糖尿病の予防方法
糖尿病を放置するリスクや現れるおもな症状についても紹介

糖尿病には自己免疫の異常で起こる1型糖尿病と、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣と関わりのある2型糖尿病があります。多くは2型糖尿病で、疑いがある方も含めると日本全国に約1,870万人もいるといわれています。成人の約6人に1人は糖尿病です。

糖尿病は、透析治療が必要になったり、眼や神経に合併症が起こったりするため、悪化しないようにうまく血糖値をコントロールしていかなければなりません。

その前に、まずは糖尿病にならないように予防することが大切です。今回は糖尿病の予防方法や治療せずに放置するリスク、おもな症状などについて紹介します。

1.糖尿病になるとどうなるのか?

2型糖尿病は、食生活や生活習慣などが大きく関係して起こる糖尿病です。糖尿病はまず発症しないように予防すること、発症したら血糖値をしっかりコントロールしていくこと、さらに合併症の発症を予防することが大事だといわれています。

なぜ、このように糖尿病は重要視されているのでしょうか。

1-1.糖尿病とは

そもそも糖尿病とは、インスリンの量が不足したり分泌されていても効果が発揮されづらくなったりすることにより、血糖値が高い状態が続くことです。

ブドウ糖はエネルギー源となるため、私たちが生きていくためには欠かせません。しかし、過剰なブドウ糖は血管を傷つけて、さまざまな症状を引き起こしてしまうのです。

1型糖尿病は、自分の免疫がインスリンを分泌している細胞を破壊することで起こります。インスリン依存型とも呼ばれており、治療にはインスリンの自己注射が必要です。

2型糖尿病は食べ過ぎや運動不足などに遺伝的な要素が加わって発症します。生活習慣病といわれているのは、2型糖尿病のほうです。普段の生活習慣が発症に大きく絡んでいることから、2型糖尿病は生活習慣の改善により予防ができます。

1-2.糖尿病はさまざまな合併症を引き起こす

糖尿病を発症すると、次のような合併症を引き起こす可能性があります。

  • ・網膜症

  • ・腎症

  • ・神経障害

これらの合併症は糖尿病の三大合併症と呼ばれており、重大な疾患を招くこともあるので注意が必要です。

眼の網膜にある細かい血管が障害を受けると、眼が見えづらくなり、進行すると失明する可能性があります。腎臓の血管が障害を受けると、腎臓の機能が低下して、症状が進むと透析が必要になります。手や足の神経に障害が起きると感覚が麻痺し、症状が進むと足に潰瘍ができたり、足が壊死したりしてしまうこともあります。

2.糖尿病のおもな症状

糖尿病を発症しても、自覚症状はほとんどありません。病状が進行すると、次のような症状が見られることがあります。

  • ・喉が異常に渇く

  • ・尿の量が多くなりトイレが近くなる

  • ・異常にお腹が空く

  • ・皮膚にかゆみが出る

  • ・しびれが出る

  • ・急激に体重が減少する

3.糖尿病の予防方法について

では、どのようにすれば2型糖尿病を予防できるのでしょうか。ここでは3つの予防方法を紹介します。

3-1.食生活の見直し

まずは、食生活の見直しを行ないましょう。食べる量が多いと、それだけインスリンの働きが不足してしまいます。そのため、一日に取るエネルギー量を最小限に抑えることが大切です。

一日3食をしっかり食べながら、腹八分目を守るようにしましょう。ご飯やパンなどは血糖値を上げやすいため、主食だけでなく主菜や副菜も一緒に食べるようにします。

濃い味付けにすると、ついついご飯を多く食べてしまうので薄味にすることがポイントです。菓子パンやケーキ、和菓子やせんべいなどの間食も控えましょう。

3-2.運動習慣を身につけるようにする

運動を行なうと、血液中のブドウ糖が消費されるため血糖値を下げることができます。インスリンの働きを良くして血糖値を下げやすくする効果もあるため、定期的に運動を行なうことが大切です。

2型糖尿病を予防するためには、有酸素運動と筋力トレーニングを行なうことが推奨されています。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を週に3回以上、合計で150分以上を目安に行ないましょう。筋力トレーニングは、足や腰、背中など大きな筋肉をメインに週2~3回行なうことがすすめられています。

3-3.定期的に検診を受ける

糖尿病の疑いがあるかどうかを調べるために、定期的に検診を受けることも大切です。空腹時血糖値やHbA1c(血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結合したもの)を調べることで、血糖の状態を知ることができます。

食生活と運動習慣を見直して糖尿病を予防しましょう

糖尿病とは、インスリンが不足したり働きが悪くなったりするために、血糖値が高い状態が続くものです。成人の約6人に1人は2型糖尿病だといわれています。糖尿病を放置していると、重大な合併症を引き起こすことがあるため、注意してください。

自覚症状はほとんどありませんが、病状が進むと喉が異常に渇いたり体重が急激に減少したりするなどの症状が見られます。2型糖尿病を予防するためには、食生活を見直し、運動する習慣を身につけることが大切です。

検診を受けることで血糖の状態を知ることができるため、定期的な検診も受けるように心がけましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。