場面別「体がだるい」を解消する方法4選

「体のだるさ」は、誰もが経験したことがある症状かもしれません。

だるさとは、「いつもの生活が送りづらいと感じる」といったような疲れた感覚のことです。例えば、運動したわけではないのに体が重く動かしづらかったり、しっかり寝たのにベッドから出るのが辛かったりなどの経験がある方も多いでしょう。

だるさの原因はさまざまです。原因を正しく知って、適切な対策をすることが大切です。

今回は、「最近なんだか体がだるいな……」と感じる方にぜひ知っておいていただきたい、「体がだるい」を解消する方法を原因別に6つ紹介します。

1.貧血の場合

食事からの鉄分摂取の不足による貧血や、特に女性の場合は月経にともなう貧血によって全身に十分な酸素が運ばれなくなると、「だるい」「疲れやすい」といった症状が引き起こされることがあります。

鉄分不足による貧血が原因の「だるさ」を改善するには、食生活の改善が欠かせません。例えば、鉄を豊富に含む赤身の肉や魚、ほうれん草などの色の濃い葉野菜をしっかりと食べることが大切です。

2.熱中症の場合

暑い夏はただでさえ疲れやすい季節です。夏バテとまではいかなくても、なんとなく体のだるさを感じる日も多いでしょう。

夏の季節に特に注意したいのが、ニュースにもたびたび取り上げられる「熱中症」です。熱中症の症状としては、「だるさ」「頭痛」「吐き気」などが挙げられます。熱中症は重症化すると意識を失い、最悪の場合は命にかかわる可能性もあるほど怖い病気です。

気温や湿度が高い日や、急に暑くなったと感じるような日は特に注意が必要です。「熱中症かも?」と思ったら、すぐに「涼しい場所へ避難する」「衣服で体温を調節する」「水分・塩分を補給する」などの対処を行ないましょう。

3.更年期障害の症状の場合

更年期障害などによって自律神経のバランスが崩れると、「だるい」「疲れやすい」といった症状が起きる場合があります。

40歳以降は性ホルモンの分泌が低下することで、さまざまな体の不調や情緒不安定などの精神症状が現れやすくなります。これらをまとめて「更年期障害」と呼びます。

女性の場合は、閉経前後の約10年間に症状が現れる傾向にあります。男性の場合は、女性よりもホルモンの分泌量の変化が緩やかなため老化現象と勘違いしてしまう方もいます。

「だるさ」と「疲れやすさ」は、日本人の更年期障害に特に多く見られるのが特徴です。ホルモン剤などの薬物治療や漢方療法、予防的な食事療法といった更年期障害自体の治療を行なうことで、「だるさ」の症状を改善できる場合があります。

「だるい」という症状と更年期障害に関連性があるとは思わず、治療せずに放置してしまうケースも見られます。この場合、体のだるさによって思うように動けないことが精神的ストレスとなり、精神的症状を悪化させてしまう可能性もあるでしょう。

40歳代以降の該当する年代の方は、「体のだるさ=更年期かも」という意識を持ち、適切な治療につなげていくことが大切です。

4.その他の病気の場合

ここまで説明した原因以外にも、糖尿病・肝障害・腎障害・甲状腺疾患など、多くの病気が「だるさ」の症状をともないます。例えば、婦人科系の病気である子宮筋腫や子宮内膜症によって経血の量が多くなると貧血になり、体のだるさを感じる場合もあります。

体のだるさは、「最近疲れがたまっているのかな……」と軽く思いがちです。しかし、裏には大きな病気が隠れている場合もあります。病気を見逃さないためにも、「だるさ」が続いたら安易に自己判断せずに、医療機関の受診を検討してみてください。

体のだるさは心や体のSOSかも

体のだるさは多くの方が感じる症状で、その原因はさまざまです。しかし、ちょっとした「だるさ」でも放置すると、大きな病気を見逃してしまうこともあります。

体のだるさは、心や体からのSOSかもしれません。毎日頑張りすぎていないか、体のケアはできているか、だるさが続くときには自分の心と体に耳を傾けてください。

場合によっては、医療機関への受診など早めの対処も意識して、毎日を元気に過ごしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。