1.メラトニンとは?
メラトニンとは、脳の中にある「松果体」という部分から分泌される、睡眠に関わるホルモンです。起床して朝の光を浴びた約15時間後(就寝予定時間の約1~2時間前)から血中のメラトニン量が増加し、眠気を誘う働きをしていると報告されています。
明るい光によって分泌は抑制されるため、昼夜のリズム(概日リズム=サーカディアンリズム)や季節のリズムを調整する役割も持っています。
このような生体リズムに関わる役割は人だけに限らず、多くの生物に見られます。例えば、渡り鳥が季節によって移動するタイミングや、動物の越冬、季節性の繁殖活動などは、メラトニンが関わる体内時計の影響を受けているのです。
さらに、昼夜の分泌量の差が体内時計の文字盤としての役割をしており、交感神経・副交感神経の調節や免疫を整える作用にも関わっています。
2.メラトニンと睡眠の関係性について
ここからは、メラトニンと睡眠の関係性について、もう少し詳しく見てみましょう。
先ほども述べたように、メラトニンは朝の明るい光によって分泌が抑制され、日中は血液中のメラトニン量は少なくなります。そして起床から約15時間後に、再び分泌量が増加し始め、眠気を誘う働きをします。夜間の分泌量は日中の十数倍にもなり、明確に日内変動が起こります。つまり、メラトニンの分泌により、睡眠と覚醒のリズムが整っているともいえるわけです。
このようなリズムは、朝の光が入らず昼夜の区別がない環境下(窓のない密室など)でも、体内時計によって調節され、昼夜ごとにメラトニン分泌量が変化します。
しかし、夜間にコンビニエンスストアなどで強い照明(1,000ルクス程度)を浴びると、時間に関係なくメラトニンの分泌は低下してしまいます。また、パソコンやスマートフォン、テレビなどの画面から発せられるブルーライトも、メラトニンの分泌を低下させます。このような要因によりメラトニンの量が不足すると、夜に眠れなくなり睡眠の質が落ちて睡眠不足につながるのです。
睡眠不足は覚醒ホルモンを増加させ、糖尿病やメタボリック症候群などになりやすい状態を作るほか、メラトニンが持っている自律神経や免疫などの調節作用や、成長ホルモンの分泌促進作用などもうまく働かなくなります。
健康や若さと深い関わりがある睡眠の質を保つには、メラトニンの分泌のリズムを阻害せず、十分な分泌を促すことが大切です。体内時計だけでなく、環境光の影響も受けることから、快眠のためにはメラトニンの分泌を減らさない工夫も必要でしょう。
3.メラトニンを減らさないためのポイント
睡眠の質を保つには、入眠を促すメラトニンを減らさないことが大切です。
3-1.夜間に強い光を浴びない
夜間にメラトニンの分泌が増えてきても、コンビニエンスストアでの照明のような強い光を浴びると、分泌量が低下してしまいます。睡眠をサポートしてくれるメラトニンを減らさないように、就寝前に明るい光を浴びないようにしてください。
また、照明だけでなく、パソコンやスマートフォンなどの画面からのブルーライトにも注意してください。ブルーライトそのものは太陽光にも含まれているものですが、長時間浴びることにより、メラトニンの分泌低下を招きます。できれば就寝時間の2~3時間前、少なくとも1時間前からは、スマートフォンなどの利用は控えましょう。
3-2.メラトニンの減少を防ぐセサミンを摂取
セサミンは、ゴマ1粒に1%未満しか含まれていない、希少な健康成分です。強力な抗酸化作用を持つことで知られており、加齢にともなう酸化ストレスでメラトニンが減少するのを防いでくれます。
睡眠の質の低下は加齢により誰にでも起こる老化現象の一つですが、セサミンを摂取して睡眠ホルモンであるメラトニンを維持して、睡眠の質を高めましょう。
睡眠の質を高めるには、体内時計に合わせた生活リズムでメラトニンを守る工夫をしよう
睡眠には、脳内で分泌されるメラトニンという睡眠ホルモンの分泌が大きく関わっています。昼夜の分泌量の差によって睡眠のリズムが作られるので、質の良い睡眠を確保するには、メラトニンの分泌リズムを崩さないようにすることが大切です。
体内のメラトニンの量を減らさないよう、就寝前の生活習慣に注意したり、セサミンを摂取したりするなどの工夫をして、規則正しく質の良い睡眠がとれるようにしましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。