高齢者が筋肉をつけるための
食事のポイントとおすすめレシピを紹介

加齢にともない、体の細胞数が減ったり、細胞そのものの働きが悪くなったりすることで、生理的老化が進行します。

生理的老化の特徴の一つが、筋肉量や筋力の低下です。

今回は、高齢者が筋肉をつけるために摂りたい栄養素や食事のポイント、おすすめの食事レシピなどを紹介します。

1.加齢とともに筋肉量は低下する

高齢になると、筋線維数と筋横断面積が減ることで、筋肉量や筋力が低下します。その要因には、活動量が減少することや、低栄養になりやすいことが挙げられるでしょう。

低栄養とは、食欲や口腔機能が衰えることで食事量が減り、必要な栄養素が不足した状態のことです。

2.高齢者が筋肉をつけるために摂りたい栄養素・食品

高齢者が筋肉を強くするための栄養素・食品と、具体的な食事レシピを紹介します。

2-1.筋肉を強くする栄養素と食品

筋肉を強くするおもな栄養素と食品は、次のとおりです。

栄養素 多く含む食品の例
タンパク質 肉、魚、卵、乳製品、大豆製品
炭水化物 米、パン、麺類
脂質 油、バター
ビタミンB6 マグロの赤身、カツオ、赤ピーマン、キウイ、バナナ
ビタミンD 魚介類、卵、きのこ

2-2.筋肉をつける食事レシピ

筋肉をつけるのに効果的な食事レシピを2品紹介します。

カツオの竜田揚げ オクラソース

1品目は、ビタミンB6が豊富なカツオを使った竜田揚げです。

【材料】

  • ・カツオ 1さく

  • ・ラディッシュ 2個

  • ・紫たまねぎ 1/2個

  • ・片栗粉 大さじ2

  • ・サラダ油

【下味】

  • ・おろしにんにく 小さじ1/2

  • ・しょうがの絞り汁 小さじ1

  • ・醤油 小さじ1

  • ・酒 小さじ1

【オクラソース】

  • ・オクラ 6本

  • ・だし汁 大さじ1

  • ・薄口醤油 小さじ1

  • ・からし 小さじ1/2

【作り方】

  • 1. カツオは1~1.5cm幅に切り、下味を付けて冷蔵庫で1時間ほど寝かせます。

  • 2. オクラは塩を振って板ずりし、2分程度ゆでます。冷水にとって包丁でたたき、【オクラソース】の調味料を混ぜ合わせておきます。

  • 3. ビニール袋に片栗粉を入れ、水気をふき取った1のカツオを加えて粉をまぶしたら、170度の油で揚げましょう。

  • 4. お皿に、薄切りにしたラディッシュ・紫たまねぎ・カツオの竜田揚げを盛り付け、オクラソースをかけたら完成です。

レンジでよだれ鶏

2品目は、タンパク質や、筋肉成分の「イミダゾールペプチド」を豊富に含む、鶏胸肉を使ったよだれ鶏です。

【材料】

  • ・鶏胸肉 1枚

  • ・長ねぎ 5cm

  • ・きゅうり 1本

  • ・パクチー 適量

【A】

  • ・砂糖 小さじ2

  • ・塩 小さじ1/2

  • ・サラダ油 大さじ1

【B】

  • ・鶏の蒸し汁 大さじ3

  • ・砂糖 小さじ1.5

  • ・醤油 大さじ2

  • ・酢 大さじ2

  • ・ラー油 大さじ1~

【作り方】

  • 1. 鶏胸肉の厚い部分に切り込みを入れ、厚みを均一にします。フォークで数カ所穴を開けて、【A】の調味料とともに耐熱容器に入れましょう。

  • 2. 1の耐熱容器にラップをふんわりとかけ、電子レンジで4分(600W)加熱します。取り出したらそのまま置いておき、余熱で火を通しましょう。

  • 3. 長ねぎはみじん切り、きゅうりは細切り、パクチーはザク切りにします。

  • 4. 3の長ねぎと【B】を混ぜ合わせ、タレを作ります。

  • 5. お皿にきゅうりと食べやすい大きさに切った2の鶏肉を盛り付け、4のタレをかけます。仕上げに3のパクチーを添えて完成です。

3.高齢者が筋肉をつけるための食事のポイント

筋肉をつけるのに必要な栄養素を摂るためには、一日3食、規則正しく食べるのが基本です。ただし、特定の栄養素だけを摂るのではなく、多様な食品を組み合わせ、栄養バランスの良い食生活を送る必要があります。

1回の食事量が少ない場合は、間食でタンパク質やミネラルなどを補うこと、食欲がない場合は、おかずを優先して食べることを意識するとよいでしょう。食欲が増すように味付けを濃くすると、塩分の摂りすぎになるため注意してください。

また、口腔機能の悪化は食事量の減少につながるため、口腔ケアに気を配ることも大切です。

早い段階から対策を取り筋肉の衰えを予防しましょう

加齢にともない、筋肉量や筋力が低下するため、筋肉をつけるのに必要な栄養素・食品を日頃から意識して摂ることが大切です。

規則正しい食生活を基本としつつ、ケースに応じて間食を取り入れたり、おかずを優先して食べたりと工夫してみましょう。

また、家族や友人と一緒に食事をするなど、楽しみながら食事をする機会を増やすのも、低栄養の予防に有効です。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医