1.肥満解消につながる食生活の改善方法
まずは肥満解消のためにできる食生活の改善方法を3つ説明します。
1-1.適切なエネルギー摂取を心がける
肥満を解消するためには、消費エネルギーよりも摂取エネルギーを少なくすることが基本となります。エネルギーが過剰になるため、食べ過ぎを控え、おやつ、アルコールは適量にとどめましょう。
摂取エネルギーの目安としては、基礎代謝量(kcal/日)に身体活動レベルの数値をかけ算することで求められます。
身体活動レベルは、日常生活のほとんどを座って過ごしている方は1.5、座っていることが多く通勤・軽いスポーツ・買い物などで軽く体を動かす方は1.75、移動やスポーツで体を動かすことが多い方や立っている時間が長い方は2.0で計算してみましょう。
1-2.食事の栄養バランスに配慮する
健康的なダイエットをしなければ、ダイエットをしても逆に太りやすい体質になったり体調不良になったりすることがあるため、栄養バランスに配慮した食事を心がける必要があります。
炭水化物を摂らないダイエットよりも、タンパク質・カルシウム類・ビタミン類などに加えて、炭水化物や脂肪もバランス良く摂れる食事を行なうことが大切です。
また、摂取エネルギーを減らすことは基本ですが、過度な食事制限は短期的な結果にとどまることが多く、精神的にも肉体的にも悪影響になることがあるため注意しましょう。
1-3.食習慣を見直す
かつて肥満は遺伝によるものと考えられることもありましたが、家族の食生活や運動量など、生活で共通する部分が肥満の要因と考えられています。そのため、日頃の食習慣を見直すことも大切です。
朝・昼・夕と規則正しく食事をする、できるだけたくさんの種類の食べ物を口にする、間食をする際は普段の食事で不足しやすい栄養を摂ることを心がけましょう。
また、早食いの人ほど、肥満の度合いを示すBMI指数が高い傾向にあるという調査もあります。将来的な観点からも、顎が弱くなり、噛めなくなると食べられる食品が限られてしまい、ビタミンや食物繊維などの栄養が不足する可能性も考えられます。ゆっくりとよく噛んで食べることは肥満の対策だけでなく健康にとっても大切です。
2.肥満解消につながる運動習慣
内臓脂肪を減らすためには有酸素運動が良いと考えられています。
具体的には、ウォーキングや自転車をこぐ動きをするエルゴメーターなどがおすすめです。
その他にも、エアロビクスやテニス、ダンス、日常生活では買い物や犬の散歩、子どもと遊ぶなど、有酸素運動であれば種目に限りはなく、エネルギーの消費量を徐々に上げていくように取り組むことが大切です。
ウォーキングによる運動量の目安としては、メタボリックシンドロームの方は現状よりも一日3,000歩の増加、そうでない方は一日1万歩くらいと考えられています。
3.肥満の定義と種類
肥満度はBMI指数で表されます。また、肥満には内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の2種類があり、ここからは、それぞれについて解説します。
3-1.肥満の定義
肥満度合いの判定に用いられる目安としてBMI(Body Mass Index)という数値があり、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることによって算出するものです。BMIの標準は22.0、肥満は25.0以上の状態で脂肪が過剰に蓄積した状態とされています。
BMIは計算式が身長と体重のみであることから体脂肪については考慮されていません。BMIが標準であっても筋肉より体脂肪が多い隠れ肥満の場合もあります。BMIはあくまで目安の一つとして考えておきましょう。
肥満かどうかは体重の重さだけではなく、体脂肪の量も考慮して決定します。
3-2.肥満の種類
肥満には2種類あり、内臓脂肪型と皮下脂肪型があります。
内臓脂肪型肥満は男性に多く、お腹の腸の周りに脂肪が蓄積している種類の肥満です。お腹の周りが大きくなることから「リンゴ型肥満」「隠れ肥満症」などと呼ばれることもあります。高血圧や脂質異常症などの生活習慣病につながるおそれがあるでしょう。
一方、皮下脂肪型肥満は女性に多く、お尻や太ももなど下半身の皮下組織に脂肪が蓄積する種類の肥満です。下半身が大きくなることから「洋ナシ型肥満」とも呼ばれます。
皮下脂肪型は脂肪が落ちにくく、合併症では睡眠時無呼吸症候群や関節の痛み、月経に影響をきたす可能性があります。
できる範囲から食生活と運動を取り入れてみましょう
肥満には、男性に多い内臓脂肪型肥満と、女性に多い皮下脂肪型肥満があります。いずれも何も対策を行なわないと、日常生活に影響をきたすような病気になってしまう可能性もあるため、日頃から肥満にならない生活を心がけましょう。
肥満にならないようにする基本的な考え方としては、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを多くすることです。食生活ではカロリーを摂りすぎないように注意しつつ、間食を行なうときは不足しがちな栄養を含んでいるものを選ぶことがよいでしょう。
また、運動は継続的に行なうことが大切なので、階段昇降やウォーキングなど、日常生活で行なっていることにうまく取り入れることがおすすめです。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。