2.栄養バランスが良い食事とは?

栄養バランスの良い食事を摂るには、主食・主菜・副菜を組み合わせたメニューにするとよいでしょう。

主食とは活動するためのエネルギー源となるもの、主菜とは筋肉や血液、髪の毛、爪、皮膚といった、体をつくるために必要な栄養素を補うもの、そして副菜はビタミン、ミネラル、食物繊維などを供給し、体の調子を整えるものです。そのため、主食では炭水化物、主菜ではタンパク質、副菜ではビタミンやミネラル、食物繊維が摂れるのが理想的です。

丼など1つの皿に盛り合わせた料理でも、主食・主菜・副菜の組み合わせとなっていればバランスの取れた食事です。なお、30品目が目標という説もありますが、数字にこだわらずさまざまな食材をメニューに取り入れましょう。

1-3.栄養バランスが悪い食事のパターン

おにぎりやインスタント食品、麺類など、手軽に食べられる食事は注意が必要です。これらの食事では、炭水化物と脂質の摂りすぎとなる一方で、ビタミンやミネラル、食物繊維が不足することが少なくありません。

また、野菜中心の食生活は健康に良いと思われるかもしれませんが、脂質やタンパク質不足になりやすいという落とし穴があります。偏りなく、さまざまな栄養素を摂れる食事を心がけましょう。まずは、一日3食のなかでうまくバランスをとるようにしてみましょう。

2.【主食】栄養バランスの良いレシピ

食事のなかで、炭水化物は主食にあたります。今回は米・麺をベースに、他の栄養素も一緒に摂れるレシピを紹介します。

2-1.にんじんとひじきの炊き込みご飯

炊飯器で作る、だしの香りが豊かな炊き込みご飯です。にんじんや芽ひじきも一緒に摂れるため、栄養たっぷりです。

【材料】2人分

  • ・にんじん 1本

  • ・米 2合

  • ・芽ひじき(乾燥) 7g

  • ・油揚げ(薄揚げ)1枚

  • ・酒 大さじ1

  • ・淡口しょうゆ 大さじ2

  • ・みりん 小さじ1

  • ・だし 360ml

  • ・塩 少々

【作り方】

  • 1. 芽ひじきは、軽く洗ってから30分ほど水に漬けて戻したあと、ザルにあげて水気を切ります。米は研いでからザルにあげ、20分ほどおきます。

  • 2. にんじんは皮をむいて、2~3cmの長さで千切りにします。

  • 3. 油揚げはペーパータオルではさみ、手で上からぎゅっと押さえて余分な油を抜きます。油抜きができたら、米粒サイズのみじん切りにします。

  • 4. 炊飯器に水気を切った米を入れ、酒・薄口しょうゆ・みりん・だしを加えます。2合の目盛りまで水を入れ、塩で味を調整したら、その上に油揚げ・芽ひじき・にんじんの順にちらして炊きます。

  • 5. にんじんをつぶさないように全体を混ぜ合わせたら、器に盛って完成です。

2-2.たっぷり野菜のビビンバ

タレをからめた牛肉とごま油香る野菜、温泉卵をご飯の上に載せた、見た目も香りも食欲をそそる一品です。今回紹介する野菜以外に、ほうれん草や小松菜、ピーマンなどお好みでアレンジを楽しんでください。

