歯を失わないためにはどうすればいい?
歯を失う2大原因と対策

歯は、食事を楽しむために欠かせません。元気な歯を保ち、いつまでも健康でいたいものですが、歯はむし歯と歯周病という2大原因によって失われてしまうことがあります。

今回は、歯が抜けてしまう原因とその対策を解説します。

1.歯を失う2大原因はむし歯と歯周病

歯は、むし歯と歯周病の2大原因によって失われます。奥歯が先に失われるケースが多く、若年層の場合はほとんどむし歯が原因です。歯が失われて残りの歯が少なくなると、むし歯ではなく歯周病によって歯を失くすようになります。

特に次のような歯は、失われるリスクが高いでしょう。

  • ・治療していないむし歯がある歯

  • ・クラウン(冠)を装着している歯

  • ・部分入れ歯の針金がかかる歯(鈎歯)

  • ・歯周病が進行している歯

2.むし歯の原因と対策

ここでは、むし歯の原因とその対策方法を解説します。

2-1.むし歯の原因

むし歯は「う蝕」とも呼ばれ、歯の表面にある硬い部分が細菌の酸によって溶かされ、エナメル質やセメント質、象牙質を壊す歯の病気です。

歯の表面では、歯のもととなるカルシウム(Ca)などのミネラルが溶け出る現象(脱灰)と、

唾液が歯から溶け出したミネラルを再度付着させ修復する(再石灰化)を繰り返しています。

しかし、この脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰に再石灰化が追い付かなくなった場合、むし歯になります。

むし歯は、おもに次の3つの要因が深く関与しています。

  • ・細菌叢(微生物)によるもの

  • ・食事性基質によるもの

  • ・宿主および歯によるもの

細菌叢(微生物)による場合は、ミュータンス菌などのう蝕病原菌の数が関係しています。

食事性基質では、間食の頻度や糖分の摂り方、キャラメルやチョコレートなど歯に付着しやすい食品の摂り過ぎなどが挙げられます。そのため、食事で摂取する糖分の量ではなく、間食に摂取する糖分量に注意が必要です。

また、宿主および歯に原因があるケースでは、歯自体の質・唾液・歯並び・生活習慣・健康状態などがむし歯と関係しています。

「歯磨きの習慣がある」「規則的な生活をしている」など、通常の生活を送っている場合は、何度もむし歯になることはありません。う蝕病原菌の数が多い、歯並びが悪い、歯を磨かない、間食が多い、不規則な生活をしているといった方は、むし歯になりやすいでしょう。

2-2.むし歯の予防につながる対策

むし歯予防に効果的な方法は、次のとおりです。

  • ・歯磨きで歯垢(プラーク)を除去する

  • ・食習慣を見直す

  • ・フッ素入り歯磨き剤を使う

歯垢には、むし歯菌が住み着くため、歯磨きでしっかり歯垢を落としましょう。間食すると口内が酸性になり、むし歯が発生しやすい環境になります。そのため、甘いものを制限したり、時間を決めて食事したり、間食の回数を減らしたりすることなどが大切です。フッ素は、歯のミネラルが溶け出る脱灰を抑制し、再石灰化を促すことで強い歯を作る働きがあります。

このように生活を見直すとともに、定期的に歯科医院へ通って口の中を確認してもらうとよいでしょう。

3.歯周病の原因と対策

ここでは、歯周病の原因や予防を紹介します。

3-1.歯周病の原因

歯周病は、歯周病菌によって歯ぐきが炎症を起こす病気のことです。歯ぐきの炎症が悪化すると、歯が抜ける原因にもなります。

歯周病の原因は、おもに次の3つです。

  • ・細菌要因

  • ・環境因子

  • ・老化や遺伝子的要因

細菌要因は、歯周病菌が増殖する歯垢が原因です。環境因子とは、喫煙やストレス、不規則な生活といった生活習慣が挙げられます。また、老化や遺伝、肥満なども歯周病の要因としてあります。

3-2.歯周病の予防につながる対策

歯周病を予防するためには、以下の点を意識するとよいでしょう。

  • ・歯磨き

  • ・禁煙

  • ・ゆっくりよく噛むこと

  • ・栄養バランスの良い食事を心がけること

  • ・ストレスを溜めないこと

まず、重要なのが歯磨きです。歯周病菌が住み着く歯垢を歯磨きできれいに除去することが歯周病予防には大切です。

タバコに含まれているタールは歯に付着することで、歯周病の原因となるプラークの付着も促します。また、一酸化炭素やニコチンは病原菌に対する体の抵抗力を弱らせるため、歯周病が治りにくくなるでしょう。

歯周病を引き起こす肥満を予防するためにも、栄養バランスに注意しながらゆっくり噛んで食べることが大切です。また、軽い運動やリラックスなどでストレスを適度に解消しましょう。

生活習慣を見直して健康な歯を保とう

歯を失う大きな原因は、むし歯と歯周病です。むし歯と歯周病は、それぞれ異なる原因で起こります。

しかし、予防法には共通している部分があり、歯を磨いて歯垢を取ることと規則正しい生活を送ることは、むし歯と歯周病の両方に効果的な予防法です。歯垢には、むし歯菌や歯周病菌が多く住み着いているため、きちんと除去する必要があります。

日々の生活を見直して、いつまでも健康な歯を守りましょう。

監修者情報

氏名:福田尚美(ふくだ・なおみ)
歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院に勤務。現在は一般歯科・小児歯科非常勤勤務のかたわら歯科医師としての知識と経験を生かし、歯科医師webライター、歯科企業やオンラインセミナーのサポートなども行なっている。