1.体がだるい・眠いときに考えられる原因
女性が、体がだるい・眠いと感じる原因には生活習慣や疾患、妊娠・産後特有のものなどさまざまなものが挙げられます。
1-1.一般的な女性の原因
睡眠や覚醒のリズムに関わる体内時計が乱れると、眠気や倦怠感などの身体的不調が現れます。これは、現代社会において夜遅い時間でも明るい照明の下で過ごしていることなどが原因の一つです。
その他にも、睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり、浅くなったりして体が低酸素状態となる睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる疾患があります。起床時に頭痛や体のだるさや日中に眠気が出現するのが特徴です。
1-2.月経・妊娠・産後特有の原因
女性の体は「月経」「妊娠・出産」「閉経」などを迎えることでホルモンの変化がともない、その影響は睡眠にも及びます。
月経前症候群は、月経前になると心身に不調が生じ、睡眠が浅くなり、日中の眠気を感じるのが特徴です。これは、程度の差はありますがほとんどの女性が経験しています。
また、妊娠前期にはプロゲステロンにより日中の眠気が強くなる傾向にあるようです。中期には眠気は安定しますが、後期には子宮の増大・収縮や胎動、頻尿、腰痛により中途覚醒がみられるでしょう。
産後は急激な内分泌環境の変化が起こるうえに、育児が中心の生活というストレスにさらされます。夜間の授乳で睡眠が遮られてしまうため睡眠不足となり、日中の眠気が増大してしまうのです。
2.体がだるい・眠いときの対処法
体のだるさや眠気が現れたときはできるだけ早く解消したいものです。次は、そんな不調に役立つ対処法をみていきましょう。
2-1.一般的な女性の対処法
体のだるさや眠気は体内時計と深く関係しているため、そのような症状が現れたときは、規則正しい生活を送るようにしましょう。朝にしっかりと太陽の光を浴びて食事をとり、学校や仕事に行くことによって、体内時計を調整することができます。
また、日頃からストレスを溜めないようにすることも重要です。私生活を犠牲にして仕事に取り組んでいる方は、メンタルだけでなく身体的な影響を受けている可能性もあります。体の不調が続く前に、リフレッシュをするための十分な休養をとるようにするとよいでしょう。
2-2.月経・妊娠・産後の対処法
月経前にやたらと眠気がひどい場合は、昼と夜の区別をしっかりとつけるようにしましょう。体調に合わせて仕事やお休みのスケジュールを考えることも重要です。また、痛みなど自分の力ではどうしようもない場合は早めに婦人科へ受診することをおすすめします。
妊娠中に眠気が感じたときは、15時以前であれば短時間の昼寝をするのもよいでしょう。できるだけ無理をしないことが大切です。運動を生活に取り入れてメリハリを出すことで、良質な睡眠にもつながります。
また、妊娠が睡眠時無呼吸症候群や、夜間に下肢の異常感覚を呈するむずむず脚症候群のきっかけとなることもあるため、症状が気になる場合には医療機関への受診がおすすめです。
不調に気が付いたら早めに対処を
女性特有の体のだるさや眠気の原因・対処法について紹介しました。
原因のなかには体内時計が乱れることにより引き起こされる不調など、ご自身で改善できるものもありますが、睡眠時無呼吸症候群など専門家の助けが必要であるものもあります。
また、女性ならではの悩みである月経により引き起こされる体の不調をがまんしている人は多いようです。
「婦人科の受診に抵抗がある……」と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、婦人科を受診することで、月経の不調や痛みを緩和する薬の相談ができたり、子宮や卵巣疾患の早期発見が期待できたりします。
不調がなかなか良くならない場合は、早めに医療機関への受診を検討するようにしましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医