交感神経・副交感神経の働きとは?
自律神経を整えるポイントを解説

「自律神経や交感神経、副交感神経という言葉をよく聞くけれど、どのようなものかよくわからない」
「自律神経を整えるには、どうしたら良いの?」

テレビの健康番組や雑誌の健康コラムなどを見て、自律神経に関心を持っている方は多いのかもしれません。

今回の記事では自律神経の概要を説明し、バランスを整えて健康的に生活するためのポイントを解説します。

1.そもそも自律神経とは?

自律神経は呼吸や血流、消化吸収や体温調節など、全身の機能を維持する重要な役割を担う神経です。「神経」は中枢神経(脳と脊髄のこと)と、全身に張り巡らされた末梢神経の2種類に大別されます。末梢神経のうち、刺激に反応して自分の意識とは無関係に働くのが自律神経です。

自律神経には交感神経と副交感神経の2系統が存在し、それぞれ異なる働きを担っています。

2.交感神経と副交感神経の働き

交感神経と副交感神経は相反する役割を担い、バランスを取りながら生命活動を維持しています。具体的な働きについて解説します。

2-1.交感神経の働き

自律神経のうち、体の機能を活発化させる神経を交感神経と呼びます。例えば、血圧を上昇させる、心拍数を上げる、筋肉を緊張させる、発汗を促進させるなどが代表的な働きです。また、腸の蠕動運動を抑制したり、膀胱に尿をためたりするのも交感神経の役割です。

交感神経は日中に優位な状態になりやすく、また、ストレスを受けたり興奮したりすると活発化することが知られています。

2-2.副交感神経の働き

副交感神経は、おもに休息しているとき優位に働く自律神経です。血圧を下げたり心拍数を低下させたり、筋肉を弛緩させたり発汗を抑えたりするのが副交感神経の役割です。腸の蠕動運動の亢進や、排尿にも副交感神経が関わっています。副交感神経が優位となるのは、リラックス時や入眠中などです。

このように、副交感神経は交感神経とは反対方向の働きを担っています。

3.自律神経(交感神経・副交感神経)を整える生活習慣のポイント

交感神経と副交感神経がバランス良く機能することは、健康を維持するうえで重要です。不規則な生活やストレスなどによる刺激を受けると、自律神経のバランスが崩れて動悸や倦怠感、立ちくらみ、イライラなど心身の不調につながる場合があります。自律神経を整えるために、意識的に生活習慣を見直していきましょう。

交感神経と副交感神経のバランスを良くするポイントは、生活リズムを整えることです。朝起きたら窓を開けて太陽の光を浴びる、朝食を抜かずにきちんと食べる、平日も休日も同じ時間に起きるようにするといった朝の習慣は、良質な眠りにもつながり、自律神経の乱れを解消します。

日中はウォーキングやサイクリングなどのリズム運動を行ない、筋肉を規則的に動かすと自律神経が整いやすくなります。就寝前は激しい運動を控え、ストレッチ運動を取り入れるのが効果的です。深呼吸しながらゆっくりストレッチをすると、副交感神経の働きを高めることができます。

また、寝る前はまぶしい光を避け、スマートフォンやパソコンを使わないようにしましょう。ストレスをためすぎないようにしてリラックスする時間を設けたり、仕事や勉強の途中に休憩時間を作ったりするのも、自律神経のバランスを整えるうえで有効です。

自律神経を整えて健康的な毎日を送ろう

自律神経とは自分の意識とは無関係に働く神経のことで、内臓や筋肉など全身の機能を調整する働きを担っています。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類が存在し、この2種類の神経がバランス良く働くことが健康の維持には欠かせません。

規則正しい生活やストレス対策などを日常的に取り入れると、自律神経を整えることができます。自分が手軽に取り入れやすい習慣から、一つずつ実践していきましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。