1.DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)とは?
DHAもEPAも、どちらも不飽和脂肪酸の一種です。
脂肪酸には種類があり、常温で固まりにくい不飽和脂肪酸と、肉の脂身やラードのように常温で固まる飽和脂肪酸に大きく分けられます。
DHAとEPAは氷点下でも固まらないサラサラとした脂の一種で、不飽和脂肪酸のなかでも食事で摂る必要がある多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)です。そのなかでもオメガ3(n-3系)脂肪酸として知られています。
DHAやEPAはまぐろ、いわし、さば、うなぎ、ぶり、さんまなどの魚に多く含まれ、人間の体内でもさまざまな場所に存在し、健康維持に大きな役割を果たしています。
1-1.DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは1989年に日本人の子どもの知能指数が高いことの理由として注目され始めた成分です。
青魚に多く含まれる成分で、思考力や記憶力維持、健康に大切な働きをすることがわかっています。
青魚の体内では眼球の後ろにある脂肪分に多く含まれており、人の体内では脳の灰白質、網膜や神経などに含まれています。
1-2.EPA(エイコサペンタエン酸)
1990年後半、憂鬱を感じる頻度の低さが魚を食べる量が多いことに起因している可能性があり、注目され始めた成分です。
青魚のサラサラ成分として知られており、健康維持や気持ちの面に影響することが知られています。
EPAは魚だけでなく海の哺乳類の脂質にも存在し、また、人の体内では体のリン脂質に含まれていることがわかっています。
2.DHA・EPAのサプリメントは寝る前に摂っても良い?
一般的にサプリメントは薬ではないため飲む時間の指定はありません。一日の目安量に関しても参考にする必要はありますが、一度にまとめて飲んでも数回に分けて飲んでも問題はありません。朝食後や寝る前など、自分に合った飲み方を探してみてください。
また、飲む期間については、まずは3カ月を目安にしてみましょう。
サプリメントは治療ではなく、あくまで健康維持のためや栄養補給により食生活を整えることが目的で使用されます。飲んですぐに満足が得られるケースは少ないため、数カ月継続しての使用を考えておくほうがよいでしょう。
薬を飲んでいる方や治療中の疾患がある方でサプリメントの使用を考えている場合は、かかりつけの医師や薬剤師に飲み合わせについて事前に相談することをおすすめします。
DHAやEPAなどの魚油は血が固まりにくくなる作用や、血圧やコレステロールを下げる作用があるため、血液をサラサラにする薬や、降圧薬、脂質異常改善薬との飲み合わせに注意が必要だと考えられています。
3.DHA・EPAの摂取目安量
DHAもEPAも摂取の上限量は設定されていません。
ただし、どの成分にもいえることですが、摂り過ぎないようにバランスのとれた食事を心がけることが大切です。
3-1.n-3系脂肪酸全体の摂取目安量(g/日)
一方で、DHAやEPA、α-リノレン酸などを指すn-3系脂肪酸全体の摂取目安量は決められています。
年齢と性別によって異なりますが、摂取目安量は以下になります。
【男性の場合】
30歳~49歳:2.0g/日
50歳~74歳:2.2g/日
75歳以上:2.1g/日
【女性の場合】
30歳~49歳:1.6g/日
50歳~69歳:1.9g/日
65歳~74歳:2.0g/日
75歳以上:1.8g/日
一日に3g以上を摂取することで出血しやすくなったり、便がゆるくなったり、LDLコレステロールが上昇するなどの可能性もあるため、摂り過ぎには注意が必要です。
DHAやEPAを積極的に摂って健康維持に役立てましょう
DHAとEPAの特徴やサプリメントの摂り方、摂取目安量について説明しました。
DHAやEPAは中性脂肪の低下や抗炎症作用、降圧作用など健康に大切な役割を持っている一方で、体内では生成することができない必須脂肪酸でもあります。そのため、食事やサプリメントから摂ることが必要です。
サプリメントについては飲む目安量を参考にすることや、服用している薬がある場合は医師や薬剤師に相談する必要はありますが、タイミングや回数などは自分に合った飲み方で基本的に問題ありません。
摂取目安量や食事のバランスに注意しつつ、EPAやDHAをうまく摂取して健康維持につなげましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。