1.コエンザイムQ10について
そもそもコエンザイムQ10とはどのような物質なのでしょうか。ここでは、コエンザイムQ10の特徴について解説します。
1-1.コエンザイムQ10とはどのような物質?
コエンザイムQ10は、体内のエネルギー生産に関与しており、生命活動を維持するために重要な物質です。体内に存在するほとんどの細胞に含まれていますが、おもに心臓・膵臓・肝臓・腎臓・副腎に多く含まれています。
ユビキノンやユビデカレノンとも呼ばれており、ユビデカレノンは、医薬品として扱われる際の名前です。
またコエンザイムQ10は、おもに肉類や魚介類などの食品に含有する脂溶性のビタミン様物質です。ビタミン様物質とは、厳密にはビタミンの定義に当てはまらない物質を指します。
コエンザイムQ10は、食事から摂取できるだけではなく、体内での合成も可能です。
1-2.コエンザイムQ10は加齢とともに減少する
コエンザイムQ10は、ストレス・病気・薬剤などによっても減少しますが、おもな原因は加齢にともなうコエンザイムQ10の生産力低下です。
体内に含まれるコエンザイムQ10は、20歳をピークに加齢とともに減少し、40歳頃から激減する傾向にあります。特に肝臓・心臓・腎臓・肺など活発に代謝が働いている臓器では、コエンザイムQ10の減少が目立ちます。肺や心臓においては、80歳になる頃には最大で20歳時のおよそ半分まで減ってしまうため、しっかり補うことが大切です。
2.コエンザイムQ10は食事でも摂取できる
血液中に含まれるコエンザイムQ10の半分以上は、体内で合成されたものといわれています。このように、コエンザイムQ10は体内で合成できる他、普段の食事から摂取することも可能です。
ここからは、コエンザイムQ10を含む代表的な食品と、一日の目安摂取量について解説します。
2-1.コエンザイムQ10を含む食品
コエンザイムQ10を含む食品は、次のとおりです。
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• イワシやサバなどの青魚
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• 牛肉や豚肉などの肉類
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• 大豆
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• ピーナッツやクルミなどのナッツ類
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• ほうれん草やブロッコリー
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• チーズ
特に魚や肉など動物性食品では、含有率が高い傾向にあります。
例えば、イワシ100gには約6mg含まれていますが、チーズ100gでは1mg未満です。
またコエンザイムQ10を体内で効率良く合成するためには、タウリン・ビタミンC・B2・葉酸などが必要です。特定の食品だけを食べるのではなく、バランスの良い食事が大切になります。
なお、これらを意識しない場合、毎日の食事で摂取できるコエンザイムQ10の目安量は、一日約5mgです。
2-2.コエンザイムQ10の一日の摂取量について
食品におけるコエンザイムQ10の推奨摂取量や上限量は、特に定められていません。現時点では、適切な摂取量を定めるための科学的なデータが不足しているためです。
一方で、医薬品としてのコエンザイムQ10は一日の摂取上限量を30mgと設定しているため、厚生労働省は食品においても30mgを超えないように通知しています。
食事からコエンザイムQ10を効率的に摂取しよう
コエンザイムQ10は、体内のエネルギー生産に関与する物質です。
生産能力の低下や、食べ盛りの頃と比べて食事の量が減っていくことから、コエンザイムQ10は加齢にともなって減少傾向にあります。そのため、いかにして補給するのかという点が重要なポイントです。
コエンザイムQ10の摂取方法はさまざまありますが、まずは食事からの摂取を心がけてみましょう。特にイワシやサバなどの青魚、牛肉や豚肉など動物性食品では、含有率が高い傾向にあります。推奨摂取量は定められていませんが、食品からの摂取の場合も、医薬品としての上限一日30mgを超えないように厚生労働省は指導しています。
食事など自分に合った方法でコエンザイムQ10を補給し、健康的な毎日を維持しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。