【材料】2人分

  • ・牛こま切れ肉 200g

  • ・豆もやし 200g

  • ・青ねぎ 2本

  • ・にんじん 50g

  • ・ご飯丼 2杯分

  • ・サラダ油 大さじ1

  • ・焼肉のタレ 適量

  • ・温泉卵 2個

  • ・コチュジャン 適量

<A>

  • ・しょうゆ 小さじ1/2

  • ・ごま油 小さじ1

  • ・鶏ガラスープの素 小さじ1/2

  • ・白すりごま 適量

  • ・塩 適量

【作り方】

  • 1. 牛こま切れ肉は食べやすい大きさに切ります。

  • 2. 豆もやしはよく洗い、青ねぎは4cmほどの長さにし、にんじんは細切りにします。

  • 3. 野菜を広げながら、耐熱容器に入れます。ラップをかけて、600Wの電子レンジで4~5分加熱します。冷めたら軽く水分を絞り、<A>を加えて混ぜ合わせます。

  • 4. サラダ油を熱したフライパンで1を炒め、火が通ったら焼肉のタレをからめます。

  • 5. 丼にご飯を盛り、野菜、炒めた牛肉、温泉卵、お好みでコチュジャンを添えて完成です。

3.【主菜】栄養バランスの良いレシピ

タンパク質や脂肪が豊富な、肉・魚・卵・大豆製品の料理を主菜と呼びます。ここでは、牛肉や鮭を使ったメイン料理のレシピを見ていきましょう。

3-1.牛肉ときのこのクリーム煮

バターの香りがアクセントの、3種類のきのこと牛肉のクリーム煮です。きのこを炒めすぎると焼き色が付き、クリームに色移りしてしまうため注意しましょう。

【材料】2人分

  • ・牛切り落とし肉 180g

  • ・マッシュルーム 5個

  • ・しめじ 1/2株

  • ・エリンギ 1本

  • ・バター 10g

  • ・水 100ml

  • ・顆粒コンソメ 小さじ1/2

  • ・生クリーム 100ml

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

  • ・パセリ(みじん切り) 適量

【作り方】

  • 1. 牛切り落とし肉は食べやすい大きさに切ります。

  • 2. エリンギは食べやすいサイズに切り、マッシュルームは薄切りにします。しめじは石づきを取り除いてほぐします。

  • 3. バターを熱したフライパンにきのこを入れて、中火で炒めます。しんなりしてきたら、1を入れてさらに炒めます。

  • 4. 牛肉に火が通ってきたら、水と顆粒コンソメを入れて煮ます。

  • 5. 煮立ったら生クリームを入れ、弱めの中火で4~5分煮て、塩・こしょうで味を調えます。

  • 6. 皿によそい、仕上げにみじん切りにしたパセリをちらして完成です。

3-2.鮭のムニエル ~ヨーグルトソース~

フライパンで焼いた鮭に、混ぜ合わせたヨーグルトソースをかけるだけの簡単レシピです。ヨーグルトソースに塩・こしょうが入っているため、鮭への下味は必要ありません。白ワインにぴったりな魚料理です。

【材料】2人分

  • ・鮭 2切れ

  • ・小麦粉 適宜

  • ・オリーブ油 少量

  • ・ベビーリーフ 1/2パック

<ヨーグルトソース>

  • ・ヨーグルト(無糖)大3

  • ・オリーブオイル 大1

  • ・マヨネーズ 大1.5

  • ・マスタード 大1/2

  • ・塩、粗びき黒こしょう 適宜

【作り方】

  • 1. オリーブ油を敷いたフライパンに、小麦粉を付けた鮭を入れ、両面にこんがりと焼き色を付けます。

  • 2. ボウルに<ヨーグルトソース>の材料を入れ、よく混ぜ合わせます。

  • 3. 鮭とベビーリーフを皿に盛り付け、鮭にヨーグルトソースをかけて完成です。

4.【副菜】栄養バランスの良いレシピ

緑黄色野菜や淡色野菜、いもやきのこ、豆、海藻を使った料理が副菜にあたります。手軽に作れて、野菜をたっぷりとれるメニューを紹介します。

4-1.簡単ニューイングランド風クラムチャウダー

缶詰と冷凍野菜を利用した、手軽に作れるクラムチャウダーです。あさり缶・ベーコン・玉ねぎ・じゃがいもをベースに、お好みでさまざまな具材を組み合わせてみてください。

【材料】2人分

  • ・あさり水煮缶 1缶(60g)

  • ・ホワイトソース缶 1/2缶

  • ・ベーコン 1枚

  • ・じゃがいも 1/2個

  • ・冷凍ミックスベジタブル (玉ねぎ入り) 100g

  • ・バター 10g

  • ・牛乳 150ml

  • ・水 50ml

  • ・塩 少々

  • ・白こしょう 少々

  • ・プレーンクラッカー 6枚

【作り方】

  • 1. あさり水煮缶は、あさりの身と煮汁に分けます。皮をむいたじゃがいもとベーコンは、どちらも1cm角に切ります。

  • 2. あさりの煮汁をホワイトソースに加え、溶き延ばします。

  • 3. バターを溶かした鍋に、じゃがいも・ベーコン・冷凍ミックスベジタブルを入れます。ミックスベジタブルの玉ねぎが、透き通った色になるまで炒めます。このとき、玉ねぎが焦げないように注意しましょう。

  • 4. 鍋に水・牛乳・2を加え、中火で沸騰させます。その後、7~8分ほどじゃがいもがやわらかくなるまで弱火で煮込み、分けておいたあさりの身を入れ、塩・白こしょうで味を調えます。あさりが温まったら火を止めます。

  • 5. スープを器によそって完成です。食べるときに、お好みでプレーンクラッカーを割り入れてください。

4-2.菜の花のミモザサラダ

さやいんげんと菜の花の緑色に玉子の黄色が映えて、見た目にも美しく季節も楽しめる一皿です。ゆで玉子は包丁で刻んでも良いですが、ザルに押し付けるように裏ごしするのもおすすめです。

【材料】2人分

  • ・菜の花 1束

  • ・さやいんげん 5本

  • ・ゆで玉子 1個

  • ・ミニトマト 3個

  • ・塩 適量

<A>

  • ・マヨネーズ 大さじ1.5

  • ・ヨーグルト 大さじ1

  • ・オリーブ油 大さじ1/2

  • ・塩 適量

  • ・こしょう 適量

【作り方】

  • 1. 菜の花は根元を切り落とします。

  • 2. 菜の花とさやいんげんは、塩を入れた熱湯で好みの硬さになるまでゆでます。その後、冷水に取って冷まします。

  • 3. ゆで玉子は白身と黄身に分け、それぞれ細かく刻みます。

  • 4. ボウルに<A>を入れてよく混ぜ、ドレッシングを作ります。

  • 5. 菜の花とさやいんげんは食べやすい大きさに切って、ミニトマトは4等分にします。

  • 6. 野菜を皿に盛り付け、ドレッシングを回しかけます。その上に、刻んだ白身と黄身を飾って完成です。

栄養満点のレシピで元気な明日につなげよう

健康な生活を送るためには、栄養バランスの整った食生活が欠かせません。栄養の良い食生活という観点だと、朝食を含めて少なくとも一日2回以上は、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を摂るのが理想といえます。

調理が大変だと感じる場合は、缶詰や冷凍野菜などを活用するのもよいでしょう。また、忙しい朝は「バナナとヨーグルト」や「シリアルと牛乳」など、簡単メニューで複数の栄養素を摂れるレシピもおすすめです。

「栄養の良い食事を続けるのは難しい」と気負わず、まずは自分でできる範囲から始めてみませんか。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。