1.自律神経失調症は何科に相談すればいい?
自律神経失調症が疑われる場合、もしかすると臓器に異常が起きているかもしれません。まずは、臓器の病気にかかっていないかを検査してみましょう。
臓器の検査で異常がなく、自律神経失調症と診断されたときに、心療内科を受診するのがよいでしょう。
なお、心療内科ではカウンセリングでストレスの原因を取り除き、メンタルの調子を整える心理療法や薬で症状を緩和する治療が受けられます。気軽に相談できるかかりつけの病院を見つけて、じっくり時間をかけて治療することが重要です。
2.そもそも自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、自律神経失調症の特徴や原因を解説します。
2-1.自律神経失調症
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて起こるさまざまな症状の総称です。
人の体には、脳と脊髄を指す「中枢神経」と、全身にくまなく通っている「末梢神経」の2種類の神経があります。
末梢神経は「体性神経」と「自律神経」の2種類があります。「体性神経」は、自分の意思で体を動かすための神経で、「自律神経」は、意思には関係なく刺激に反応して体の機能を動かします。例えば、真夏の暑い時期に手であおぐのは体性神経の働きで、汗が出てくるのは自律神経の作用によるものです。
また、自律神経には、交感神経と副交感神経という異なる役割を持つ神経に分けられます。交感神経は体を活発に動かすときに優位に働き、副交感神経は体を休めるときに優位に働きます。交感神経と副交感神経がお互いにバランスを取ることで、健康的な体の状態を維持しています。
しかし、ストレスなどさまざまなことが原因でこれらの神経バランスが崩れると、自律神経失調症となるのです。
2-2.自律神経失調症の原因
自律神経失調症を引き起こすおもな原因は、以下のとおりです。
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・ストレス
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・不規則な生活
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・ホルモンの乱れ
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・更年期障害
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・先天的要因
日常生活を送るうえで、うれしいことや楽しいことを含め、人は多くのストレスにさらされています。不規則な生活などで強いストレスを受け続けていると自律神経を刺激するため、注意が必要です。例えば、夜更かしをして昼過ぎまで寝ているような昼夜逆転の生活は、自律神経失調症の原因につながります。
運動せずにずっと座っていたり、週末に寝だめをしたりするのも避けましょう。また、疲労が溜まってくると、体の機能がバランスを崩し、自律神経失調症を引き起こします。
更年期になるとホルモンの分泌が乱れ(更年期障害)、自律神経失調症を引き起こすケースもあります。
3.自律神経失調症が引き起こすおもな症状
自律神経失調症のおもな症状は、次のとおりです。
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・倦怠感
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・疲労感
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・不眠
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・頭痛
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・動悸、息切れ
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・めまい
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・のぼせ
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・立ちくらみ
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・下痢、便秘
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・冷え
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・情緒不安定
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・イライラ
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・不安感
自律神経は、自分の意思ではコントロールできません。自律神経失調症の予防・改善には、生活習慣を見直すことが大切です。例えば、毎日の生活リズムを決めて、それに沿った行動を心がけるとよいでしょう。
また、ストレスが溜まっているときは、ぬるめのお湯につかったり、穏やかな音楽を聴いてリフレッシュしたりすることもおすすめです。さらに十分な睡眠と休憩をとることも大切です。
自律神経失調症を疑ったら、まず今出ている症状の科を受診しよう
自律神経失調症の症状は、精神的なものや肉体的なものなど、多岐にわたります。自律神経失調症を疑ったら、まず今出ている症状に合った科を受診しましょう。また、自律神経失調症の場合、臓器に異常がでることもあるため、まずはそちらの検査をするようにしましょう。
検査の結果、臓器に異常がなく自律神経失調症と診断されたときに、心療内科を受診するとよいでしょう。
また、自律神経失調症の予防・改善には、ストレスや不規則な生活などの原因を取り除き、生活リズムを整えることも大切です。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。